
【月間AWS】2025年6月号~AWS認定講師が厳選。先月の気になるニュース~
AWS 認定インストラクターのたかやまです。
時が経つのは早いものです・・・。気がつけば本州の梅雨も明けそうな勢いです・・・。
そして、5月は毎年新入社員研修の関係で忙しい時期でして、月間AWS2025年5月号は出せずに今回の6月号に至ります。
ということで、4月中盤から5月いっぱいまでの 気になる AWS ニュースを見てみましょう。
目次[非表示]
AWS Amplify
AWS Amplify にデータのシードを導入
AWS Amplify は、個人的にもお気に入りのサービスの一つです。アプリケーションと AWS バックエンドを簡単に繋ぎこみができて、フロントエンドをホスティングできる点が好きな理由です。
が、アプリケーションエンジニアの多くの人が悩むであろうテストデータの作成については、これまで対応はしてなかったです。テスト自体は出来るのに。
ということで、テストデータを自動的に生成する機能が追加されました。
AWS AppConfig
AWS AppConfig が Internet Protocol Version 6 (IPv6) のサポートを開始
AWS AppConfig は、アプリケーションの設定情報を動的に設定したり、設定自体をブルーグリーンデプロイすることができるサービスです。今回、IPv6 をサポートしたので、アプリケーションから IPv6 でアクセスできるようになりましたね。IPv4 枯渇問題への対応ですね。
Amazon Aurora
Amazon Aurora DSQL の一般提供開始
ついに、Aurora DSQL が一般提供開始されました。
マルチリージョンかつ強整合性を持った 分散 RDB がサーバーレスで利用できる時代です。
昨年の re:Invent でもワーナーさんがかなり説明してましたけど、我々はほぼリアルタイムな分散 RDB をシンプルに使えるのに対して、DSQL の裏側はレイテンシーと整合性との戦いになるので、高凝集なシステムアーキテクチャが組まれてますね。
ワーナーさんの基調講演の模様はこちらのブログで。
AWS Backup
AWS Backup now supports Amazon Aurora DSQL
Amazon Aurora DSQL が一般公開されたのに合わせて、AWS Backup でも Aurora DSQL 対応が発表されました。安心して使えますね。
Amazon Bedrock
Pixtral Large が Amazon Bedrock で利用可能になりました
Mistral AI 社の LLM は利用したことはないのですが、日本語も対応しているんですね。限られた機能要件と使えるリージョンの中でマッチすることがあればコストバランスの良い文章解析とか使えそうですね。
Amazon Bedrock Intelligent Prompt Routing の一般提供開始
Amazon Bedrock の特徴として、様々なモデルを選択して利用できる点が挙げられます。それ故にどのモデルを使えば最適化できるのかを悩むこともあります。
Intelligent Prompt Routing を利用すればモデルファミリー内の各モデルに対してプロンプトを自動的にルーティングして最適化することができます。検証時間が削減されるのでうれしいですね。
Writer の Palmyra X5 および X4 の基盤モデルが Amazon Bedrock で利用可能に
Writer Palmyra も使ったことが(使う機会が)ないモデルのひとつですが、新しいモデルの利用が可能になったということです。
Meta の Llama 4 モデルが Amazon Bedrock サーバーレスで使用可能に
Llama 4 も Bedrock で利用可能になったようです。
Meta のモデルも使ったことがないですけど、軽量との話ですよね。
Anthropic のコーディング向けの最もパワフルなモデル、Claude 4 が Amazon Bedrock に登場
Amazon Bedrock そして、Claude の進化が止まらないですね。Opus 4 と Sonnet 4 が新たに利用できるようになったようです。
Amazon CloudFront
Amazon CloudFront SaaS Manager を利用して今すぐ運用上のオーバーヘッドを削減しましょう
CloudFront をアプリケーションの入口でも利用することができます。キャッシュだけではなく、エッジロケーションを入口にすることでユーザーにより近い場所からサービスを提供できるからですね。
SaaS Manager を使うと、マルチテナント SaaS 環境が簡単に作れるようですね。
これまでは、テナントごとに CloudFront のディストリビューションが作成していた場合でも一元的なテナント管理ができそうですね。
AWS CodeBuild
AWS CodeBuild の新しい Docker サーバー機能で CI/CD パイプラインを高速化
CodeBuild のビルドは、Docker コンテナ内で行われるのですが、毎回フレッシュなコンテナを利用しているのでイメージの取得などそれなりにビルド前処理に時間がかかっていました。
今回のアップデートでは、ビルド専用に Docker コンテナを永続化することでビルド作業の効率化と時間短縮が期待できそうです。
気になる料金は、最も安い構成がオレゴンリージョンで USD 0.00003/秒 かつ、Lambda と同じ用にクールダウン中にビルドリクエストがあれば環境を再利用し、なければ一旦サーバーは停止されるということなのでリーズナブルに使えそうです。
Amazon Cognito
Amazon Cognito が更新トークンのローテーションに対応
地味に、そして確実に嬉しい機能が出ました。
リフレッシュトークンが利用できないときは、トークンが切れるたびに再ログインを促さないといけなくなるので、アクセストークンの有効期限をできる限り長くすることや、ID とパスワードをどこかしらに保存しておいて自動的に使う方法などセキュリティに配慮が欠ける実装にしないといけませんでした。リフレッシュトークンがあれば、短いライフサイクルのアクセストークンを自動的に更新しながら処理することができるので、セキュリティ的にも安心安全ですね。
AWS DataSync
AWS DataSync simplifies and accelerates cross-cloud data transfers
システムの可用性を上げる目的や、既存資産の関係だったり、外部サービスとの連携などにおいて、しばしば他のクラウドサービスのストレージサービスとデータを連携する必要が出てくることがあります。
お互いに API があるので作り込みすることはできましたが、AWS DataSync を使えば、Google Cloud Storage や Azure Blob Storage などに対してファイルの同期を行うことができるようになりました。
Amazon DynamoDB
DynamoDB local is now accessible on AWS CloudShell
DynamoDB local をご存知でしょうか?
DynamoDB を利用したアプリケーション開発においては、データベースとのやり取りはすべて DynamoDB に対しての API コールで実現されます。開発中にもそれなりのコストが掛かることがあるんですね。もちろん、無料利用枠があるんですけど。
テストの時とかに、VPC エンドポイント経由で利用することでコストが増えたり。
DynamoDB local は、ローカル環境に DynamoDB 互換のデータベースを Docker コンテナで起動することができるため、開発中はもとより、CI/CD パイプラインにおいても効果的なアプリケーションです。
これが、CloudShell 内で利用できるようになったという話です。
いよいよ、開発環境としての CloudShell の活用範囲がさらに広がりました。
Amazon EBS
Amazon EBS スナップショットから新しい EBS ボリュームへのデータ転送を高速化する
これは、地味に嬉しい人も多そうですね。
EBS スナップショットから新しい EBS ボリュームを作成する際のデータ転送レートを設定できるようになったので、インスタンス作成などの時間を想定することがしやすくなるようです。
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かなりのボリュームですが、やっと半分まで来ました。
ここで箸休め的に、弊社トレーニングの紹介です。
トレノケートではこれらの各AWSサービスを実務で活用していくためのAWS認定トレーニングをご提供しています。ご自身の学習スタイルや目標に合わせて、最適な方法を選択し、スキルアップを目指しましょう。
詳細は下記よりご確認ください。
Amazon EC2
NVMe SSD ストレージを搭載した新しい Amazon EC2 Graviton4 ベースのインスタンス
Graviton4 搭載かつ、高速な NVMe SSD ストレージが利用できる c8gd、M8gd、R8gd インスタンスが登場しました。
Graviton4 のコストパフォーマンスを活かした機械学習やデータ分析ワークロードも前世代からより高速かつ低コストで実行できそうです。
AI イノベーションを加速する NVIDIA Blackwell GPU を搭載した新しい Amazon EC2 P6-B200 インスタンス
NVIDIA B200 GPU を搭載した新しい EC2 インスタンスタイプが一般公開されたようです。人工知能、機械学習はもとより高速な科学計算シミュレーションとかでも使われそうです。
P6-B200 ってなんだか C3-PO とか R2-D2 とか T-800 みたいな型式番号に見えますね。
Amazon EC2 Mac インスタンスでのシステム整合性保護 (SIP) の設定
いまのMacOS には、ルートレスという SIP 機能が付いていて、システム管理下のファイルやフォルダをいじることができないんですけど、開発マシンとして考えたときには、一時的に無効化したいニーズがあるようです。主にシステム拡張などですね。
特定の条件下において無効にできるようになったみたいですね。
Amazon Nova
Amazon Nova Premier: 複雑なタスクを実行したり、モデル蒸留の教師として機能させたりするための、当社の最も有能なモデル
Amazon Nova の最上級モデルとして Premier が一般公開になりました。
ここまで来ると日常的に利用するという用途より、上流モデルとしての利用も出来るようです。
AWS Outposts
オンプレミスで画期的なパフォーマンスとスケーラビリティを実現する第 2 世代の AWS Outposts ラックを発表
AWS Outposts、オンプレミスのデータセンターに AWS のデータセンターで利用するラック一式を設置することが出来るので、AWS サービスを身近に置くことが出来るサービスですが、中々な料金と環境要件があるのでおいそれと発注しにくいサービスの一つですね。
2019年に一般公開されてから5年半、最新の EC2 インスタンスタイプを利用できる新世代が誕生しました。
まだ、北米大陸でのみ利用可能なようです。
Amazon Q
より豊かなコンテキストのための Model Context Protocol (MCP) による Amazon Q Developer CLI の拡張
MCP (Model Context Protocol) をご存知でしょうか?
外部サービスやデータベース、アプリケーション等などを生成 AI から利用するデータソースに簡単に拡張できる仕組みですね。RAG よりもお手軽に利用できるので、データベースに接続すれば SQL を生成 AI で作成するのではなく、自然言語でデータの問い合わせをプロンプトとして書けば、SQL の生成及び実行ができちゃいます。(一つの例)
Amazon Q Developer CLI は、MacOS や Linux、などでターミナルから直接 Amazon Q Developer が利用できる仕組みですが、MCP を組み込みでサポートできるようになりました。
Amazon Q Developer が新しいエージェントコーディングエクスペリエンスで IDE エクスペリエンスを改善
これは要約すると、Amazon Q Developer CLI と同じようなことが Visual Studio Code のような IDE でも出来るようになった。ということですかね。
Amazon Q Developer in GitHub (プレビュー) がコード生成を加速
GitHub 上でも Amazon Q Developer が使えるスグレモノですね。コードレビューをお願いしたり、なんなら新しいアプリケーションの作成なんかもできちゃうようです。すごい。
GitLab Duo with Amazon Q の一般提供開始のお知らせ
GitHub だけではなく GitLab 環境においても Amazon Q Developer が利用できますね。昨年の re:Invent の話では、今実際に使えるのは GitLab の人だけだよー。ってことでしたけど、一般提供が開始されたということで、GitLab の人じゃなくても使えるようになったんですね。
Amazon Q Developer CLI がターミナルでの画像入力をサポート
こりゃまた素晴らしい機能が出てきました。記事の中でも触れられていますが、アーキテクチャ図から IaC コードを生成したり、ER 図から RDB スキーマを作成するとかメチャメチャ便利ですよね。
こりゃまた開発作業が捗ります!
AWS Resource Explorer
AWS Resource Explorer が AWS PrivateLink のサポートを開始
AWS Resource Explorer は、AWS 上に作成された様々なリソースを探してくれるサービスですが、PrivateLink に対応したので VPC 内のリソースについても内部から探せるようになりました。パブリックリソースがない環境では嬉しいアップデートですね。
Amazon SageMaker
Amazon SageMaker Lakehouse が属性ベースのアクセス制御のサポートを開始
SageMaker Lakehouseは、データ基盤としてデータウェアハウスとデータレイクを統合できるサービスですが、データへのアクセス制御として属性ベースのアクセス制御 (ABAC) をサポートしたそうです。
ロールベースアクセス制御では、IAM ポリシー側で細かなリソース記述が必要になるので制御が静的になり煩雑化してしまいます。
属性ベースアクセス制御ではリソース側のタグに基づいてコントロールすることが出来るので、動的なアクセス制御が可能になります。
Amazon SQS
Amazon SQS がインターネットプロトコルバージョン 6 (IPv6) のサポートを開始
AWS の全てのサービスで IPv6 が利用できるわけではないのですが、地味に増えてます。Amazon SQS でも IPv6 が利用できるようになりました。IPv6 ネイティブなアプリケーションでも利用できるようになりますね。
AWS Systems Manager
AWS Systems Manager を使用したジャストインタイムノードアクセスの紹介
Systems Manager による EC2 インスタンスやオンプレミスのサーバーへのセッションマネージャーや Instance Connect は、ユーザー側の権限によって許可された対象に対して実行できるというセキュリティ機構がありますが、膨大な数のインスタンスが存在する場合にはどうしても煩雑になりますね。
ジャストインタイムノードアクセスを利用すれば、権限を複雑に管理せずに承認者に対してオペレータがリクエストをして、承認されると時間制限付きのアクセス権が与えられるようです。
コンプライアンス・ガバナンスを維持しながら運用を楽にできそうですね。
AWS Transform
AWS Transform for VMware の新機能
AWS Transform は、既存のレガシーなアプリケーションを AI エージェントを活用してモダナイズするサービスです。VMWare アプリケーション対応が一般公開されました。
レガシーアプリケーションのモダナイズは移行準備や移行計画などの段階からすごく骨の折れる作業ですが、AI エージェント(ほぼほぼ Amazon Q みたいなものですかね?)が諸々サポートしてくれるのでコードのマイグレーションも含めできそうですね。
とはいえ、どこまで汎用的にできるのかは事前に検証が必要ですね。
VMWare と同様に .NET アプリケーションやメインフレーム アプリケーションの移行も AWS Transform でサポートされてます。
- AWS Transform for .NET: .NET アプリケーションを大規模にモダナイズするための初のエージェント型 AI サービス
- AWS Transform によるメインフレームと VMware ワークロードモダナイゼーションの加速
その他
AWS Cloud Quest で「データ分析」を学習してみませんか ?
AWS Skill Builder で利用できるゲーム感覚コンテンツの Cloud Quest をご存知でしょうか?単にデジタルトレーニングの動画を見たり、ガイド付きハンズオンを繰り返すだけではなく、インタラクティブに操作しながら学ぶことができるコンテンツです。
今回、AWS でのデータ分析基盤構築や実装が学べる Cloud Quest Data Analytics が日本語化されたようです。有料サブスクリプションが必要ですが、AWS Certified Data Engineering - Associate 認定試験を受験される方にもおすすめですね。
わたしも、今度やってみよっと。
現在作業中 – 米国東部 (バージニア北部) リージョンのメリーランド州における新しいアベイラビリティーゾーン
バージニア北部リージョンは AWS 最初のリージョンということで色々と特別ですが、アベイラビリティゾーンも現在6つ利用可能になっています。そしてそれらは全てバージニア州に収容されていたのですが、お隣のメリーランド州にアベイラビリティゾーンを拡張するようです。
開設準備中 – AWS 南米 (チリ) リージョン
中南米アメリカ大陸には、現在ブラジルのサンパウロリージョンと、メキシコのメキシコ(中部)リージョンの2つがありますが、チリにもリージョンを構築するようです。チリなので大陸西側のリージョンですね。
AWS Product Lifecycle ページと AWS サービス可用性アップデートの紹介
今年も様々なサービスの停止が発表されたり、新規受付が停止したサービスがあります。こうした情報は、AWS のニュースでチェックしておく必要があるのですが、情報としてまとまったサイトがあります。それが、AWS Product Lifecycle ページですね。
我々講師陣も日常的にチェックしておきたいですね。
Amazon Neptune announces MCP (Model Context Protocol) Server
Amazon Neptune に対応した MCP サーバーが構築できるようになりました。Amazon Neptune は、グラフ DB というデータ同士の関係性を管理し、たどることができるトラバーサルクエリに対応したちょっとおもしろいデータベースです。
MCP を経由して、AI からグラフデータをクエリできるようになるので、例えば水道管の接続を管理している DB に対して、この区間を工事したときに影響の出る区間は?とかできるアプリケーションができそうです。
編集後記
いやあ、1ヶ月半分のニュースはかなりの量でした・・・。ここに書ききれていない発表もかなりあるんですけど、紙面関係(と、わたしの限界)で割愛しています。
来月からはちゃんとまとめようと心に決めました。
AWSの生成AIを学べば大きなスキルアップに!
ChatGPTに代表される生成AIをはじめ、生成AIには活用に役立つ様々なサービスがあり、企業の規模や目的に合わせて柔軟に利用できます。
業務の効率化や生産性向上、新たなビジネス機会の創出など、この機会に生成AIを活用してみませんか?
生成AIを学ぶ方法は、プロによる研修、公式eラーニング、書籍など、様々な方法があります。
ご自身の学習スタイルや目標に合わせて、最適な方法を選択し、スキルアップを目指しましょう。弊社トレノケートでも、生成AI関係のトレーニングをご準備しております。興味のあるかたは是非ご受講ください!
基礎コース
生成AIをビジネスに活用する場合、AIの基礎知識、AIの具体的な活用を企画・立案できる力、そしてアイデアを実行に移す開発・運用力が必要です。それらの知識を習得するために各種AI研修をラインアップとしてご準備しております。詳細は下記よりご確認ください。
AWSで、生成AIの基本を学びたい方には下記のコースがおすすめです。
Generative AI Essentials on AWS
Generative AI for Executives
おすすめコース
上記の基礎コースから更にAWSに特化して、Amazon Bedrockやプロンプトエンジニアリングの手法を学ぶコースがございます。
AWSで大規模言語モデルを利用した生成 AIアプリケーション開発に関する基礎を扱います。
Developing Generative AI Applications on AWS
本ブログでご紹介したAWS研修(AWS認定トレーニング)は、他にも多数のラインアップがございます。
詳細はこちらよりご確認ください。
また、そもそもAWSって何?詳しく知りたいという方は、こちらの「AWSとは?AWS認定講師が解説」をご覧ください。
