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テレワークでのOJTで留意すること

テレワークが浸透し、多くの企業で出社比率を抑えるなどして業務を行っています。

そんな中、新入社員研修が終了し、迎え入れた職場でのOJTもまたリモートで行うことが増えました。

上司やOJTトレーナーとの面談もオンライン会議で。
仕事を教えるのも指示するのも報連相をするのも直接の会話ではなく、電子メールやチャットツール、オンライン会議などを使って。

企業のOJT支援を2003年から手掛けておりますが、今年は誰にとっても初体験の「テレワークでのOJT」が各社で進行中です。


テレワークで難易度が上がったOJT指導

様々な企業のOJTを支援している中で耳にする「OJTトレーナーの苦労」。
代表的な3点について考えてみましょう。

1.ほとんどリアルに会っていないことから、新入社員との関係構築がなかなかできない

2.直接会う機会が少ないため、状況や状態がつかみづらい

3.対面したところで、従来のような手取り足取りの指導ができない


テレワーク以前で考えてみましょう。


1.関係構築する
近くの席に座って日々会話を交わし、周囲の人にも紹介し、新入社員の人脈作りも手伝っていました。飲みに行って別の部署の方に覚えていただくといったこともしていました。

2.状況や状態を把握する
顔色を見たり、声の調子を聴いていたり、なんとなくの雰囲気で、「元気だ」「困っていそうだ」「机の上が大変なことになっているので、忙しいのだろう」などと把握もできますし、しょっちゅう会話していれば、状況も状態もつかめていました。

3.手取り足取り教える
「ほら、キーボードとマウス、ちょっと貸してご覧」といってサクサクと先輩が操作して見せ、それを脇で新入社員は見学し、「あ、そういう風にやればいいんだ」と学ぶことも普通でした。


COVID-19流行以前はそうやって“密”に関わることでも何かと苦労していた新入社員のOJT指導。2020年は、会えない、近づけないといった条件が加わったことで一気にハードルが高くなったわけです。

「全員出社しないわけじゃないでしょう?出社日を合わせて、いろいろ指導すればよいのでは?」「いや、仮に双方で日程をそろえて出社しても、あまり近づけないですし、ましてや、他人のものを触るのもためらわれるから、たとえば『ちょっとPC触っていい?』なんてことができない。」

人は密接にかかわりあいながら仕事を教えたり教わったりしてきたのだということが今になってわかるのです。


「テレワークでのOJT」の工夫・取り組み例

とはいえ、嘆いているばかりもいられません。そういう環境において、どのように新入社員を育てるのか、考えるのみです。

現場では試行錯誤が続きます。いくつか現場のOJTトレーナーやマネージャから聞いた例を紹介しましょう。


毎日、定期的にZoomで打ち合わせ時間を持つ

あるOJTトレーナーは、新入社員が配属されてから1日も欠かさず、Zoom会議を30分程度行って、「今何をしているか」「困っていることは?」「明日の予定」「その他雑談」をしているということでした。リモートであっても、画面越しであっても、毎日やっていると、「今日は元気ないかな?」と変化に気づくこともあるそうです。

オンライン日報

これまで、紙の「日誌」を交換日記のようにOJTトレーナーと新入社員とでやり取りしていた企業では、今回思い切って「日報」もオンライン化しました。
これがかえって都合よくて、紙で回すと、他の先輩の目に留まりにくい日誌、オンラインなら、いろいろな先輩がコメント書いてくれることに。自然に「みんなで育てる」ということになっていったそうです。

育成ビジョンを共有

OJTスタート時に、時間合わせて出社し、ソーシャルディスタンスに気を付けながら、「OJTの方針」を先輩が説明しました。

「1年後にどういう人になってほしいか」「会社の期待」「会社の育成制度や仕組み」「上司や先輩の考えや想い」といったものを絵や図も駆使して説明を受けた新入社員。「最初に全体像を示していただき、皆様の期待も理解できたので、その後テレワークになってもなんとなく安心できた」と話してくれました。


「伝える力」を磨く

以上の3つの方法により、「人間関係が作れない」「状況がつかみづらい」といった点はかなりカバーできると思われます。

では、「手取り足取り」はどうすればよいのでしょう。
これはまだ答えが出ていませんが、リモートで、オンラインで人と仕事をすることが「新しい生活様式」の一つの姿なのであれば、私たちがまずすべきことは、「伝える力」を磨くことです。

隣に座って指導する際、多くの方が、指示代名詞を多用しているはずです。「そうそう、ここをこうやって動かして、そう、こんな風に画面が変わるから、そこに〇〇って入力して」・・・。オンラインで他者と会話する場合、この指示代名詞が邪魔になります。


「画面の右上に表示される“〇〇”というメニューを右クリックし、上から3番目の“××”を1回クリックすると、“▽▽を選ぶ”という項目が出てきますよね?」というように、すべて言葉にして説明する必要があります。

あるいは、オンライン会議ツールを使って、「画面共有するから、説明を聞きながら、やってほしい仕事を理解してくださいね」とツールを上手に使うテクニックも重要です。



COVID-19の流行という出来事は決して嬉しいことではありませんが、前提条件が変化したのであれば、それに合わせて、「何ができるか」を考え、創意工夫して、この状況を乗り切るしかありません。


皆さんの会社では、新入社員のOJT、どのような工夫をなさっていますか?

所与の条件が変わってしまった今、「それなら今の環境で何ができるか。どうやればできるのか」をOJTトレーナーも、もちろん、成長主体である新入社員自身も考え、試してみることしかありません。きっと、リモートならではのやり方やリモートのほうがうまくいくことだって見つかるはずです。


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田中淳子(たなかじゅんこ)

田中淳子(たなかじゅんこ)

トレノケート株式会社 人材教育シニアコンサルタント。産業カウンセラー。国家資格キャリアコンサルタント。1986年日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。ビジネス・スキル全般の人材育成支援に当たっている。新入社員から60代まで幅広くビジネススキルやキャリア開発の研修とワークショップを実践中。 【著書】 『ITエンジニアとして生き残るための「対人力」の高め方』『現場で実践!部下を育てる47のテクニック』『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』(日経BP社) 『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)など。 【ブログ】「田中淳子の”大人の学び”支援隊!

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