顔を出すのか出さないのか、それが問題だ~オンライン研修~
オンライン会議やオンライン研修に参加する際、「顔」を出しますか?
2020年3月ごろ、会議も研修もオンライン化へ移行し始めていた頃は、「顔を出す」「顔を出さない」で議論があり、各社、ルールが一定していなかった。
ただ、現時点(2020年12月)では、「社内会議は基本、顔出さない(カメラOFF)」という企業が大半のようである。したがって研修の参加者も基本は「カメラOFF」である。
新型コロナウイルス感染症の流行以前。教室に皆さんが集まる研修を実施していた私たち講師は、目の前にいらっしゃる受講者の様子を見ながら、そうしたほうがよいと判断すれば、話す内容や順番、事例の出し方などを変化させていた。
オンライン研修となり、「カメラOFF」の方が多い中で、顔が見えない相手に研修を提供するのは当初、戸惑いを感じたものだった。
しかし、慣れてくるとどうってことはない。
講師側は、「ラジオDJ」になった気分で進行すれば、ごくごく普通に自然にふるまうことができるのだ。顔こそ見えないものの、確実に相手はネットの向こう側にいらっしゃる。ラジオDJよりは、表示されているのが黒い四角であっても見える分だけ、相手を感じやすい。
参加者には、チャット投稿を促す。いいね!ボタンなどを押してもらう。
反応があると、「あ、ちゃんと聞いてくださっている」「深く考えてくださったようだ」などと思い安心できる。
「いやいや、やはり今だって、『顔』を見ながらのほうが安心できる」という講師もいるが、慣れの問題だ。
私が「カメラOFF」で参加する理由
せっかくいろいろなことがオンライン化され、移動時間も短縮できることになったので、私もたくさんのオンラインセミナー、オンライン研修に参加してみた。
参加してみるとわかる。「カメラOFF」のほうがうんと気が楽なのだ。
たまに「カメラONにしてください」としつこく言われる研修もあるのだが、かたくなに私は「カメラOFF」のままである(ごめんなさい!)。
理由は簡単だ。
- 気が散る
講師以外の大勢の顔がどばっと一覧で目に飛び込んでくると、講師以外の参加者が気になって仕方ない。たとえば、25人までの顔が一斉に視界に入ってくる。これ、結構、思考の邪魔になる。
集合研修でも全員が同じ空間にいるじゃないかと思うかもしれない。しかし、一辺20センチ程度の枠の中に全員の顔が並んでいるというわけではない。一番前の席を選べば、他の受講者の顔を見ることなく、講師に集中できるし、仮に一番後ろに座っても見えているのは他の受講者の背中だけである。
グループワーク中心の研修で最初から島型レイアウトに着席していたとしても、視界に入る人は限られている。しかし、オンライン研修の場合、否応なしにいろんな人が目に入ってきて、集中力がそがれるのである。
私は元から気が散りやすいうえに、いろんなことが常に気になって仕方ない人間である。
だから、「この人は、リビングルームで参加しているのか」「この方の後ろにあるのはタンスなのかサイドボードなのかなんだろう」「なぜこんなに風変りなお面を飾っているのだろう?外国のお土産かしら?」とやたらといろんなことを想像してしまう。
学習に集中すべきなのに、他のことで気を取られる。
だから、自分も「カメラOFF」だが、他の人も「カメラOFF」になっているほうが参加しやすい。
- 疲労する
「カメラON」にしていると、常に常によい姿勢を保つ必要がある。極端な話だが、「カメラOFF」であれば、誰からもこちらは見えていないのだから、立ち上がって体操しながら聴こうが、音声は聴きながら、途中でお茶を淹れにいこうが、自分にとって居心地のよい体勢で参加することができる。
せっかくのオンライン研修なのだ。従来の教室とは異なるやり方で進めたらよいのだ。顔が見えなくても交流はいくらでもできる。
「カメラOFFでよいですが、チャットやいいね!では反応してくださいね」と講師が促せばたいてい応じてくださる。それでよい。
もちろん、例外はあって、新入社員研修のように、社会人の入り口できちんと学ばせたい、という場合は、終日カメラONでというルールがある企業もある。管理職研修などでも同じだ。「会社が提供する学びの機会なので、着席していることを確認できるよう研修中はすべてカメラONで」という場合もよくある。企業にルールがある場合はそれに従えばよい。
カメラONでもOFFでもどちらでもよい、というケースであれば、あえて「顔を出す」ことを求めなくてもよい。
「カメラONだったらいやだな」とオンライン研修の参加に躊躇している方がもしいらっしゃれば、私たちトレノケートが提供する研修、基本的に「カメラOFFでもONでもご自由に」というスタンスなので、気負わずご参加いただければ幸いである。