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マスクの1on1ミーティング

コロナウィルスのこともあり、最近は「参加者も講師も全員マスク」という研修も増えています。「マスクは罹患の予防にはならない」とか「マスクは、症状のある人が付けるものだ」などと言われていますが、誰も現状がよく理解できないからこその自己防衛だと思えば、それはそれでいいじゃないかとも思います(もちろん、必要なところにマスクが届くことは最優先ですが)。


さて、最近ある企業で「1on1ミーティング」の研修を行いました。ご参加は、管理職やリーダーの皆さまです。

上司役と部下役とで1on1ミーティングのロールプレイを何度か行うこの研修。
いつもと違うことがありました。

上司も部下もマスクをしているので、互いに「目しか見えない!」のです。

表情や態度を見るのも重要な1on1。しかし……

1on1ミーティングでは、部下の言葉だけではなく表情や態度も見て、本音がどこにあるのかを読み取ることも重要です。


たとえば、言葉では「大丈夫です。全然問題ないです。仕事も楽しいですし。」と言っている部下が口を堅く結んだり、顔がこわばっていたりすれば、「それ、本当?」と疑ってかかる必要があります。「表情からは楽しそうに見えないけれど」とフィードバックして、部下の様子をうかがうと、自分の表情を指摘された部下が「え?そうですか?実は……。」と、本当の気持ちを吐露し始めるといったことも考えられます。


しかし、今は全員マスクです。
なんせ目しか出ていない。

マスクでのコミュニケーションは「眼」に注意

では、どうするか。

まず上司は、笑顔ではなく「笑眼」(えめ?えがん?)を心がけなければなりません。どんなに口角を上げていてもほとんど相手には伝わりませんので、眼で「笑顔」を表現するしかありません。

一般に、ミドルやシニアは、ただでさえ、険しい表情をしがちです。中には老眼もあって、見づらくなることから眉間にしわが寄ってしまう人もいます。
眼で笑顔を表現するとなると、相当意識して目の周辺の筋肉を動かさなければならないのです。


部下のことも、眼をよく見て理解することが求められます。この部下が何を言わんとしているのか、眼から読み取らなければなりません。眼をよく見ていないと部下のリアルな心情が受け止められないのです。




こんなに全員がマスクをしているというのは非日常ですが、それでも、部下がマスクをしているということ自体はいつでもありうる話です。


どんな時でも、部下の気持ちや状況をきちんとくみ取ることができるよう、マスクの1on1というのは、通常のロールプレイより一段難易度が高い「ストレッチ経験」の一つかなと思います。



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田中淳子(たなかじゅんこ)

田中淳子(たなかじゅんこ)

トレノケート株式会社 新規事業開発部/人材育成ソリューション部。国家資格キャリアコンサルタント / 産業カウンセラー。新入社員研修からリーダー層、管理職、若手からシニア層まで幅広くすべての人材開発のプログラム設計やコンテンツ開発、講師などを担当。2020年以降は、オンライン研修で使えるワーク集を開発したり、お客様社内での講師内製化をお手伝いしたり、DX人材育成にも関わったりと仕事の幅を広げている。 著書に、最新刊『事例で学ぶOJT 先輩トレーナーが実践する効果的な育て方』(経団連出版、2021年7月発売)、『はじめての後輩指導』(経団連出版)、トレノケート社員都川との共著『ITエンジニアとして生き残るための「対人力」の高め方』(日経BP社)など多数。人材開発に関するブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊!」などWebでの情報発信にも力を入れている。

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