catch-img

PM育成の属人化を防ぐには?標準化と人材交流という2つの解決策

プロジェクトマネージャー(PM)の育成において、「個別最適」と「属人化」は表裏一体の関係にあります。
育成対象に合わせるほど、やり方は人に依存しやすくなる。このジレンマにどう向き合うべきでしょうか。
 
本コラムでは、属人化を抑えながら育成の質を高めるための2つの視点、「標準化」と「人材交流」について解説します。

目次

PM育成における「テーラリング」と「属人化」のジレンマ

前回 は「PMの育成に当たって、最初に整理すべきことは何か」について、お話ししました。
 
具体的には「どのようになってほしいのかを明確にする」「育成対象をきちんと見る」という2点の重要性について、お伝えしました。また特に後者においては、「テーラリングが重要である」ということをお伝えしました。
 
しかしテーラリングで育成対象に合わせすぎると、どうしても「属人化」という別の問題が頭をもたげてきます。育成対象に合わせて育成の仕方を変えていく以上、育成を担う立場にある人物に、ある程度はやり方を任せる必要があります。
 
これが「育成の属人化」を生んでしまうのです。これは非常に重要かつ難しい問題です。
 
▼併せて読みたい記事(第一回コラム)

PM育成の属人化を防ぐための2つの視点

難しい問題なので、読者の皆様全員にご納得いただけるような回答を提示するのは至難の業ではありますが、敢えて2つだけ挙げるとしたら、「標準化」と「人材交流」でしょうか。

標準化:拠り所となる“共通の型”をつくる

まず一点目の「標準化」ですが、以前、特定個社向けの研修の実施で伺った企業様でこんなことがありました。
 
私は研修講師という立場で出向いたのですが、研修の冒頭、その企業様のPMO部門の方から、受講される皆様に向けてお話をして頂けました。その企業様では、PMBOK® Guide等をベースとして、自社のプロジェクトマネジメントの標準化に取り組み、その成果が出始めているところでした。
 
PMO部門の方は、具体的な数値を挙げながら、「全社で標準を導入したら、納期遅れのプロジェクトがXXパーセント減少した」「今日の研修では、我々の標準のもとになっているPMBOK® Guideをベースにした内容を学んでもらう」といった内容をお話されていました。
 
その時に強く感じたのは、やはり「拠り所となる自社標準の重要性」でした。
 
標準に従って進めることで、「このフェーズではXXを作らなければならない」「こういったときに必要な情報はXXに格納してあるので参照する」といったことが徹底され、最低限守るべき道筋から外れてしまうリスクは減らすことができます。
 
これにより、「これだけは絶対に守る」という意識を植え付けることができ、結果的には属人化の負の側面による悪影響を、低減できるのではないでしょうか。
 
現在、ちょうど良いタイミングで、PMBOK® Guide第8版が刊行されています。残念ながら、英語版のみで、まだ日本語版は刊行されていません(2026年4月1日現在)が、英語版を見る限り、プロセス・ベースの考え方が復活し、1つ前の第7版よりは、格段に実務に適用しやすくなっています。
 
良い機会ですので、一度PMBOK® Guide第8版をお手に取ってみてはいかがでしょうか。
 
▼併せて読みたい記事

人材交流:育成の視点を組織で共有する

次の「人材交流」ですが、これについてはぜひ、育成を担当する方々(OJT担当者やメンターなど)で、定期的に意見交換等の機会を持っていただきたいのです。
 
ともすれば、育成は担当者と育成対象者だけの関係性になりがちです。そうなると、どうしても指導する側の意向のみが強く反映され、それが属人化につながっていく恐れがあります。それを回避するため、育成を担う方々同士で定期的に交流する機会、ざっくばらんに意見交換できる機会を設けていただきたいのです。
 
そうすることで、「自分はこういう考えで育成していたが、なるほど、別の考えもあるのだな」「あまり意識せずにやっていたが、他の担当者から見ると、自分のやり方は非常に良い方法に見えたようだ(だったら、以降も意識的に継続しよう)」「自分は何の気なしに発言していたが、そういった受け取られ方をする恐れもあるのだな」といった具合に、様々な気付きを得ることができます。自分を客観視することができ、ひいては属人化の抑止にもつながります。

PM育成における属人化を防ぐ本質は「自分を客観視すること」

良く言われることですが、人は自分自身のことをあまり客観的に把握できていないことが多々あります。
 
自分自身のことを客観的に把握し、属人化を防ぐための「標準化」「人材交流」という側面も多分にあるのではないかと考えます。

プロジェクトマネジャー(PM)育成ならトレノケート

PM育成の進め方は、組織の状況や対象人材によって最適解が異なります。

自社に合った育成の進め方を整理したい場合は、トレノケートの専門スタッフが現状を伺いながらご支援することも可能です。

▼人材育成のお悩みに関するご相談はこちら
人材育成お悩み相談室

▼一社向けカスタマイズ研修はこちら
一社向け研修

▼プロジェクトマネジメント研修はこちら
プロジェクトマネジメント研修

横山 昇(よこやま のぼる)

トレノケート株式会社 講師。PMI®認定PMP® (Project Management Professional)。大手物流企業の社内SEを皮切りに、大手SIer、ITベンチャー企業数社を経て、現職に至る。 現在は、若手向けのプロジェクト入門コースから、プロジェクトマネジメントの基礎コース、応用コースまで対応。 「楽しくなければ、身につくはずのものも身につかない」をモットーに、日々明るく楽しい研修になるよう心掛けている。 趣味は旅行。「きれいな景色と温泉とトレッキングとローカル線」を求める渋い旅が好き。