【PMBOK®ガイド第6版の変更点】 第1回:プロジェクトマネジメント・ビジネス文書
【PMBOK®ガイド第6版の変更点】では、2017年9月にリリースされたPMBOK®ガイド第6版と第5版との主な変更点を数回にわたり紹介していきます。
プロジェクトマネジメント・ビジネス文書
PMBOK®ガイド第6版では、プロジェクトマネジメント・ビジネス文書という第5版までにはなかった文書が登場しました。
プロジェクト・ビジネス文書は、ビジネス・ケースとプロジェクト・ベネフィット・マネジメント計画書から構成されています。
ビジネス・ケース
ビジネス・ケースは、第5版までにもありましたが、「プロジェクトの立上げの目標および理由」を記載したものです。組織の戦略や問題などを分析し、そこからビジネス・ニーズを引出し、プロジェクトの立上げにつながる文書です。
プロジェクト・ベネフィット・マネジメント計画書
一方、プロジェクト・ベネフィット・マネジメント計画書は、プロジェクトのベネフィットがいつどのように実現するかを説明し、そしてこれらのベネフィットの測定を実現するためのメカニズムを説明する文書です。プロジェクトによって実現されるベネフィットの価値と比較したコストの見積りなども含まれます。ここから、プロジェクトからもたらされる事業価値の検証とロジェクト成功の妥当性確認ができます。
プロジェクトの実施を任されたので成功を目指すというだけでなく、事業価値の実現までプロジェクト・マネジャーに求めているということになります。ただし、プロジェクト・マネジャーの責任範囲については組織によって異なるとしています。
プロジェクト・マネジャーの役割
また、PMBOK®ガイド第6版には、「プロジェクト・マネジャーの役割」という章も新設されています。プロジェクト・ビジネス文書を受けて、そこではプロジェクト・ベネフィットに関するスキルも求めています。次のような内容です。
- プロジェクトのビジネスの側面を他者に説明する
- プロジェクトの戦略的側面を実現するために、スポンサー、チーム、専門家と協働する
- プロジェクトの事業価値を最大化するように戦略を実現する
このようなことから、プロジェクト・マネジャーに求める見識の領域が広がってきているという印象を受けます。
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