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生成AIの活用事例を紹介!各企業や業界での活用方法をチェックしよう

生成AIは、個人が利用し「便利で楽しい」だけではなく、企業での活用が進んでいます。経済産業省が生成AIの開発を支援する動きも見られ、2023年10月には文部科学省管轄の国立情報学研究所における生成AI(人工知能)開発を支援するとの発表もありました。このことから、生成AIの活用は今後多くの業界・業種まで普及すると考えられます。

今回は生成AIの活用事例を紹介します。事例を確認することで、自社での導入イメージが湧いたり注意点が把握できたりするため、ぜひ参考にしてください。

 

生成AIとは

生成AIは「Generative AI:ジェネレーティブAI」とも呼ばれ、

人工知能技術を活用して新しいデータやコンテンツを生成する革新的なツールです。例えば、ChatGPTなどの生成AIツールは、入力されたデータを分析し、そのパターンを学習して新しいテキストやアイディアを生成します。生成AIは、文章や音声、画像、動画の生成など、多岐にわたる分野 で活用されています。

生成AIに欠かせない「ディープラーニング」

AIを理解する上で欠かせない要素として「ディープラーニング」があります。ディープラーニングは、複雑なパターン認識や意思決定タスクをコンピュータに学習させるための人工知能技術の一つです。
ディープラーニングは、私たち人間の脳のニューロンの仕組みを模した「ニューラルネットワーク」がベースになっています。ニューラルネットワークは、多数の層を持ち、それぞれの層が複雑な処理を行います。これにより、ディープラーニングは提供されたデータから複雑な特徴を抽出し、より精度の高い予測や分析を行うことができます。その結果、AIは単にデータを出力するだけでなく、新たな洞察や有用な情報を提供することが可能になります。

従来のAIは過去の情報を識別して予測をたてる

生成 AI と従来の AI では学習方法が異なります。従来の AI は主に大量のデータを分析し、そのパターンを学習して特定の問題に対する答えを予測することに重点を置いていました。一方、生成 AI は学習した大量のデータが持つ特徴を基に、新しいデータやコンテンツを創造する能力を持ちます。これにより、既存の情報の組み合わせを超えて、新たなアイディアや解決策を生み出すことが可能です。

【日本企業】生成AIの活用事例4

ここからは実際に生成AIを活用した企業の事例を4つ紹介します。国内企業では業界業種を問わず、生成AIを取り入れることで業務効率向上や革新的な取り組みにつなげています。

Lineヤフー株式会社:PayPayフリマ

Lineヤフー株式会社では自社で運営するフリマアプリの「PayPayフリマ」において、OpenAIが提供する生成AIを利用した事例が見られます。具体的には、商品を出品する際に商品説明文を自動で作成することで、安定したクオリティーの説明文が作成可能になりました。

フリマアプリにおいては出品者が商品説明に悩んで出品を止めてしまうケースも見られ、出品初心者の場合は「どのような情報を書けば売れるのか」と悩みを抱えることもあります。しかし、生成AIを導入することで出品時に必要情報を入力し、AIからの提案のボタンをタップするだけで商品説明文が自動で生成されます。

そのため、同サービスを利用する顧客の負担が減り顧客満足度の上昇につながると考えられます。

パナソニック コネクト株式会社:ConnectAI

パナソニックグループの会社であるパナソニックコネクト株式会社では、OpenAIが提供するAIをベースに開発した自社向けのAIアシスタントサービスの運用を開始しています。パナソニックコネクト株式会社は2022年4月設立の新しい企業ではありますが、生成AIによる業務の生産性向上や各種AIツールの活用に積極的に取り組んでいます。しかし、活用を進める中で、ツールを使っても自社特有の情報への質問に回答できなかったり、引用元などが不明のため正確性が確認できなかったりすることなどが課題であるとわかり、公式の自社情報に対しても回答する自社特化のAI活用に深化させることにチャレンジをしています。

試験運用の結果を受け、2023年10月以降は自社固有の社外秘情報に回答してくれるAIの活用開始を予定しています。同社では独自に定めた4つのステップ    を踏み、最終的に社内の職種や役割に応じて質問に回答できるAI・個人の役割に応じ回答するAIの活用を目指しています。この取り組みからわかることとして、汎用的な生成AIはあくまで一般情報を提供するために活用でき、各社特有の情報やニュアンスを汲み取れない点が課題であることが推察できます。

江崎グリコ株式会社:AIチャットボット

江崎グリコ株式会社では、 AIチャットボットの活用で、日本国内にあるグリコグループの社内における問い合わせ対応の効率化に成功。グリコグループではそれまでもデジタル戦略を策定し、価値を生み出しながら効率的に業務を行える仕組み作りに取り組んでおり、その一環として全社で業務の可視化を実施しました。

 

その際に何にどれくらいの時間がかかっているか洗い出していたところ、「バックオフィス部門では、問い合わせ対応が上位を占めていた」という課題が見つかりました。その課題を解決するために、AIチャットボットの導入に踏み出しました。導入したAIチャットボットは、ITリテラシーが充分でない社員でも簡単に運用でき、AIチャットボットに”チャボット”という名前をつけることで、チャボットという名前で親しまれ、社内の文化として、「まずはチャボットに聞いてみよう」という雰囲気の醸成に役立ったそうです。具体的な効果としては、お問い合わせの対応件数を30%以上削減することにつながりました。

 

江崎グリコ株式会社 では2024  年末までに「全社員の約1400人を対象にデジタル教育を実施する」という取り組みも公表されており、デジタル活用の動きが顕著です。

 

株式会社 ベルシステム24:コンタクトセンターオートメーション

コンタクトセンタービジネスを展開する株式会社ベルシステム24は日本マイクロソフト株式会社とGoogle Cloudの生成AIを活用した業務の効率化を行いました。
この取り組みにおいてはオペレーターが担当する一件あたりの処理時間を大幅に削減することよりオペレーターの負担軽減への効果が実証されています。今後は、オペレーターの人材育成だけでなく、データ収集や活用に向けたノウハウや知見を蓄積し、その先のビジネスも目指しています。

 

【海外企業】生成AIの活用事例3選

ここからは海外企業における生成AIの活用事例を紹介します。

ウォルマート :自動交渉AI

アメリカに本社を置く大手スーパーマーケットチェーンのウォルマートは商談に生成AIを活用しました。

ウォルマートは大手のスーパーマーケットであることから10万を超えるサプライヤーとの取引において、すべてのと交渉することができず、サプライヤーの約20%と交渉も行わずに画一的な条件の契約書に署名するという状態でした。しかし、対面での交渉を望むサプライヤーもいましたが、生成AIを好むサプライヤーもいたため、パイロット運用後、交渉が成立したサプライヤーへ行ったインタビューでは、83%のサプライヤーがこのシステムを使いやすいと評価しています。

対面での交渉では、事前に質問をもらえないこともあり、リアルタイムで対応しなければなりません。しかし、生成AIを利用することで、自分のペースで交渉について考える時間がある商談が可能となりました。

シーメンス: 組織効率化AI

ドイツに本社を置くシーメンスではMicrosoft社と共同で生成AIを基盤にしたアプリケーションを開発しました。同アプリケーションの導入により工業組織の効率化を行いました。

設計エンジニア、現場作業員、そして他の部署との間で、より迅速に、それぞれのフィードバックを共有し、共同で課題を解決することを目指した取り組みです。たとえば、サービス・エンジニアや製造作業員は、自然な言葉でモバイル・デバイスに問いかけるだけで、製品の設計や品質に関する懸念事項について文書にまとめ、報告することができます。アプリケーションは、その問いかけのデータをAzure OpenAI Serviceで解析、要約し、レポートを自動的に作成し、Teamcenter内で設計、エンジニアリング、担当のエキスパートに共有します。また、作業員は自分の母国語での観察結果録音を可能にしました。録音内容は、Microsoft Azure AIによって企業の公用言語に翻訳されます。

エクスペディア :プランニングAI

アメリカに本社を置き、オンライン旅行通販事業を営むエクスペディアは自社サービスに生成AIを導入しました。

旅行者が旅行計画のあらゆる点について生成AIによる「会話機能」を利用でき、その会話で勧められたホテルを新しい「旅行」に保存し、簡単に旅行を組み立てることができるようにするものです。

生成AIを導入することで予約のサポートを行えたり、効率的にプランを提供できたりするこが可能になります。同社では、オンラインシステムで予約する旅行関係者や消費者は全体のわずか20 に過ぎないと推定しており、競合他社を圧倒し収益を拡大し続けるためアプローチとして考案されました。

事例からわかる生成AIを活用するポイント

ここからは紹介した事例からわかる生成AI活用のポイントを3つ紹介します。

ポイント1:効率化とコスト削減

生成AIを活用することで企業は業務プロセスを効率化し、コスト削減を実現できます。

例えば、江崎グリコは社内問い合わせの対応を自動化し、労力と時間の削減を達成しました。また、ウォルマートはサプライヤーとの交渉を効率化し、商談期間の大幅な削減を実現しています。

自社の業務で「時間」「作業量」という観点で業務を洗い出し、生成AIで効率化とコスト削減を検討してみるのが良いのではないでしょうか?

ポイント2:ユーザーエクスペリエンス(UX)の向上

生成AIは、顧客とのインタラクションを向上させるためにも利用されます。エクスペディアの例では、生成AIによりユーザーは自分のニーズに合った旅行プランを簡単に見つけることができます。これにより、旅行計画プロセスのUXが向上しました。

 

一般的なUX向上のアプローチでは、想定されるユーザーのインタビューや観察などを通して、ユーザー要件を明確にした上で、これに即したUIを設計し、プロトタイプによるテストを繰り返しフィードバックを受けながら、品質の向上を図ります。

 

一方、生成AIを利用したUX向上のアプローチでは、生成AIが学習することにより想定されるユーザーだけではなく、多様なユーザーに対してのUX改善が見込まれる可能性があります。

ポイント3:データ駆動型意思決定(データドリブン)

データドリブン(Data Driven)とは、収集したデータを分析し、その結果に基づいて意思決定を行うことを指します。このアプローチは、経験や感覚ではなく、データが示す根拠に従ってビジネスを活用する考え方です。

生成AIを活用すること多様なデータの学習を伴うため、学習したデータの活用によりデータに基づいた意思決定に活用することが可能になります。

 

・マーケティングと顧客分析

・製品開発とイノベーション

・サプライチェーン管理

・財務分析とリスク管理

・人事管理と労務分析

 

上記は、データドリブンが求められる機会の多い業務の一例です。生成AIによる効率化やコスト削減、UXの向上にとどまらず、意思決定の1つの方法としての活用も検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

生成AIの進歩はめざましく、利用シーンによっては日常業務で使っても問題がないと言えるほど技術の向上が見られます。また、国内外問わず自社が抱える課題に生成AIを利用する事例があり、そこから導入のヒントを得られます。

生成AIを利用する際は、生成AIの利用がゴールではなく「自社の課題を解決するために生成AIを導入する」という考え方が大切です。

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