リーダーシップについて解説 人を動かす影響力の5つの源泉
本記事では、トレノケート株式会社で配信しているVoicy番組 田中淳子の「人材育成」応援ラジオから、好評をいただいた放送をピックアップして文字としてお届けします。
田中淳子の「人材育成」応援ラジオ とは
自社の人材育成を考える上でヒントとなるようなちょっとした知識やスキル、具体例など、人材育成にご興味・関心がある方向けに役立つヒントを毎日約15分でお話しする音声配信番組です。パーソナリティは、人材育成に携わって38年、人材教育シニアコンサルタントの田中淳子が務めます。
今回は、リーダーシップ、つまりチームを動かすことや、人に対して影響力を行使することについての解説した以下の回を取り上げます。
#379 人は私の「何」によって動いてくれているのか。あなたが行使する影響力(パワー)の源泉は5つの内、どれ?
※読みやすさを意図して、内容をある程度抄訳しています。より具体的なエピソードなども合わせて知りたい場合は、Voicyの放送をお聴きください。
人を動かす時や、自分が誰かの影響を受けて動くときに、何によって動いているか考えることはありますか?例えば、上司に言われたから動くという場合もあれば、その人の言っていることに共鳴して動く場合もあります。この違いについて、影響力の5つの源泉についてお話しします。
今回の解説は、大島洋さんの『管理職の心得』からのご紹介です。こちらは、もう10年以上前に買った本で、管理職研修を作ろうと思って参考にしました。この本では管理職やリーダーが組織や個人に影響を及ぼすための学問や研究が紹介されていて、アカデミックな知見をもとにしながらも、職場で起こる出来事を物語のように書いてあり、現場での実例をわかりやすく解説しています。
その中から、「部下が私の言うことを聞いてくれません」という部分をご紹介します。
この本で「パワーの源泉」として紹介されているのは、J.フレンチ、そしてB.H.ラーベンという人が分類した5つの力、「強制力、報酬力、正当権力、専門力、同一視力」です。
それぞれを簡単に説明します。
1.強制力:指示命令による影響力
上司や管理職が部下に対して命令することにより、その命令に従わせる力です。強制力はポジションパワーの一部であり、職場内の権限に基づいて行使されます。
2.報酬力:ご褒美を与えることによる影響力
部下に対して報酬(給与、ボーナス、昇進など)を与えることで、その報酬を得るために部下が行動する力です。報酬力もポジションパワーの一部であり、管理職の権限に基づいて行使されます。
3.正当権力:組織上の権力
組織内で正式に認められた地位や役職に基づく影響力です。管理職やリーダーが組織の決定に従って行動するように指示する力を持つ場合、この正当権力を行使しています。
4.専門力:特定の分野の専門知識による影響力
ある分野における高い専門知識やスキルに基づく影響力です。この専門知識を持つことで、他のメンバーに信頼され、指導やアドバイスを受け入れられる力です。
5.同一視力:憧れや親しみによる影響力
他の人々がその人に憧れたり、親しみを感じたりすることによる影響力です。リーダーや上司が人間的な魅力を持つことで、部下がそのリーダーに対して共感し、自発的に従う力です。
昭和の時代は、上司たちがポジションパワーで人を動かしていました。しかし今の時代では、ポジションパワーだけでは人を動かせないことが多くなっています。働く相手が多様化し、ポジションパワーの影響外である他部署の人と働くことも増えてきたからです。
その代わり、個人のパーソナルパワー、つまり専門力や同一視力を活かすことが重要です。「あの人はすごい、何でも詳しい」といった専門力や、「この人と一緒に仕事をすると気持ちがいい」と思われるような同一視力が高い人は、マネージャーであろうとなかろうと影響力を行使できます。同一視力はある種、魅力の問題なので、教育訓練で高めるのは難しいですが、日々の部下との交流や趣味・教養の経験を積むことで人間としての魅力を高めることができます。
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#379 人は私の「何」によって動いてくれているのか。あなたが行使する影響力(パワー)の源泉は5つの内、どれ?