【PMBOK®ガイド第6版の変更点】第8回:アーンド・スケジュール
【PMBOK®ガイド第6版の変更点】では、2017年9月にリリースされたPMBOK®ガイド第6版と第5版との主な変更点を数回にわたり紹介していきます。
PMBOK®ガイド第6版における知識エリアの全般的な解説
PMBOK®ガイド第6版の第4章から第13章は知識エリア毎にプロセスの内容を説明していますが、プロセスの各論にはいる前に、知識エリアの全般的な解説がついています。そして、そこでは次の4つの項目を立てています。
- 主要概念
- 傾向と新たな実務慣行
- テーラリングの考慮事項
- アジャイル型環境や適応型環境への考慮事項
このような項目を立てて記述していること自体が第6版での変更ですが、書かれている内容にも第5版には記述されていなかったことが含まれています。アジャイルの項目については、第3回で一部紹介しました。
今回は、「コスト・マネジメントにおける傾向と新たな実務慣行」に登場するアーンド・スケジュールを紹介したいと思います。
アーンド・スケジュール
アーンド・バリュー・マネジメント
第5版までの版では、
SV(スケジュール差異)= EV(アーンド・バリュー)- PV(プランド・バリュー)
を計算することで、スケジュールにおける計画と実績の差を表現していました。
アーンド・バリュー・マネジメントの標準的な方法であり、第6版でも標準的な方法として取り上げています。
ES(アーンド・スケジュール)
しかし、第6版では、新たな実務慣行として、ES(アーンド・スケジュール)という概念を紹介しています。この概念を使うと、スケジュール差異は次の様な式で表されます。
SV(スケジュール差異)=
ES(アーンド・スケジュール)- AT(アクチュアル・タイム)
プロジェクトの開始から現在までの期間の長さがAT(アクチュアル・タイム)です。ESはプロジェクトの開始からESの期間分の仕事が完了したということを表します。
プロジェクトの開始から6か月(AT)経過しましたが、4か月(ES)分の仕事しか終わっていません。すなわち2か月(SV)遅れている、というわけです。
要するに私たちが2か月遅れているというのと同じです。標準のアーンド・バリュー・マネジメントでは、300万円遅れています、と表現するわけですから、標準よりアーンド・スケジュールの拡張の方が理解しやすいという方もいらっしゃると思います。
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