
キャリアの転機では、まず「しっかり終わりにする」ことが大事。
本記事では、トレノケート株式会社で配信しているVoicy番組 田中淳子の「人材育成」応援ラジオ から、好評をいただいた放送をピックアップして文字としてお届けします。
田中淳子の「人材育成」応援ラジオ とは
自社の人材育成を考える上でヒントとなるようなちょっとした知識やスキル、具体例など、人材育成にご興味・関心がある方向けに役立つヒントを毎日約15分でお話しする音声配信番組です。パーソナリティは、人材育成に携わって38年、人材教育シニアコンサルタントの田中淳子が務めます。
今回は、放送100回ごとに実施しているアンケートの中で、中途採用で入社した後の組織適応に関するお悩みが寄せられましたので、それにお応えしていきます。
※読みやすさを意図して、内容をある程度抄訳・編集しています。より具体的なエピソードなども合わせて知りたい場合は、Voicyの放送をお聴きください。
アンケートでは、転職した立場の方と、採用した企業の人事の方、両方の立場からご質問をいただきました。それぞれのお悩みは下記のような内容です。
転職した方
「アンラーニングや組織適用がうまくいかず、上司ともうまくコミュニケーションが取れなくなってしまった」
人事の方
「最大限の手を尽くしたものの、キャリア入社の方が休職になろうとしている。上司と先輩のアドバイスや育成指導がどうしても合わずにコミュニケーションエラーを起こしているようだ」
このように、中途入社者が上司や同僚とのコミュニケーションギャップを起こし、新しい職場に馴染むことができないケースは少なくなく、またそれが早期離職やメンタル不調の原因にもなり得ます。
これは、転職というキャリアの「転機」で、それまでの経験をうまく「終わらせる」ことが出来ていないことが一因です。
キャリアの転機では「終わり」を意識する
キャリアには、転職、昇進、異動、退職など、さまざまな「転機」が存在します。これらは単なる出来事ではなく、心理的・社会的な変化を伴う「節目」です。
キャリア理論の1つとして、ウィリアム・ブリッジズの「終わり → ニュートラルゾーン → 始まり」というモデルがあります。キャリアの転機ではスタートすることに気が向きがちですが、このモデルのように、始まる前にはまず「終わり」があるのです。
つい「前職では…」という言葉が出てしまったり、「前の会社ではこうだったのに」と考えてしまったりする場合は、まだ自分の中でうまく終結が出来ていないことになります。
どうすれば「終わり」にできるのか
今までの経験を捨て去るのは、だれでも寂しく感じます。しかし、アンラーニングとして考えるならば、全て捨て去る必要はありません。今までのやり方や考え方を一度見直し、現在の仕事や職場に合わないものがあれば、それは一旦「終わり」にする必要があります。
また、この際にマインドセットも重要です。これまでの考え方を忘れたり諦めたりすることを残念だと思う気持ちを認めつつ、それでも始末をつけ終結させるのだ、と自分の中で折り合いをつけるように考えてください。それが出来れば、自然と頭を切り替え、新しい組織に適応することができるはずです。
キャリアの転機には、「始まり」の前にまず「終わり」を意識する。これが、中途入社での組織適応のポイントの1つです。
より詳細な解説など、放送をお聴きになりたい方はこちら
#783 キャリアの転機では、まず「しっかり終わりにする」ことが大事。
