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ヒューマンスキルは学習できる

作成者: 田中淳子(たなかじゅんこ)|2022-04-25

トレノケートで考えるヒューマンスキルには、コミュニケーション、プレゼンテーション、ネゴシエーション、リーダーシップ、教え育てる技術などが含まれます。

こういったヒューマンスキルを、「生来のもの」と思ってはいませんか?「性格に依存する」「生まれつき向いている、向いていないがはっきりしている」と。

確かに、多少はそういった面もあるでしょう。外交的だとか内向的だとか、人と話すことが好きとか苦手だとか......。

でも全てが性格に依存するものでもないですし、性格とは別に「学べるスキルだ」という捉え方もしていただきたいと思っています。

 

興味を持って習い、使ってみる

たとえば、皆さんが何かのスポーツを始めるとします。最初は、何をどうしたらいいかもわからないでしょう。そんな時、コーチについて、「やり方」を学ぶという方法を取ることはありませんか?スクールに通い、基本の型や動作を教えてもらう、それをやってみる、最初は難しいけれど、少しずつできるようになる......。そんな経験をしたことはないでしょうか?

スポーツに取り組む時、「性格上向いていない」などとあまり考えず、単に「挑戦してみたい」という興味に支えられて人は行動を起こすものでしょう。「習ったばかりで、なかなかできないけど、やっているうちに少しずつうまくなるかなあ」と期待を持って取り組む方が多いのではないかと思います。

ヒューマンスキルにも同じことが言えます。性格や資質のことは一旦脇に置いておいて、ちょっと興味を持って、習い、使ってみることから始めてみてはいかがでしょうか。

伝え方ひとつで状況が変わる

こんな例があります。

上司との関係がギクシャクしている人がいました。少しだけ勝気な彼女は、上司のノンビリした仕事の指示に、いつもいらいらしていました。

忙しい時間に些細な仕事を指示されたある時のこと、思わず「もう少し私の様子も把握してから、指示を出してもらえませんか?」と言ってしまったのです。こんな風に攻撃的な表現をされると、いくらノンビリした上司でもむっとするのは言うまでもありません。その一言がきっかけとなり、上司と部下は険悪なムードになってしまいました。それから1週間ほどほとんど口も聞かずに過ごす羽目に。上司も部下も共に「おもしろくない気分」を抱えて過ごさなければなりませんでした。

しばらくしてから、上司は再び彼女にノンビリと仕事の指示をしました。
彼女は、その時、たまたまコミュニケーション・スキルの勉強をした直後でした。コミュニケーション・スキルのひとつに「アサーション(相手に配慮しつつも、言いたいことを相手に伝えるスキル)」があります。この「アサーション」を使ってみようと思ったのでした。

そこで、上司に対して、このように言いました。
「○○さん(上司の名前)、今私は出かけるところで、落ち着いてお話を伺うことができません。2時間後には戻りますので、その際に改めて仕事内容をお聞きしてもよろしいですか?そうすれば、私もきちんと対応できると思います。」

すると、上司は、「あ、ごめん、ごめん。出かけるところだったのだね。戻ってきてからでいいよ。」と素直に謝り、彼女が外出先から戻るのを待つことになりました。


この話を聞いて、皆さんはどのように感じるでしょうか?
たった1週間です。部下の彼女の性格が変わったわけではないはずです。変わったのは、たった一つ、「表現の仕方」です。
「いい加減にしてくれませんか?今私が忙しいこと、見ていてわからないのですか?」から「2時間後にお話を聞いてもいいですか?」と変えただけです。


彼女の行動が変わりました。というよりも、彼女が意識的に行動を変えました。結果として、上司の反応が変わりました。

人は、他人を変えることはできませんが、自分を変える、自分が変わることはできます。自分が変わることで相手への影響を変えることができます。すると、間接的に相手が変わる可能性があるのです。

 

この例のように、ヒューマンスキルは、学んで使うことができます。性格を変えなくてもよいのです。まずは、スキルとして使ってみると、仕事の環境がほんの少し変化するかもしれません。

 

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