心配りのある仕事
組織で円滑に仕事を進めていくために必要な能力やスキルを思い浮かべてみてください。
担当分野に必要な専門スキルの他、プロジェクト運営、他者との交渉やプレゼンなど様々なスキルを上げることができたと思いますが、その中に「気配り」という言葉は出てきましたでしょうか?
「気配り」もなくてはならない大切なスキル
「気配り」という言葉からは、気が利く人、おせっかいを焼くのが好きな人にしかできないという性格に依存した印象を受けますよね。したがって、あればあるに越したことはないけど、別になくてもよいと考える方もいると思います。結論から申し上げます。
「気配り」もなくてはならない大切なスキルの一つです。
専門知識やスキルだけでは難しい
「自分は気が利かないから気配りなんてできないよ」という人もいますが、それは違います。
「気配り」の意味は、あれこれ気を使って手抜かりの無いように注意することです。さらに、そもそも「気」とは、物事をうまく運ぶために状況を的確に捉える注意力のことです。つまり、気配りできないということは、「状況を的確に捉えられず、他者に対して何も発揮できない」ということでもあります。
- 先輩が後輩の抱えている仕事の量を把握しないまま、次から次へと作業を丸投げしてモチベーションを下げさせてしまう
- お客様の社内的な立ち位置を考慮せず、正論だけを押し通して不快にさせてしまう
- 上司に対して適切なタイミングでホウレンソウができず、結果、全体の進捗が滞ってしまう
専門的な知識やスキルがないがために起こる問題もありますが、上記のように気配りができていないことが原因で起こる問題もたくさんあります。
専門知識やスキルがあるだけでは組織の中では円滑に物事を進めるのは難しいのです。
どうすれば「気配り」できるようになる?
では、どのようにすれば、「気配り」できるようになるのでしょうか?
先ほど「気配りはスキル」と述べたのには理由があります。それは意識して行動すればできるからです。そのためのポイントを2つご紹介します。
「あるべき姿を把握している」ことと「先読み(想像)する力を発揮する」ことです。
ポイント1:あるべき姿を把握している
あるべき姿や本来の姿を把握しておくことで、今、目の前に起こっていることとのギャップに気づきやすくなります。
そのためにも「会社のあるべき姿は?」「マイルストーン毎に設定された売上は?」「チームのあるべき姿は?」「本来はどこにあるべき?」「計画通りに進捗した状態とは?」など、自分、チーム、組織に関するあるべき姿について、再確認しておきましょう。
ポイント2:先読み(想像)する力を発揮する
2つめのポイントは、このあと何が起こりそうか、だから何が必要かなどを想像する力を発揮することです。
先ほどのあるべき姿とのギャップを感じたら、今後何が起こるのかを考えることで、適切な対策を取ることができます。そのためにも日ごろから業務の流れや関わる人の動向などについてもしっかりと観察、把握しておくことです。
以上の2つ、スキルとして捉えるとそれほど難しくありません。ただ、あるべき姿の把握は、多忙な業務に日々追われていると、ついつい後回しになって現状だけを見て仕事を進めてしまいがちです。改めて確認する時間を取ってみてはいかがでしょうか?
「気配り」と「心配り」の違い
ところで、このコラムのタイトルは「気配り」ではなく「心配り」です。
あれ?と思った方もいるかもしれませんが間違いではありません。タイトルを「心配り」とした理由を説明する前に、最近経験したことをお話しします。
私が担当する予定だった仕事がありました。ところが、直前になり体調を崩してしまい、急遽、代理を立てる必要がありました。そこで、ビジネスパートナーの方に、直前の依頼になってしまった理由などには触れずに依頼をしました。「できる/できない」という返事さえわかればと思っていたところ、次のような回答をいただきました。
勝手な推測ですが、近々の依頼は珍しいですし、どなたか、体調でも崩されたのかと心配しております。今月は×日、×日以外は空いていますので、もし、今回だけでなくこの後についても調整しないといけないようであれば遠慮なくご連絡ください。前日までにご連絡いただければすぐに参ります
「心」という言葉には、他人の状況を察していたわる気持ち、思いやりという意味があります。
上記の例では、単なる気配りではなく相手への心配りがあったように感じられ、とてもありがたい気持ちになりました。「心配り」することで、互いに気持ちよく仕事ができるようになるのだと思います。
心配りできるように、まずは気配りから心掛けたいですね。
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