「それ、もっと早く言ってよ」となる前に
特に何事もなく進んでいると思っていたら
部下に仕事を任せ、特に何事もなく進んでいると思っていたら、最後の最後で「やっぱり、期限に間に合いません。」と、どんでん返しを食らったことがあります。
- 報告する機会はいくらでもあったのではないか?
- 何で一言言ってくれなかったのか?
- どうして、もっと早くいってくれないのか?
など、疑問だらけでした。
相談された時には、時すでに遅し。
「それ、もっと早く言ってよ」
チームリーダーであれば、このような経験を一度ぐらいしているのではないでしょうか。
どうしてこのようなことが起こるのかを改めて考えてみました。
部下の視点
部下の視点からは以下のようなことが考えられます。
▼未来への不安
- 何て言って、切り出していいか分からない
- こんなこと相談したら、何て言われるか不安・心配
- 怒られそうな気がする
- あまり話したことがないので、声を掛けづらい
- いつも忙しそうにしているので、声を掛けることができない
- 怒っている/イライラしているように見えるので、声を掛けることができない
▼過去の経験
- 後回しにされた。その後も、音沙汰なし
- 批判や否定、注意ばかりされた
- 自分で考えろと言われた
- 相談していい内容なのか分からない
- 話を最後まで聴いてもらえなかった
- 話が長い(5分のつもりが1時間も話すことになった)
- いいアドバイスをもらえない
- こんなことも分からないのって言われた
上司の視点
一方、上司の視点から考えられることは、以下のようなことです。
- 解決策も考えて、相談してくるのが当たり前
- 言われたことはちゃんとやるはず
- 報連相は社会人の基本、できるはず
- 「相談しろ」っていつも言っているから安心しきっている
- 何もないのは、問題ない証拠という根拠のない自信
一見すると、部下の言動に多くの問題があるように思えます。
1日1回一言でも構いません
しかし、ここで挙げている部下の言動のほとんどは、上司の日々の関わり方一つでどうにかできることばかりです。
例えば、上司が1日1回たった一言でもいいから、「最近、忙しそうだけど大丈夫?」と声を掛けてみたらどうなるでしょう。日々のこの一言の積み重ねが、部下には上司であるあなたからの心配りや親しみやすさとして伝わり、部下の視点にある「▼未来への不安」は解消される可能性が高くなります。
「それ、もっと早く言ってよ」となる前に、
上司であるあなたからのはじめの一歩として、
「最近、どう?」「困ってることない?」
「楽しそうに見えるけど、何かいいことあった?」
「何か気になることがあるの?ちょっと、話そうか」
など、声を掛けてみるのです。
1日1回一言でも構いません。まずは部下と対話の機会を増やしてみてはいかがでしょうか。
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山内 翼(やまうち たすく)
トレノケート株式会社 講師。人材教育コンサルタント / PMI®認定PMP® / CPCC(CertifiedProffesionalCoactiveCoach:CTI認定コーアクティブ・コーチ)。 2002年よりIT系企業にて15年間、Webデザイナー、プログラマ、システムエンジニア、プロジェクトマネージャ(PM)、 プロジェクト・マネジメント・オフィス(PMO)にて業務系システム開発を中心に活動。 その他、社内人材育成を推進。社内教育の企画立案/運営/講師を担当。 2017年より現職。プロジェクトマネジメントおよびヒューマン・スキル講師としてIT業界に限らず幅広く人材育成支援に当たっている。