AWS 請求について。基本概念やコスト管理ツール、予期せぬ高額請求を防ぐための具体的な方法などを解説。
AWSの料金体系は複雑で、どこから手をつければ良いか分からない方も多いのではないでしょうか。
コスト管理をしっかり行うためには、AWS請求の仕組みや各サービスの費用構成を理解しておく必要があります。
そこで記事では、AWSの請求の仕組みから、コスト管理の方法、よくある質問まで解説します。
本記事を読めば、AWSの請求について理解を深め、無駄なコストを抑えられるようになるでしょう。
なお、「AWSってそもそも何?」「AWSでは何ができるの?」「クラウドとオンプレミスとの違いは?」という方は、弊社のAWS認定インストラクターが解説のAWSとはをご確認ください。
AWS請求の仕組み
AWSの料金は、使用した分だけ支払う従量制です。料金は、サービスごとに設定されており、リージョン(地域)によっても異なる場合があります。
AWSの料金計算はサービスごとに計算されるので複雑に見えますが、AWS Pricing Calculatorというツールを利用すれば、概算を計算できます。
AWS請求の主な構成要素
AWS請求の主な構成要素は、下記の通りです。
- インスタンス(コンピューティング)費用
- ストレージ費用
- データ転送費用
各要素について詳しく解説します。
インスタンス(コンピューティング)費用
AWSのインスタンス費用は、インスタンスごとに計算されるため、必要なリソースを適切に見極めることが大切です。
基本的にはインスタンス起動から終了までの実働時間に対して、時間単位で計算されます。
選ぶサーバーの、CPU、メモリ、ストレージなどによって料金が設定されており、利用するOSによっても価格が変わります。
例えば、高性能なCPUや大容量のメモリが必要な場合は、料金が高くなる傾向があります。
ストレージ費用
ストレージ費用は、利用したストレージ容量に基づいて請求され、ストレージの使用量が多ければそれに比例して料金も増加します。
料金は1GB単位で設定されていますが、実際には使用した分だけ課金されるため、使い過ぎには注意が必要です。
データ転送費用
データ転送費用は、AWSからインターネットへのデータ転送量に応じて料金が発生します。
基本的にはAWSのデータセンター内で転送する場合は無料ですが、AWSから他の外部インターネットに転送すると有料になります。
また、AWS同士のデータ転送でも、リージョンが異なる場合はデータ転送料金が発生する場合があるため注意が必要です。
AWSのコスト管理ツール紹介
AWSのコスト管理におすすめなツールは、下記の通りです。
- AWS Billing and Cost Management ホームページ
- AWS Cost Explorer
- AWS Budgets
次項で各ツールについて詳しく解説します。
AWS Billing and Cost Management ホームページ
AWS Billing and Cost Management ホームページは、AWSの料金や請求情報をGUIで確認できる機能です。
具体的にできることは、下記の通りです。
- 月ごとの利用料金の確認
- EC2、S3など、サービスごとの利用料金の内訳確認
- あらかじめ設定した金額を超えた場合のアラート通知
- 請求書のPDF形式ダウンロード
AWS Billing and Cost Management ホームページでAWSの利用状況を可視化できるため、不要なコストを把握できます。
AWS Cost Explorer
AWS Cost Explorerは、AWSのより詳細なコスト分析を行うためのツールです。
具体的にできることは、下記の通りです。
- 月単位や日単位など、任意の時間範囲でコスト分析
- サービス・アカウント・使用タイプ別の費用分析
- グラフや表形式でコストの推移を視覚的に確認
- 今後のコスト予測
AWS Cost Explorerを活用すれば、コスト削減のボトルネックを特定し、より効果的なコスト最適化を実現できるでしょう。
AWS Budgets
AWS Budgetsは、コストと使用料のカスタム予算を設定し、特定の条件で通知やアクションを実行できるツールです。
具体的にできることは、下記の通りです。
- 予算額、期間、通知方法などの設定
- 予算を超過した場合のメールやSNS通知設定
- 予算を超過した場合の特定リソース停止や機能制限
AWS Budgetsを活用すれば、予期せぬコスト発生を検出することでコスト最適化をすすめることができます。
AWSで予期せぬ高額請求を防ぐためのポイント
AWSで予期せぬ高額請求を防ぐためのポイントは、下記の通りです。
- リソースの使用状況を定期的にモニタリングする
- 不要なリソースを適切に停止・削除する
- 予算アラートを設定してしきい値超過を検知する
各ポイントについて詳しく解説します。
ソースの使用状況を定期的にモニタリングする
AWS Billing ConsoleやAWS Cost Explorerといったツールを活用し、EC2インスタンス、RDSデータベース、S3ストレージなどのリソースの使用状況を定期的に確認しましょう。
使用パターンを把握すれば、異常な使用量や、不要なリソースの稼働を早期に発見できます。
具体的な注意点と対策としては、
常に稼働させる必要のないリソースは、利用していない時間帯に停止させると良いでしょう。
AWS Cost Anomaly Detectionを活用すれば、過去の使用パターンと比較して、異常なコスト増加を自動的に検出することも可能です。
不要なリソースを適切に停止・削除する
開発環境やテスト環境で利用したリソースは、不要になったら速やかに停止または削除しましょう。
特に、EC2インスタンスは、起動している間は常に料金が発生するため、注意が必要です。
また、不要なEBSスナップショットやAMIは定期的に削除することをおすすめします。
リソースの定期的な見直しと適切な管理が、AWSで予期せぬ高額請求を防ぐための1つの方法です。
予算アラートを設定してしきい値超過を検知する
AWS Budgetsを利用して、月間や年間の予算を設定し、支出が予算額に達した場合にアラートを受け取るように設定しましょう。
予算アラートを設定すれば、予期せぬコスト増加を早期に検知し、素早く対応できます。
アラートは、メールやSNSを通じて通知できます。
また、AWS Lambdaと連携すれば、自動的にリソースを停止させることも可能です。
AWS請求代行サービスとは
AWSは、標準デフォルトでは米ドル建ての請求となり、支払いにはクレジットカードや海外送金が必要です。
そのため、クレジットカード以外の、例えば請求書払いを希望する場合には、AWS請求代行サービスを利用するのが一般的です。
AWS請求代行サービスの主なメリットは、下記の通りです。
- 月末締め翌月末払いや、他の支払い条件に対応できる場合があり、現金の支出を計画的に行える
- 代行会社(販売代理店)から、AWSの複雑な料金体系や請求に関するサポートを受けられる
一方で、AWSアカウントの一部機能に対して顧客側で完全なコントロールができなくなる可能性があり、特定の操作に関して制限がかかるといったデメリットがあります。
そのため、AWS請求代行サービスを利用する前に、契約内容をしっかりと確認し、自社の運用ニーズに合ったサービスであるかを見極める必要があります。
AWS請求でよくある質問
AWS請求でよくある質問は、下記の通りです。
- 請求が確定するのはいつか?
- 毎月のAWS料金の請求書ダウンロードはどうするのか?
- AWS利用料金の請求を止めるには?
- 日本語対応の請求問い合わせ窓口はありますか?
- 月初の1日目だけ料金が高くなるのはなぜ?
各質問について詳しく解説します。
請求が確定するのはいつか?
AWS請求が確定するタイミングは、毎月の初めです。
通常、前月分の利用料金は翌月の1日から3日の間に確定し、その後デフォルトの支払い方法で請求が行われます。
そのため、月初(1日から3日の間)を過ぎてから、請求額を確認するのが良いでしょう。
毎月のAWS料金の請求書ダウンロードはどうするのか?
毎月のAWS料金の請求書は、AWS Billing and Cost Managementコンソールからダウンロードできます。
請求書ページにアクセスすると、各月の請求書をPDF形式で取得可能です。
請求書には、利用者の登録情報と料金の詳細が記載されていますが、支払いの進捗状況は含まれていないため、別途確認が必要です。
AWS利用料金の請求を止めるには?
AWSの利用料金の請求を止めるには、料金が発生しているAWSのリソースを削除、シャットダウン、または終了する必要があります。
手順は下記の通りです。
1. AWSマネジメントコンソールを開く
2. サービスの検索欄に、停止したいサービス名を入力する
3. アクティブなリソースをすべて停止または削除する
アクティブなリソースがある限り、料金が発生し続けるため、定期的な確認と管理を行いましょう。
日本語対応の請求問い合わせ窓口はあるの?
AWSには日本語対応の請求関連サポートがあります。
下記のリンクから、日本語でのアカウントや請求に関する問い合わせが可能です。
アカウント・請求関連のご質問:https://aws.amazon.com/jp/aws-jp-faq/
月初の1日目だけ料金が高くなるのはなぜ?
AWSの月初に料金が高くなるのは、特定のサービスが月初にまとめて請求されるためです。
よく「月初1日目だけ利用額が多くなる」といった質問が出ることがありますが、月初にのみ課金される税金やRoute53の利用料などが請求されることもあります。
まとめ
AWS請求に関しては、利用するサービスごとに異なる費用が発生するため、適切な管理が求められます。
例えば、従量制の課金モデルは柔軟性がありますが、リソースを適切に管理しなければ、予期せぬ高額請求が発生するリスクもあります。
しかし、本記事で紹介したAWSのコスト管理ツールや請求代行サービスを活用すれば、リスクを軽減しつつ、コストの透明性を高められます。
AWSを利用し始めたばかりで、より詳しく勉強したいと考えている方は、ぜひトレノケートにお問い合わせください。
トレノケート公式ブログ 編集部
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