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部下のキャリア自律をどう支援する?「好き勝手」とは違う、管理職に求められる関わり方

部下やメンバーから「キャリア自律を支援してほしい」と言われて、管理職は、ますます多忙です。

部下が自分のキャリアを自分で考えることは大切です。それを上司が面談やジョブアサイン(業務付与)などで支援してほしい、と会社から要請されている現在、「キャリア自律」とは何か?の理解を合わせておくことは大事です。
 
本記事では、管理職向けキャリア開発支援研修で寄せられた声をもとに、キャリア自律とは何か、管理職がどう考えて支援すればよいかを紹介します。

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目次

管理職に求められる、部下のキャリア自律支援とは

トレノケートには「管理職向けキャリア開発支援」というコース(研修)があります。以前は、1社向けでのみ開催していましたが、数年前から公開コースでも開催するようになりました。

▼コース詳細はこちら
管理職向けキャリア開発支援 ~部下と対話し、キャリア開発を支援する~

受講されるのは、部下とキャリアの話をする必要がある管理職やリーダーの方々です。以下のような背景があって参加されています。
  • 全社的に従業員に求めることとして「キャリア自律」を打ち出すことになり、それに伴い、人事制度も大きく改正した。従業員一人ひとりが自分のキャリアを自分で考え、主体的に業務に取り組み、成長してほしい。そのため、最も身近な上司が日々の関わりや、1on1などを通じて、部下のキャリア自律を支援してほしい。
  • 自分のキャリアを自分で選んでいくことを大切にした「キャリア制度」を打ち立てた。管理職は、自分のキャリアを自律的に考えるだけでなく、部下たちのキャリア自律も視野に入れて、成長支援をしてほしい。
こうした要請を受けた管理職の方が研修に参加し、キャリアとは何か、キャリア自律とは何か、部下とのキャリア面談はどう進めればよいかなどを、机上のワークやロールプレイを通じて学習します。

10年ほど前から1社向けで提供していたこのプログラムは、2025年より公開コースとしても提供を開始しました。多くの企業の方が集まるため、参加される管理職の方にとっては、ある意味「他流試合」となり、刺激的な場にもなっています。
 
「うち(の会社)では社内公募制度があり、自分で手を挙げる仕組みになっているのですが、上司は部下が何に手を挙げているか知ることがないんです」

「私たちが若かった時代には、キャリアは会社に預ける、あるいは委ねるものだったので、若い世代の部下たちにキャリアを自律的に考える支援を、と言われて、戸惑っています」

「最近は、部下の副業の相談も含めて、上司として1on1で支援しているんです」

こうした話を互いに共有し、「へぇ」「わかります」と驚いたり共感したり、「そういう仕組みなんですね」「そんなことまで!」と感嘆したりします。

キャリア自律の支援に、管理職が違和感を抱く理由

管理職向けキャリア開発支援の公開コースでは、部下のキャリア自律をどう支援するかについて、受講者からさまざまな声が寄せられます。

そんな公開コースにおいて、こんな質問を受けました。難しい表情を浮かべていたある管理職の方に、「何か気になること、ありますか?」と問いかけてみると、こうおっしゃったのです。

「キャリア自律が大事だ、というのはわからないではないけれど、それを会社がことさらに推進する意味がわからないんです。キャリア自律、自分のしたいことを自分で考えてキャリアを切り開こう、というのは、時代の流れとして理解はできます。でも、そんなにみんなが好き勝手なことを言い出したら、会社は成り立たないじゃないですか。
まずは会社に期待されている仕事をしろ、好き嫌いを言っていないで、まずは自分の業務で成果を上げるのが先だろう、と思うのは、僕が昭和的すぎるからでしょうか。好きなようにさせるのがよいのか、腹落ちしなくて」

なるほど、先ほどから渋い表情をされていたのは、そういうわけでしたか。私は納得しました。

キャリア自律とは、会社任せにしないキャリア形成と能力開発のこと

「キャリア自律」とは、自分のキャリアを自分の課題として考えるという意味だけではなく、それに合わせて必要と思われる能力開発も、主体的・自律的に行うことを含む概念です。

ここで対比されているのは、従来のキャリア観です。
 
「キャリア自律」が広まる以前は、自分のキャリアも能力開発も、会社など所属する組織に委ねていました。会社(組織)が進む方向に自分も適応し、そこで必要とされる能力開発にも取り組む(たとえば、研修を受けたり、指示された資格を取得したり)というのが、ビジネスパーソンの生き方だったわけです。

ですが今は、それを自律的に行おう=「キャリア自律」という考え方が国からも発信され、企業内でもよく聞かれるようになってきました。

キャリア自律の定義や背景を体系的に知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

▼併せて読みたい記事
キャリア自律とは?意味・重要性・個人と企業それぞれの実践方法を解説

キャリア自律は「好き勝手にすること」ではない

キャリア自律は、「好き勝手なことをする」という意味でもなければ、「したいことしかしない」ということでもありません。

会社など組織に所属している一人ひとりが、組織の目指すことなどを自分事として捉え、かつ、自身の長期にわたるキャリア(現在、仮に22歳で就職したとして、50年近く働く可能性もある時代です)をどう切り開いていくか。それは、職務経験の積み方だけでなく、どのような能力をどのように身につけていくかを主体的にデザインし、取り組むことを意味しています。

好きなことだけをする、やりたくないことはしない、というのは、キャリア自律ではありません。それは、言い換えれば、フリーライダー(タダ乗りする人)なのかもしれません。

本当に自律している人は、自分がいる場所でどのように振る舞うのが最も期待に応えることになるのか、どうすることが貢献につながるか、どう自分の能力を向上させればよいか、そのことが、自分らしいキャリア形成にどうつながるか、などを常に自分で考えるものです。

部下のキャリア自律は、組織と本人の接点から支援する

キャリア自律を支援するうえでは、部下本人の希望だけでなく、組織が目指す方向との接点を考えることが大切です。

先ほどの管理職の方が、「キャリア自律なんて、部下が自由にやることですよね。それを会社として認めるのは、何か違和感がある」とおっしゃったのは、「キャリア自律」の捉え方が、少し一面的だったのかもしれません。

組織と自分。それぞれのありたい姿を考え、組織の目指すことと自分のやりたいことの接点を見いだし、自分から主体的にその実現に向けて貢献し、そのうえで自分の望むキャリアを形成していく。それを誰に言われることもなく、常に自分でしっかり考え、必要と思われる行動をとることが、キャリア自律なのです。

キャリア自律支援に役立つ関連コンテンツ

「キャリア自律」については、Voicy「人材育成」応援ラジオや、無料セミナーのアーカイブ動画でも解説しています。以下も参考になさってください(いずれも無料です)。
 
1.Voicy「人材育成」応援ラジオ
2.セミナー動画

キャリア自律の推進や、管理職による部下支援について相談したい方は、以下よりお気軽にお問い合わせください。

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田中淳子(たなかじゅんこ)

トレノケート株式会社 人材育成シニアコンサルタント | 【プロフィール】ビジネススキルやキャリア開発、OJT制度に関連する部下後輩の成長支援など、幅広く人材開発の支援にあたる。コンテンツ開発から研修実施まで(講師歴40年)、広く、個人と組織をより良くするお手伝いをしている。 | 【資格・認定】国家資格2級キャリアコンサルティング技能士 / 国家資格キャリアコンサルタント / 産業カウンセラー / MSQ認定モチベーションアドバンスインストラクター / 整理収納アドバイザー1級 | 【著書】著書は10冊。主な著書に『はじめての後輩指導』『事例で学ぶOJT』(共に経団連出版)、『部下と後輩を育てる47のテクニック』『ITエンジニアとして生き残るための「対人力」の高め方』(同僚・都川信和との共著)(共に日経BP社)がある。 2022年7月より音声配信Voicyにおいて「田中淳子の「人材育成」応援ラジオ」を配信(月-金、朝6:00配信)中。書籍、ブログ、音声など様々な手段で「人材育成」に関する情報発信を続けている。