
非認知能力を伸ばすには?大人こそ鍛えるべき理由と効果的なトレーニング方法
人工知能(AI)が急速に発展する現代社会において、AIには真似できない「人間らしさ」が改めて注目されています。その中核を担うのが「非認知能力」です。子どもの教育でよく耳にするこの能力は、実は大人になってからも伸ばすことができ、社会人としての成長・活躍に大きく影響します。
この記事では、社会人にとっての非認知能力の重要性から、大人でも実践できる効果的なトレーニング方法、さらには企業研修を活用した能力開発まで詳しく解説します。
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非認知能力向上セミナーのご紹介

「AIに代替されない力=非認知能力を身につける」をテーマに無料セミナーを開催いたします。非認知能力の重要性と実践的な高め方を知り、今後の育成計画や学習プログラムの策定に役立てていただければ幸いです。
- セミナー名:成果を出す若手を育てる『非認知能力』開発法~AIが代替できない"見えない力"を高める育成戦略~
- 日時:2025年8月21日(木)13:00~14:00
- 場所:オンライン
- 参加費:無料
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対象者
- 非認知能力を活用し、社員のポテンシャルを引き出したい人事・人材開発部門の責任者、担当者の方
- 新人・若手の早期戦力化を目指すマネジメント層(役員、マネジャー)の方
- 非認知能力を磨き、キャリアアップを目指す社会人の方
非認知能力の主な要素
非認知能力は多岐にわたりますが、社会人として特に重要な要素には以下のものがあります。
自分を見つめる力 | 他者と協働する力 | 前に進む力 | 成長する力 |
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これらは相互に関連し合い、社会人としての総合的な人間力を形成します。どれか一つだけが突出していても十分ではなく、バランスよく発達させることが重要です。
大人の非認知能力に関する具体的な事例
非認知能力は、社会人においても重要な能力です。社員研修の場でも注目されてきています。そのような中、企業研修を提供しているトレノケート株式会社の講師が実際に教育現場で伺った非認知能力に関する具体的な事例について、紹介します。
ある若手エンジニアの現場対応
「プリンタドライバが原因かもしれません。パソコンを見せてもらえますか?」
Xさんは13時からの会議資料作成中でしたが、Aさんの勢いに押され、やむなくPCを渡しました。
技術対応に集中するあまり、関係構築に失敗
クレームの発生とAさんの反応
「状況が分からず不安だったし、パソコンも使えず困りました」
この事例から学べる「非認知能力」の重要性
- 相手の立場を思いやる「共感力」
- 状況を冷静にふり返る「自己認識力」
- 感情をコントロールする「自制心」
- 失敗を糧にする「回復力(レジリエンス)」
大人も高めるべき非認知能力とは
非認知能力は、子ども時代だけでなく、社会人になってからも鍛えることが重要です。学校教育でも注目され始めた非認知能力ですが、職場では上司や組織の働きかけも、育成の大きなカギになります。
AIの発展と変化する社会
VUCA時代と人生100年時代
大人こそ知ってほしい非認知能力に関する誤解

非認知能力についてはいくつかの誤解が存在します。これらを正しく理解することで、より効果的に能力開発に取り組むことができます。
非認知能力が低い大人の特徴と影響

非認知能力が低いと生じる課題
- 感情のコントロールが難しい:ストレス下で感情的になりやすく、冷静な判断ができない
- 計画性の欠如:長期的な目標設定や計画的な行動が苦手
- 変化への抵抗:新しい状況や予期せぬ変化に対応することが難しい
- 自己効力感の低さ:自分の能力を過小評価し、挑戦を避ける傾向がある
- 対人関係の構築が苦手:他者との効果的なコミュニケーションや信頼関係の構築に課題がある
仕事や人間関係への影響
非認知能力の不足は、職場や私生活において様々な影響をもたらします。
仕事への影響
- プロジェクトの長期的な取り組みが困難になる
- チームワークの質が低下する
- ストレスに弱く、バーンアウトのリスクが高まる
- キャリア発達の停滞や機会損失につながる
人間関係への影響
- コミュニケーション上の誤解や対立が増える
- 信頼関係の構築が難しくなる
- ネットワーキングの機会が限られる
- サポートを受けにくい環境になりやすい
大人の非認知能力を高める5つのポイント
- 内省を深める
- 具体的な目標を設定する
- 周囲のサポートを活用する
- 非認知能力の測定と評価の難しさを理解する
- バランスの取れた発達を意識する
内省を深める
内省(リフレクション)は、経験から学び、自己認識を深めるために不可欠なプロセスです。日ごろから自分自身と向き合い、内省を深めることは、非認知能力向上へ寄与します。
具体的な目標を設定する
漠然とした願望ではなく、具体的で測定可能な目標を設定することが重要です。また、目標設定の際は、頭の中だけで思い描くだけでなく、紙に書いたり、声に出したりすることも大切といえます。
周囲のサポートを活用する
非認知能力の向上は、一人で取り組むより、サポートを受けながら進める方が効果的です。職場であれば、研修の受講や上司からの協力を得るという選択肢もあります。
非認知能力の測定と評価の難しさを理解する
非認知能力の向上における大きな課題の一つは、その成長を客観的に測定することの難しさです。点数化しにくいため、向上したかどうかを実感しづらいという特徴があります。
バランスの取れた発達を意識する
非認知能力は一つだけを伸ばせば良いというものではありません。むしろ、複数の能力がバランスよく、相互に補完し合うことが重要です。時には相反するように見える能力(例:自己主張と傾聴力)も、状況に応じて適切に発揮できることが理想的です。
日ごろからできる大人のための非認知力トレーニング
非認知能力は、適切な取り組みによって大人になってからも伸ばすことができます。以下では、普段から個人でも取り組める具体的なトレーニング方法を紹介します。
自己認識を高める方法
非認知能力を伸ばすためには、まず自己認識を高めることが重要です。自己認識とは、自分自身を理解すること、自分が置かれている状況や精神状態に気づいていることを指します。
メタ認知を活用した自己分析
- 定期的に「なぜそう考えたのか」「別の見方はないか」と自問する習慣をつける
- 重要な意思決定の前後に、自分の思考プロセスを振り返る時間を設ける
- 「認知バイアスチェックリスト」を作成し、定期的に自分の思考パターンをチェックする
自身の思考の癖を知ることは、非認知能力向上のために大切です。ただ知るだけではなく、良い部分は伸ばし、そうでない部分は改善を図ることも意識しましょう。
日記や振り返り習慣の重要性
- 1日の終わりに「今日の出来事」「感じたこと」「学んだこと」を5分間書き出す
- 週末に「今週の成功と失敗」「来週に活かせること」をまとめる
- 「感情日記」をつけて、強い感情を感じた瞬間とその理由を記録する
コミュニケーションスキルを鍛える
非認知能力を伸ばすためには、コミュニケーションスキルを鍛えるのも大切です。
傾聴力を向上させるトレーニング
- 3分間傾聴練習:会話の中で3分間、相手の話を遮らず、質問だけで会話を続ける
- アクティブリスニング:相手の言葉を要約して返す練習をする
- 非言語コミュニケーション観察:相手の表情やジェスチャーに意識的に注意を払う
フィードバックを受ける習慣をつける
- 信頼できる同僚や上司に定期的なフィードバックを依頼する
- 「何が良かったか」と「何を改善できるか」の両面からのコメントを求める
- フィードバックを防衛的にならずに受け止める練習をする
レジリエンスを強化する
レジリエンスとは、「逆境や困難を乗り越え、立ち直る力」です。困難な状況から回復し、より強く成長していく心の力は、非認知能力を伸ばす一つのカギになります。
感情マネジメントを学ぶ
- 感情の命名:感じている感情を具体的に言語化する(「イライラする」ではなく「焦りを感じている」など)
- 感情の一時停止:強い感情を感じたら、6秒間深呼吸してから反応する
- 認知的再評価:状況の解釈を変えることで、感情の質を変える練習をする
ストレス対処法を習得する
- マインドフルネス瞑想:1日5-10分の瞑想習慣を取り入れる
- 身体活動:定期的な運動でストレスホルモンを減らす
- サポートネットワーク:困難な時に頼れる人間関係を意識的に構築する
目標設定と行動習慣の確立
目標設定と行動習慣の確立は、非認知能力を伸ばすために、仕事の場面だけではなく私生活においても重要な取り組みです。
SMART目標の活用
- Specific(具体的)
- Measurable(測定可能)
- Achievable(達成可能)
- Relevant(関連性がある)
- Time-bound(期限がある)
定期的な振り返りと調整
- 週次・月次の進捗確認の時間を設定する
- 達成できなかった場合の原因を分析し、計画を調整する
- 小さな成功を認識し、自己効力感を高める
非認知能力を鍛える大人・社会人向けの研修
主に企業の人材育成担当の方や人事部門の方は、非認知能力に関する具体的な企業研修やトレーニングもチェックし、適切に導入していくことが求められます。
効果的な学習方法と研修の選び方
まずは組織として、非認知能力を伸ばすための効果的な学習方法と研修の選び方をきちんと押さえましょう。
研修の受講前後での変化を測定する
- 研修前に自己評価や360度評価を実施する
- 具体的な行動指標を設定し、変化を追跡する
- 研修後3ヶ月、6ヶ月時点での定点観測を行う
継続的な学習の仕組みを作る
- 学習コミュニティやピアグループ(年齢、性別、地位、能力などが同じまたは近い人々で形成されるグループ)に参加する
- マイクロラーニング(短時間の学習)を日常に取り入れる
- コーチングやメンタリングを活用する
上司・リーダーができる非認知能力向上の働きかけ
組織において、非認知能力の向上は個人の取り組みだけでなく、上司やリーダーからの適切な働きかけが大きな影響を与えます。
メタ認知のサポート
- 部下が自分自身を客観視できるよう、鏡の役割を果たす
- 適切なタイミングでフィードバックを提供する
- 「なぜそう考えたのか」「別の視点はないか」と問いかける
経験の振り返りを支援する
- 成功体験だけでなく、失敗からも学べる内省の場を設ける
- 承認できているところと課題の両方を明確にする
- 振り返りを次の行動に結びつけるサポートをする
コミュニケーション機会の質と量を増やす
- 単なる業務連絡(道具的コミュニケーション)だけでなく、感情や価値観を共有する情緒的コミュニケーションの機会も設ける
- 多様な人々との対話の場を意図的に創出する
- フォーマル・インフォーマル両方のコミュニケーションを促進する
非認知能力向上に役立つ企業研修
他者と協働する力、共感力、傾聴力を高める研修
自制心、回復力を高める研修
主体性、向上心を高める研修
自制心、向上心を高める研修
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大人こそ“AIが代替できない非認知能力”を高めよう
