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エンジニアにも必要な能力:「非認知能力」
このような技術志向の考え方は決して悪いことではありません。業務に直結する専門技術のスキルを高めることは、自身の成長を実感しやすく、成長実感が仕事へのモチベーションを維持・向上することに役立ちます。また、「自分の専門分野はこれだ」と意識することで、自分の居場所や存在価値を認識できることもあります。
しかし、技術力“だけ”でよいでしょうか?
目次
技術力とともに大事な能力「非認知能力」
認知能力とは、学生であればテストで測定できる能力のこと、ビジネスパーソンであれば技術力などの業務遂行に直結する能力のことを指します。
一方、非認知能力は簡単にいうと認知能力以外ですが、「社会情動的スキル(Social and Emotional Skills)」とも呼ばれます。「自制心や好奇心、協調性などの情緒や社会性にかかわる能力」として2000年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマン教授が提唱しました。
認知能力と非認知能力はどちらかだけではダメで、両方を並行して高めておくことで相乗効果が生まれ、能力がより発揮できるようになります。
技術力だけに頼り、非認知能力を疎かにしてしまった事例
入社5年目のAさんはシステム開発プロジェクトでデータベース管理者を任されています。1年前にはデータベースソフトウェアのトップベンダーO社の最上位認定資格に合格し、データベースのスペシャリストとして技術力にかなり自信を持ち始めていました。
ある日、担当したシステムにて応答速度が遅いとの不具合報告があり、Aさんはデータベースの調査、並行してプログラマーBさんがプログラムの調査にあたることとなりました。Aさんの調査は難航し、Aさんは調査に没頭するあまり、BさんやプロジェクトマネジャーのCさんが連携しようと声をかけても「今調査中ですから邪魔しないでください」「私はデータベースの調査に集中しますから、あなたたちは自分の持ち場の対応に集中してください」と素っ気ない対応に終始してしまいます。そのまま時間が過ぎ、その日は結局原因が分からないまま対応を終えました。
翌日、Cさんは隣の部署のベテランエンジニアDさんに声をかけて相談しました。Dさんは過去によく似た経験があったとのことで、データベースのチューニングとプログラムの改修をセットで行ったところ、応答速度が改善されトラブルが収束しました。
Dさんからは、「こういうケースではデータベース管理者とプログラマーが連携して調査を進めないとなかなか解決につながらないよ。今回、きちんとコミュニケーションが取れていたのかな?自分の担当範囲のことしか考えていなかったんじゃないか」と厳しく指摘されました。
Aさんは自分が否定されたような気がしてショックを受け、冷静に振り返ることができませんでした。
非認知能力の重要性
Aさんに足りなかった能力は何でしょうか?プログラミング力というのも1つの解ですが、もう1つ大事な能力があります。非認知能力です。
非認知能力には、自分と向き合う力(自制心、客観力、回復力など)、他者とつながる力(共感力、協調性、コミュニケーション力など)、自分を高める力(意欲、向上心、楽観性など)が含まれます。
上記のAさんの事例でいくと、自分の担当範囲や技術面での対処ばかりではなく、客観的かつ冷静に自分の状況を認識し、他の人の話に耳を傾けてコミュニケーションを図り、もし自分に不備な点があったとしても冷静に行動をふりかえって次に活かしていこうとする、そのような非認知能力を高めておくことが必要だったのです。
非認知能力は、認知能力と違って必要性が認識されにくいという性質があります。
そのため、職場において非認知能力を高めるためには、上司や会社からの働きかけも大きく影響してきます。
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こうした人材育成の課題に直面している現場も少なくないのではないでしょうか。近年は、入社3年以内の離職率が高く、若手育成の失敗は一人当たり数百万円のコストになることもあるといいます。では、真に「一人前」になるために必要な能力とは何でしょうか?
専門知識やハードスキルは重要ですが、実はそれだけでは不十分。現代のビジネス環境で成果を出すには、『非認知能力』が不可欠といえます。
非認知能力は、社会情動的スキルとして知られ、自制心、忍耐力、協調性、コミュニケーション力など、目に見えにくい力を指します。2017年の学習指導要領改訂以来、学校教育でも重視されていますが、ビジネスパーソンにとっても継続的な開発が必須です。
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