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DX認定制度とは?企業が知りたいメリットや認定の流れを解説

企業の公式ホームページを見ているとDX認定制度についての取り組みが記載されていたり、DX認定のロゴを見かけたりします。

また、経済産業省の調査によると実際に認定を受けた約80%の認定事業者が「認定にかかる取り組みに効果があった」と回答していますが、詳細を把握していない方も多いでしょう。
DX認定は企業が労働力不足や業務の効率化、ひいては新しい事業を生み出す際に必要な取り組みを進めるきっかけになるため、認定を目指すことも取り組みの選択肢としておすすめです。

本記事では企業が知っておきたいDX認定制度のメリットやDXを推進しない場合に懸念されるシナリオを紹介します。

 

DX認定とは?誰が認定するのか

ここではDX認定について概要を解説します。DX認定は国が主体の制度であることや、認定の条件が定まっている点が特徴です。

国がDXを推進する企業を認定する制度

DX認定は国(経済産業省)が「情報処理の促進に関する法律」に基づき、デジタルガバナンス・コードの基準に対応する企業を「DXを推進している企業」として認める制度です。

 

なお、実際に審査や問い合わせを担当するのは独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が行います。DX認定を目指す企業がIPAに投資審査を受け、最終的に経済産業省から認定を受けます。

デジタルガ  バナンス・コードについて

DX認定を目指す際に必ず目を通したいのが「デジタルガバナンス・コード」です。デジタルガバナンス・コードはDX認定に必要な項目をまとめており、企業は自社がその基準を満たしているかを確認・改善して申請を目指します。

なお、デジタルガバナンス・コードは時代の変化に合わせて改定されており、2022年には「デジタルガバナンス・コード2.0」が発表されています。

 

企業がDX  認定を受けるメリット

ここからは各企業がDX認定を受けるメリットを4つ紹介します。DX認定はBtoBBtoC問わず自社の取り組みをアピールできるだけでなく、各種財政上での優遇も受けられます。なお、DX認定の情報は定期的に更新されているため最新の情報は経済産業省の 公式ページ よりご確認ください。

DX認定制度ロゴマークを使用できる

DX認定を受けた企業は所定のロゴマークを活用できます。そのため、自社の取り組みを公式ホームページや従業員の名刺などでアピール可能です。

認定を受けた企業は「DX推進ポータル」というページからロゴのダウンロードが可能です。なお、使用にあたってはDX認定制度の普及に繋がる用途であることや、規約を遵守した活用が求められます。

中小企業は金融支援措置を受けられる

中小企業がDX認定を受けた場合、融資の優遇を受けられます。DX化にはシステム導入や人材登用などコストがかかるため、新たに融資を行う企業が多くなります。それらに伴う設備・人材投資に必要な資金を日本政策金融公庫から基準利率よりも低い利率で借入可能です。

 

また、中小企業信用保険 の特例を受けることも可能です。DX推進に伴い必要な情報処理システムの維持にかかる設備資金等について、普通保険等と別枠での追加保証や保証枠の拡大を受けられるメリットもあります。

税制による支援措置が受けられる

DX認定を受け、さらに範囲を拡大した取り組み計画を主務大臣から認定された場合、DX投資促進税制によりDX化に必要なデジタル関連投資に対する税額控除や特別償却が受けられます。具体的には、国内事業において使用した設備の取得額のうち、30%の特別償却または3%の税額控除を選択可能であったり、ソフトウェアの新設・増設における費用の30%の特別償却または3%の税額控除を選択できたりします。なお、グループ外の事業者とデータ連携する場合は5%の税額控除も受けられます。 

システム導入は多額のコストがかかる上、維持に費用がかかるため税制措置は大きなメリットです。

人材育成への支援が受けられる

DX認定は人材育成の観点でもメリットがあります。DX人材の育成は厚生労働省認定の「人材開発支援助成金」の中でも「人への投資促進コース」に該当します。「人への投資促進コース」ではデジタル人材や高度人材を育成する場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する支援を受けられます。詳細は各都道府県の労働局で確認できるため、これからDX人材の育成を行う場合は活用がおすすめです。

DX認定制度が設けられた背景

ここからはDX認定制度が設けられた理由を2つ紹介します。国や企業がDXを急ぐ背景には「2025年の崖」が挙げられます。

2025年の崖への対策

DX推進を急ぐ背景の1つとして数年後に懸念される2025年の崖という問題があります。

企業において既存のシステムがあったとしても、複雑化しており部署を超えて横断的データ活用ができなかったり、ブラックボックス化したりするとシステムを十分に活かせません。

また、経営陣がそれらの問題を解決しようとしても現場の従業員が抵抗したり、予算や人材不足を理由に足踏みしたりしていると2025年以降年間で最大12兆円の経済損失が発生すると予想されており、これを2025年の崖と呼んでいます。なお、年間12兆円の経済損失は現状の約3倍ともされており、いかに大きなマイナスかがわかります。

DXを推進し、企業がクリアかつ効率的な経営活動を行うことで2025年の崖克服を目指します。

デジタル競争で負けない企業を増やす取り組みが欠かせない

企業が市場で生き抜くためには、国内はもちろん世界規模での活躍も必要です。デジタル技術の進歩やインターネットの広がりは市場を国内から世界に広げています。しかし、日本のデジタル競争力は63カ国中27位と順位は決して高くありません。世界で戦える企業を目指すためにも2025年の崖を克服し、DX人材を育成しデジタル競争で負けない企業を作ることが大切です。

企業がDXを推進しない場合に起こりうるシナリオ

ここからは万が一、企業がDXを推進しなかった場合に起こりうるシナリオを紹介します。今すぐに問題が起こるわけではありませんが、ますます技術が進歩するにつれて企業間の競争で遅れをとる可能性があります。

増加するデータを把握できず市場競争に負ける

まず、デジタル機器を使いこなせない場合、自社を取り巻くさまざまなデータを把握できず、競合他社との差が広がる可能性があります。

近年は店舗から収集するデータだけでなくSNSをはじめとしたWEB上のデータ利活用も重要です。WEB上のデータはクラウドサービスやシステムを利用して収集するため、機器やツールを使いこなせない場合は適正なデータを把握できず、ビジネスチャンスを逃すシナリオが懸念されます。

技術面での負債を抱える

DXを推進しない場合、技術的負債を抱え、業務基盤維持や継承が難しくなる可能性もあります。DXは労働人口の減少による働き手不足を改善する目的もあり、デジタル技術を導入して技術を継承したり、企業風土をそのままに時代に合わせた業務手法に切り替えたりする際に役立ちます。

しかし、技術の伝承が的確に行われないまま熟練者が退職すると企業が提供する商品やサービスの質が低下します。その場合、現状維持にリソースを割くこととなりアイディアの創出や新たな事業展開にまで手が回らないでしょう。

継承された技術を適切に受け継ぎ、新たな業務基盤に発展させるためにDX推進は必要です。

セキュリティが甘く情報流出や消失が起こる

DXを推進せず、老朽化したシステムを利用する場合、サイバーセキュリティや事故・災害など未曾有のトラブルから自社情報を守れません。またセキュリティが脆弱な場合は顧客情報や自社の機密情報漏洩も懸念されます。

 

デジタル技術の進歩と並行して高度なサイバー犯罪が起こっています。DX推進にあわせ、最新のデジタル機器を導入して自社の情報資産を守ることが大切です。

クラウドベースの市場に変化した場合ビジネスチャンスを失う

どの業界においてもクラウドベースでのサービス展開が広がっています。かつては実店舗でのみサービス提供を行っていた企業も一部分、もしくはほとんどをクラウド上で商品やサービスを提供する時代が来る可能性もあります。実際にコロナウイルスが流行した時期は会議や契約書のオンライン化が進みました。

 

労働力不足解消や人件費を削減できるメリットをもつクラウドベースのビジネスモデルは、今後はますます広がると予想されています。DX推進をためらっているとビジネスチャンスを逃し、企業の存続に影を落とす可能性もあるでしょう。

優秀な人材の定着が困難になる

DXの推進が遅れると、DX推進に適した人材は他の企業に流れてしまいます。DX推進に適した人材は常に最新の情報に触れ、そのなかでアイディアを創出し、企業に役立てたり知識を活かして人材育成に携わったりします。そのため、自社の成長が止まっており、今後も変化が見られないと判断されるとDX推進に適した人材は離れていき、新たな採用が難しくなるでしょう。

 

この結果、DXの推進が進んでいない企業は人材確保でも他社に遅れを取る可能性があります。

 

DX認定制度申し込みの流れ

ここからはDX認定制度に申し込む際の流れを解説します。申込みは申請書の提出だけでなく、認定基準を満たしているかの確認や自社のDXへの取り組みを示す資料が必要なためスケジュールにゆとりを持つことがおすすめです。

 

経営層へのヒアリングや情報共有が必要なものもあるため、関係者全員でスケジュールを共有しながら進めることが大切です。

デジタル  ガバナンス・コードの基本事項を確認

申請にあたり、経済産業省が定める「デジタルガバナンス・コード2.0」に対応しているかどうかを確認します。デジタルガバナンス・コードではさまざまな基準を定めているため、順をおって確認します。

 

具体的には下記の要素が挙げられます。

*経営ビジョンやビジネスモデルの方向性を広く公表しているか。

*デジタル技術を活用するための戦略を広く公表しているか。

*DXへ取り組む上で必要なIT・デジタル人材の定義、人材獲得・育成方法を明確にし、かつ公表しているか。

*ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に向けた施策を公表しているか。

 

上記は一例のため、デジタルガバナンスコード・2.0に目を通し、不足するポイントは業務改善や資料の作成に取り組み、改善してから申請を行います。

 

gBizID の取得

DX認定制度を受けるには政府が発行するgBizIDの取得が必要です。登録が済んでいない場合はこちらの取得を先に行います。なお、gBizには下記3種類があり対象の行政サービスが異なります。

 

gBizIDエントリー:事業をしている場合誰でも登録可能。行政サービスに制限あり。

gBizIDメンバー:gBizIDプライムに登録している企業(組織)に属する従業員。行政サービスに制限あり。

gBizIDプライム:個人事業主や法人の代表が登録可能。行政サービスの利用は多数可能。ただし書類審査が必要。

 

アカウント取得のホームページから住所や氏名、法人番号などを入力して申請を行います。エントリーとメンバーは書類審査が無いため登録までの時間が比較的短く済みますが、プライムへの登録の場合は書類の用意や審査の期間がかかるため、ゆとりある登録がおすすめです。

申請書やチェックシートをダウンロードして申請

gBizIDへの登録が済んだら、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)のホームページで公開されている「認定申請書」「申請チェックシート」をダウンロードし記入します。申請時は自社の戦略やデジタル活用などに関する資料もあわせて準備します。資料の作成に最も時間がかかるため、申請の流れを把握した上で資料作りに時間をかけられるスケジュールを組みます。なお、申請後は60營業日を目安に審査が行われ、事務局からメールで認定結果が届きます。

DX認定制度自体は年間を通じて申請可能なためいつでも申請できますが、自社の取り組みを示す資料作りには時間がかかります。そのため、数ヶ月程度の期間を用意して資料作りを進めましょう。

 

まとめ

DX認定は国が行う制度のため、認定を受けると制措置や融資の優遇を受けられるメリットがあります。またDX認定をきっかけに社内のDX推進を行うと、業務の効率化や有用な人材の育成にもつながります。新たな時代に企業が適用していくためにも、DX認定への取り組みを検討するのも良いでしょう。

DX人材の育成にお悩みの場合はトレノケートにご相談ください。これまでさまざまな企業の人材育成を行ってきた実績をもとに、DX人材育成をサポートいたします。

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