AWS運用とは?AWSを効果的に管理する方法やAWS Well-Architected Frameworkについても解説
AWSをビジネスで活用するためには、正しい知識と運用方法を身につける必要があります。
本記事では、AWSの効率的な運用方法やコスト削減、セキュリティ対策など、AWS運用に関する基本知識を解説します。
本記事を読めば、AWSの運用に対する不安が解消され、自信を持ってクラウドサービスを活用できるようになるでしょう。
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AWS運用とは?
AWS運用とは、 AWS(Amazon Web Services)のクラウドインフラストラクチャおよびサービスを効果的に管理、監視、最適化するための活動全般を指します。
具体的には、インフラストラクチャ管理やセキュリティ管理、リソースの適切なサイジングやコスト管理など、幅広い範囲の対応が求められます。
適切な運用管理によって、システムの可用性とパフォーマンスを最大限に引き出すことが可能になります。AWS運用は、クラウド環境を効率的に維持し、ビジネス要件に合わせてリソースを最適化するために不可欠なプロセスです。
AWS Well-Architected Frameworkについて
AWS Well-Architected Frameworkは、AWS環境での設計原則を、どのように実装するかまとめたベストプラクティスです。
クラウド上で安全性、効率性、信頼性を確保しながら、ビジネス価値を最大限に引き出すためのガイドラインとして、クラウドアーキテクトや運用担当者が使用します。
AWS Well-Architected Frameworkには、柱となる下記の6つの要素があります。
- オペレーショナルエクセレンスの柱
- セキュリティの柱
- 信頼性の柱
- パフォーマンス効率の柱
- コスト最適化の柱
- 持続可能性の柱
各柱について詳しく解説します。
より詳しく知りたい方は、以下のリンク先もご覧ください。
オペレーショナルエクセレンスの柱
オペレーショナルエクセレンスの柱は、システムを効率的かつ安定的に運用するための設計原則です。
具体的には、手動作業の自動化、運用プロセスの改善、障害発生時の迅速な対応などが含まれます。
オペレーショナルエクセレンスの柱に沿ってシステム運用すれば、ビジネス価値を高めながらも、運用上のミスやエラーを最小限に抑えられます。
セキュリティの柱
セキュリティの柱は、クラウドテクノロジーを活用し、AWS上のシステムやデータを保護するための設計原則を定義しています。
アクセス制御、データの暗号化、定期的なセキュリティレビューなどを通じて、システムを脅威から守ります。
AWSで提供されているセキュリティサービスを効果的に活用し、最小限の権限で運用するのがおすすめです。
信頼性の柱
信頼性の柱は、システムが予期せぬ障害や負荷に耐えながら、安定して稼働し続けるための設計原則です。
例えば、複数のアベイラビリティゾーンにリソースを分散配置したり、自動バックアップ機能を利用したりすれば、システム障害が発生した場合でも素早く復旧できます。
パフォーマンス効率の柱
パフォーマンス効率の柱は、システムがリソースを最適に使用し、高いパフォーマンスを維持するための設計原則を示します。
適切なリソースの選択、キャッシング、最適化などを通じて、システムのパフォーマンスを最大化できます。
例えば、システムに合わせてインスタンスタイプを選択したり、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)を利用したりすれば、ユーザーへの応答性を向上させられます。
コスト最適化の柱
コスト最適化の柱は、AWSのリソースを無駄なく使用し、コストを最小限に抑えるための設計原則です。
必要なときに必要な分のリソースを利用する、予約インスタンスの活用、コスト分析ツールの利用などを通じて、コストを削減できます。
例えば、AWS Cost Explorerを利用すれば、コストの見える化ができ、無駄な支出を削減できます。
持続可能性の柱
持続可能性の柱は、AWSクラウド運用が環境に与える影響を最小限に抑えるための設計と運用方法に焦点を当てた設計原則です。
クラウドリソースを効率的に使用し、再生可能エネルギーの活用やエネルギー消費の最小化を目指すことで、環境への負荷を軽減しながらビジネス価値を創出できます。
AWS運用保守の仕事内容例
AWS運用保守の仕事内容には、下記のようなものがあります。
- システム監視と管理
- セキュリティ管理
- バックアップや災害復旧
- インフラストラクチャ管理
それぞれの仕事内容を詳しく解説します。
システム監視と管理
AWSを安定的に運用するためには、稼働するシステムの状態を常に監視し、異常が発生した場合は迅速な対応が求められます。
具体的には、下記のような業務を行います。
- アプリケーションの応答時間、エラー率などを監視し、パフォーマンス低下を早期に検知する
- システムのログデータを分析し、異常な挙動やセキュリティインシデントを検出する
- 機械学習などを活用して、過去のデータから異常パターンを学習し、異常を自動的に検知する
グラフで可視化するだけでなく、アラームやイベントトリガーを設定し、異常が発生した場合には自動で対応できるよう、Systems Manager AutomationやLambda、Step Functionsなどと連携させます。また、ログデータは、特定の文字列を抽出したり、対話的に分析クエリを実行できるよう構成します。
S3にログデータを蓄積することで、データレイクを構築し、長期的なデータ分析に活用することも可能です。
セキュリティ管理
AWS上のシステムを安全に運用するために、下記の様なセキュリティ対策を行いましょう。
- ユーザーやロールに対して、付与する権限は最小限にする
- 定期的にシステムの脆弱性を評価する
- OSやミドルウェアの脆弱性が発見された場合には、セキュリティパッチを適用する
Configルールを設定し、システムが常に設定されたコンプライアンス基準を満たしているか確認し、違反が発生した場合には自動的に修復します。
また、AWS Patch Managerを利用し、OSに脆弱性が見つかった場合に、自動修復できる設定対応もおこないます。
バックアップや災害復旧
システム障害が発生した場合に、迅速に復旧できるように、下記のようなバックアップと災害復旧対策を行います。
- 定期的にシステムのデータをバックアップする
- 災害復旧計画を策定する
- 定期的に復旧テストを実施し、計画通りに復旧できるかを確認する
災害復旧計画では、RPO(復旧時点目標)やRTO(復旧時間目標)に応じて段階的な対策を講じます。また、DR(災害復旧)先を構築し、自動復旧を実現させます。
インフラストラクチャ管理
AWS上のインフラストラクチャを効率的に管理するため、下記のような業務を行います。
- サーバーやネットワークの構成を管理する
- インフラストラクチャをコード化する
コスト削減のために、夜間に不要なサーバーを停止し、必要に応じて自動で起動する仕組みを構築します。また、フルマネージドサービスを利用することで、サーバーの構築や管理をおこなわずサーバーレス化することができます。利用していないときのコスト削減にも役立ちます。
AWS運用で使用されるサービス
AWS運用で主に使用されるサービスは、下記の通りです。
- Amazon GuardDuty
- AWS Backup
- Amazon CloudWatch
- AWS Patch Manager
- AWS Cost Explorer
各サービスの概要やメリットを詳しく解説します。
Amazon GuardDuty
Amazon GuardDutyは、AWS環境における通信やユーザーの操作を監視し、悪意のある動作を検出するためのサービスです。
機械学習を使用して脅威を自動的に検出するため、複雑な設定を必要とせず、有効化するだけで高度なセキュリティ対策が可能です。
詳しくは、下記のリンクをご覧ください。
AWS Backup
AWS Backupは、データベースやストレージをはじめとするAWSリソースのバックアップを一元管理できるサービスです。
複数のAWSサービスにわたってバックアップをスケジュールし、復元や検索も1箇所で実行できます。
運用者にとって、データ保護の一貫性が確保され、バックアップ管理が効率化される点が大きなメリットです。
詳しくは、下記のリンクをご覧ください。
Amazon CloudWatch
Amazon CloudWatchは、AWS上のリソースやアプリケーションを監視するためのサービスです。
メトリクスの収集やダッシュボードでの可視化、自動アラームの設定による運用の効率化が可能です。
また、ログの一元管理もでき、異常検知やパフォーマンス最適化に役立ちます。
詳しくは、下記のリンクをご覧ください。
AWS Patch Manager
AWS Patch Managerは、AWS Systems Managerの一機能として提供されており、OSに対するセキュリティパッチやその他の更新を自動化できます。
運用者が定期的にパッチを適用し、システムのセキュリティを維持するための負担を軽減できます。
詳しくは、下記のリンクをご覧ください。
AWS Cost Explorer
AWS Cost Explorerは、AWSで発生するコストを時系列グラフで可視化し、フィルタリングによる詳細な分析ができるサービスです。
運用者はコストの増減をタイムリーに把握できるため、予算管理やコスト削減のための戦略立案が容易に行えます。
詳しくは、下記のリンクをご覧ください。
AWS運用代行サービスとは?
AWS運用代行サービスとは、専門的な知識や経験が求められるAWS環境の運用管理を、AWSから認定された「AWSパートナー」などの外部プロフェッショナルに代行してもらうサービスです。
AWS運用代行サービスを利用すれば、企業は自社内のリソースを節約しつつ、運用の効率化とセキュリティの強化を図れます。
また、AWSの「MSPプログラム」認定を受けたプロバイダーは、より高度な運用代行サービスを提供してくれます。
詳しくは、下記のリンクをご覧ください。
AWS運用の学習ステップ
AWS運用の学習ステップは、下記の通りです。
- ステップ1:クラウドの基本を理解する
- ステップ2:AWSの全体像をつかむ
- ステップ3:主要サービスを深く学ぶ
- ステップ4:ハンズオンで実践力を養う
AWSの学習には、様々な方法があります。
書籍、オンライン講座、ハンズオン形式のワークショップなど、自分に合った学習方法を選びましょう。
詳しくは、「AWS初心者必見!効率的な学習方法や認定資格について解説 」をご覧ください。
まとめ
AWS運用には、専門的な知識や経験が必要となります。
専門知識やリソースが不足している場合は、AWS運用代行サービスの利用も検討してみましょう。
なお、自社の人材にAWSの知識をつけたいと考えている場合は、トレノケートの提供する研修の受講を検討してみてください。
初心者から基礎知識が学べる講座をご用意していますので、ご興味のある方は以下リンク先から詳細をご確認ください。
なお、「AWSってそもそも何?」「AWSでは何ができるの?」「クラウドとオンプレミスとの違いは?」という方は、弊社のAWS認定インストラクターが解説のAWSとはをご確認ください。
トレノケート公式ブログ 編集部
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