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OJTの上手な進め方とは?うまくいかない理由と解決策としての「両輪支援」

OJTがうまくいかないとき、原因は新入社員本人の姿勢や、OJTトレーナー個人の力量だけにあるとは限りません。実際には、「教える側」と「学ぶ側」の認識がずれたまま進むことで、担当者ごとにOJTの質や進め方がばらついてしまうことがあります。
 
では、OJTが“人によって違う”状態は、どこから是正すべきなのでしょうか。本記事では、OJTトレーナーと新入社員の双方が同じテーマをそれぞれの立場から学ぶ「両輪支援」という考え方をもとに、OJTの進め方と、うまくいかない状態を防ぐポイントを解説します。
 
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目次

OJTは新入社員だけでなく、OJTトレーナーにも成長機会をもたらす

早いところでは5月頃には新入社員が現場に配属され、本格的にOJTが始まります。
 
多くの企業では、新入社員一人ひとりにOJTトレーナーがつき、一定期間、仕事を覚え、自走できるようになるまで伴走します。
 
OJTトレーナーを担うのは、20~40代の先輩社員が中心です。同じ業務に携わっていること、そして「人の成長に関心があること」などを条件に、上司や人事から任命されることが一般的でしょう。
 
OJTは「新入社員を育てる仕組み」と捉えられがちです。しかし実は、OJTは新入社員だけでなく、OJTトレーナーにとっても大きな成長機会となります。そのため、OJTは「共に育つ」、いわば「共育」の取り組みだとも言えます。
 
OJTトレーナーに対して、任期を終える頃にアンケートをとると、次のような声がよく聞かれます。
  • 後輩のためのつもりで教えていたが、説明する中で自分の理解が曖昧だった点に気づき、業務理解を深めることができた
  • 教え方やフィードバックの仕方を見直すことで、自分のコミュニケーションの癖にも気づき、成長を感じた
  • 新人時代を思い出し、気持ちがリフレッシュされ、仕事へのモチベーションが高まった
「後輩のために、自分の時間を割くのは大変そうだ」と感じていたけれど、終わってみれば、自分自身の学びと成長につながる経験だった。 そう振り返る人は少なくありません。
 
ただし、OJTトレーナーに任命されたからといって、最初からうまくできるわけではありません。「OJTトレーナー」研修を通じて、トレーナーとしての役割や心構え、教え方や関わり方の基本を事前に学んでおくことはとても重要です。

OJT開始前に十分な準備をすることで、必要以上に構えすぎることなく、自信と余裕をもって新入社員に向き合うことができます。

OJTを効果的に進めるには、新入社員自身が学び方を理解しておくことも重要

OJTでは、新入社員、すなわちトレーニー側がどのように学ぶかも重要です。
 
OJTトレーナーが伴走してくれるとはいえ、成長の主体はあくまでも新入社員本人です。
学び方やOJTの活用の仕方を知らないままだと、せっかくの支援を十分に活かせず、受け身のままOJT期間を終えてしまうことも考えられます。
 
そこで重要になるのが、新入社員向けの「OJT受け方研修」です。

OJTという仕組みの中で、自分は何を考え、どう振る舞い、どのように学び成長していくのかを、自分事として考える時間を持つことが、成長の質を大きく左右します。

OJTがうまくいかない状態を防ぐ「両輪支援」の考え方

OJTトレーナーは、効果的に支援するための知識・スキル・マインドを学び、新入社員は、支援を受けながらも「自分が成長の主体である」という前提に立ち、学び方そのものを身につけていく。
 
このように、教える側と学ぶ側の双方がOJTについて学ぶことを、私たちは「両輪支援」と呼んでいます。
 
両輪支援では、OJTトレーナーと新入社員といった関係において、双方が同じテーマを自分の立場の視点から学びます。

両輪支援としての「フィードバック」

両輪支援を具体化するテーマの一つが、「フィードバック」です。
 
OJTトレーナーは、フィードバックについて、
  • その職場における“良し悪しの基準”を伝える行為である
  • 良い行動は、曖昧にせず、具体的に言語化する
  • 人格ではなく「行動」に焦点を当てる
といった「考え方」や「伝え方」を学びます。
 
一方、新入社員は、
  • いきなり「でも」「だって」と反論しない
  • 先輩が何を伝えようとしているのかを受け止める
  • 変えられる行動を、自分の意思で変えてみる

といったフィードバックの「受け方」を学びます。

両輪支援としての「コーチング」

「コーチング」も同様に、両輪支援を具体化するテーマの一つです。

OJTトレーナーは、傾聴や問いかけを通じて、新入社員の考えや学びを引き出そうとします。新入社員側は、「なぜすぐに答えを教えてくれないのか」「なぜ問いを投げかけられるのか」を理解しておくことで、コーチングが意味のある支援として機能し始めます。
 
このように、同じテーマを“鏡合わせ”のように学ぶこと。 それが、両輪支援の大きなポイントです。

双方がOJTについて学ぶことで、新入社員の成長は、より一層加速していくはずです。

OJTを両輪で支える研修・支援サービスのご案内

トレノケートでは、OJTを両輪で支えるため、以下のコースをご用意しています。

また、OJTの進め方や育成のあり方は、業種や職場環境、新入社員に期待する役割によっても異なります。 自社に合った進め方を整理したい場合は、人材育成お悩み相談室や、一社向けカスタマイズ研修もぜひご活用ください。
 
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田中淳子(たなかじゅんこ)

トレノケート株式会社 人材育成シニアコンサルタント | 【プロフィール】ビジネススキルやキャリア開発、OJT制度に関連する部下後輩の成長支援など、幅広く人材開発の支援にあたる。コンテンツ開発から研修実施まで(講師歴38年)、広く、個人と組織をより良くするお手伝いをしている。 | 【資格・認定】国家資格2級キャリアコンサルティング技能士 / 国家資格キャリアコンサルタント / 産業カウンセラー / MSQ認定モチベーションアドバンスインストラクター / 整理収納アドバイザー1級 | 【著書】著書は10冊。主な著書に『はじめての後輩指導』『事例で学ぶOJT』(共に経団連出版)、『部下と後輩を育てる47のテクニック』『ITエンジニアとして生き残るための「対人力」の高め方』(同僚・都川信和との共著)(共に日経BP社)がある。 2022年7月より音声配信Voicyにおいて「田中淳子の「人材育成」応援ラジオ」を配信(月-金、朝6:00配信)中。書籍、ブログ、音声など様々な手段で「人材育成」に関する情報発信を続けている。