【人材開発用語集】フロー効果(フロー体験)
人材開発に関する用語をトレノケートの講師がわかりやすく解説します。
フロー効果(フロー体験)
フローとは、極めて集中して物事に取り組んでいる時、時の経過や自我の感覚を忘れ、普段よりも効率的に最大限の力を発揮できている状態をいう。
ある物事に必死に取り組んでいてふと時計を見ると、「あれ、もうこんな時間なのか」と感じた時はフローの状態になっていたといえる。
スポーツでは同じような状態のことを「ゾーン」と呼ぶことも多い。フローは、目標が明確で、迅速なフィードバック(結果の伝達)があり、スキル(技能)とチャレンジ(挑戦)のバランスが取れたぎりぎりのところで活動している時に起こりやすい。フローを多く経験することで、自己成長やモチベーションの増加、充実度の高まりなどの効果がある。
(参考文献)M.チクセントミハイ『フロー体験入門』世界思想社
コラム
フローを自ら創り出した女性の話です。彼女は、ある部門の経理業務全般を担当していて、日々部門メンバから依頼される事務手続きや月末の売上・費用管理等を行っていました。業務のほとんどが決まり切ったことを繰り返す定型業務でした。このため、やりがいを感じられず、最初の数年間は仕事が苦痛だったそうです。
しかし、この状況をなんとか打破できないかと考え、定型業務を行う際に業務にかかる時間を計測・記録し、短縮できる方法を探りながら、毎回集中して取り組むようにしました。もちろん、品質は落とさずに時間を短縮するための様々な創意工夫を考え取り入れました。
すると、それまで苦痛でしかなかった業務がだんだん楽しくなり、仕事にやりがいを感じられるようになったのです。これはまさに、フローの状態を自ら作り出したことに他なりません。
フローを多く経験することによる効果は他のところにも現れました。仕事にやりがいを感じられるようになったら、次に「もっと色々な知識を身につけたい」と考えるようになり、社外のセミナーや勉強会にも積極的に参加しはじめたそうです。
「やる気が上がらない」と話してくれた数か月後に再会した時は、「社内で部門横断の業務効率化ワーキンググループが立ち上がり、主要メンバとして他部門の人たちを指導する役割に抜擢された。また、活動が評価され、給料もアップした」と笑顔で話してくれました。
文責:都川 信和/国家資格キャリアコンサルタント