クラウド時代のLinuxはどう変わった?~LPIC-1 V5 試験対策のポイント~
2019年7月4日(木)、標題のタイトルで無料セミナーを開催しました。開催概要とともに、LinuxやLPICの動向についてご紹介します。
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LPICレベル1がバージョンアップ(v4.0→v5.0)
2019年7月1日以降、LPICレベル1試験は旧バージョン(v4.0)との並行提供期間を終え、完全に新バージョン(v5.0)へと移行しました。そこで、去る7月4日、LPI日本支部とトレノケートとの共催で、無料セミナー「クラウド時代のLinuxはどう変わった? ~LPIC-1 v5 試験対策のポイント~」を開催。当日は、LPI日本支部コミュニケーションディレクターの伊藤健二氏よりLinux/OSSの現況および展望と、LPI日本支部技術担当の方よりLPICレベル1試験改訂のポイントについてお話いただきました。
ここでは、LPICレベル1試験改訂のポイントより、v5.0改訂時の主要な試験範囲変更点をまとめます。テーマは「バージョンアップは大事」。
【ハードウェア、ストレージ周り】
- [追加] UEFI、GPT (8GBの壁ならぬ2TBの壁を超える!)
- [追加]リモートXサーバー(ほとんどローカルでX使いませんよね……)
- [拡張] btrfs、xfs(xfsはRHEL7以降、標準ファイルシステムですからね!)
- [削除] Reiserfs(さよならLinuxの初代ジャーナリングファイルシステム)
【ツール】
- [追加] bzip2/bunzip2、bzcat、xz/unxz、xzcat(右に行くほど圧縮率高い= CPUパワー要な環境で使えるツール群も試験範囲に)
- [追加] zypper(SUSE)、dnf(RHEL) (RHEL8以降、パッケージ管理はyumがdnfに置き換わります)
- [追加] chrony (時刻同期のchronyはRHEL8標準に)
- [削除] anacron
- [削除] qmail
※RHEL = Red Hat Enterprise Linux
【ネットワーク】
ネットワークユーティリティは以下全部含む、三世代同居状態。
- net-tools (ifconfig,route,netstat, etc...)
- iproute2 (ip,ss)
- NetworkManager (nmcli)
【ブート】
- [追加・拡張] systemdとコンポーネント群 (systemd,consoled,journald,logind,networkd,etc...)
クラウド時代のLinuxは、高速化と仮想化がポイント
いかがでしょうか?知識のUpdate、なかなか大変ですよね(歳をとるとまた特に……)。今回の試験改訂でも、以前からUNIX/Linuxをお使いの方には、「えっ、あのコマンドが消えた!?」というような試験範囲の変更も入っています。改訂の議論の中では「vi削る?」という話が出たというほど!もはや聖域はありませんね。
※注意:vi削られていません(ほっとするvimmerの私)
ちなみに私はいまだに ""service servicename start|stop|staus"" が ""systemctl start|stop|status servicename"" へ置き換わったことにモヤッとしています。
(パラメーターの並びがイラッとするんです。サービスを止めて、再開して、ステータスを確認するのにコマンド実行履歴を使いますよね?アクションを指示するパラメーターは末尾がいいと思うんです!)
とはいえ、Linuxのブートシーケンスの主流が従来のSysVinitからこのsystemctlコマンドで操作するSystemdへと遷移していった理由はよくわかります。従来のinitが、システム起動時に必要なサービスをひとつひとつ、順番に起動していったのに対して、systemdはサービスを並行起動することが可能で、明らかにLinuxシステムの起動が速くなります。
私は普段、Amazon Web Services (AWS)の認定インストラクターとしてAWSのコースを実施することが多いのですが、「システムが過負荷になったとき、Amazon CloudWatchのアラームと連動したAutoScalingによって、インスタンス(仮想サーバー)が自動で起動し…………OSがなかなか起ち上がりませんね!」ということでは、クラウドの拡張性・伸縮自在性も台無しです。
こうしてみると、Linuxの様々なアップデートは、高速化、大量の並列化のための仕組みであるといえます。新しい仕組みは、ハイパフォーマンスなコンピューティングリソースの登場、ひいてはクラウドの発展に足並みを揃えていると言えるでしょう。必要な知識も移り変わるので、認定資格の学習範囲もアップデートされて然りということです。
LPIの新資格紹介「Linux Essentials」「DevOps Toolsエンジニア」……LPICレベル3は新試験が登場?
このような時代の潮流に合わせて、LPIでは資格のラインナップを更新・拡充しています。セミナーでは、以下の内容が紹介されました。
【新しいエントリー資格 LPI Linux Essentials】
LPICレベル1相当の知識までは必要ないけれども、Linuxの基礎知識は必要で、学習目標の設定や実力の証明ができる国際認定資格をお探しの方におすすめです。(パーソナリティを絞り込みまくっている感がありますが、)開発系のエンジニアの皆さんや、ディレクション主体のユーザー企業のITシステム部の方、新入社員や内定者の皆さんなど、幅広い対象者の知識修得を支援する資格です。
【LPIC-3がこの秋 一部改訂予定】
LPICレベル3試験 は、304試験から分割される格好で、305試験が新設される予定だそうです。現在、仮想化と高可用性を試験範囲として扱っている304試験ですが、このうち仮想化が304試験に、高可用性は305試験に分離。仮想化の試験範囲にはDockerなどコンテナ関連の技術が含まれる見込みです。
【DevOps Toolsエンジニア日本語試験がまもなく配信開始予定】
ソフトウェア開発のワークフロー管理と、DevOpsのツールに関する試験「DevOps Toolsエンジニア試験」は英語版がすでに提供済みですが、いよいよ日本語版がリリース間近とのこと。
[DevOps Toolsエンジニア試験範囲に含まれるツール群]
・モダンな開発 Git、Jenkins
・コンテナ管理 Docker、Kubernetes
・デプロイ Vagrant Box、packer
・構成管理 Ansible、Chef、Puppet
・ITオペレーション Prometheus、logstash
etc...
DevOps Toolsエンジニア資格、おもしろそうですね!日本語試験がリリースされたら、私もチャレンジしてみたいと思います。
▽各資格の詳細はこちらから
https://www.lpi.org/ja/our-certifications/summary-of-certifications(外部サイトへ)
すべてのインフラエンジニアとクラウドエンジニアにおすすめ、「LPIC Level-1 BOOT CAMP」
新資格も含めて、クラウド時代に最適化された資格ロードマップが提供されていますので、LPI認定資格の取得を目標に学習していけば、Linuxエンジニアとして着実なステップアップが可能です。
入門の「Linuxエッセンシャル」を取得した方に、次なるステップアップで取得を目指していただきたいのがLPIC-1です。また、DevOpsエンジニアやLPIC-3受験相当の知識・スキルの素地となるのもLPIC-1なのです。
トレノケートでは、LPICレベル1取得を目指す方、インフラエンジニアやクラウドエンジニアの育成をご検討の方に、新しいLPIC資格対策コースを提供開始いたします。
【LPIC Level-1 BOOT CAMP】
「講義+実機操作+練習問題+模擬問題+本試験(または受験バウチャ―)」をパッケージした、トレノケートの資格対策シリーズ「BOOT CAMP」の最新コースです。短期集中(各試験に対し、講義3日+試験対策&受験1日)でLPICレベル1の取得を目指します。新入社員研修、年次研修など一社向け研修はもちろん、2019年10月より定期開催のクラスも提供します。どうぞご検討ください。
LPIC Level1 BOOT CAMP 前編 ~LPIC 101 v5.0(101-500)対応~ [試験あり]
LPIC Level1 BOOT CAMP 後編 ~LPIC 102 v5.0(102-500)対応~ [試験あり]