この記事は2014年7月3日に作成されました。 |
今回はユーザーとグループの移行についてのお話しです。
【2】 Active Directoryマイグレーション:アップグレード準備
【3】 Active Directory マイグレーション:アップグレード手順
【4】 Active Directory マイグレーション:ADMT
【5】 ユーザー・グループの移行
【6】 サーバー役割の移行
ADMT(Active Directory Migration Tool)を使えば、ユーザー、グループとも別ドメインに移行できます。
ユーザーの移行時にユーザーの既存のパスワードを移行する場合、移行元のドメインコントローラーで「パスワードエクスポートサービス」が起動している必要があります。また、ユーザーの移行と同時にグループを移行できます。
グループはグループ単独でも移行できます。この時、メンバーとして保存されているユーザーを同時に移行することもできます。
ユーザーとグループを移行するにあたり、それぞれ考慮すべきことがあります。
新しいActive Directory ドメインへ移行する場合、ユーザーのIDやパスワードといった、セキュリティに関わる情報について注意する必要があります。
Active Directory のユーザーアカウントでは、以下3つのIDが使用されます。
これらのIDは移行時にすべて変化します。フォレスト内の別ドメインへ移行する場合、GUIDのみ保持されます。
LDAP (Lightweight Directory Access Protocol) で利用される形式です。
以下のように表記します。
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cn=アカウント名, ou=組織単位, dc=ドメインコンポーネント
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例 (corp.classroom.local ドメインのSales OUにあるユーザーTanaka)
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cn=Tanaka, ou=Sales, dc=corp, dc=classroom, dc=local
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DNにはドメイン名から生成される情報を含むため、ドメインが変わるとDNも変わります。
Active Directory フォレスト内で割り当てられる、ユニークな識別子です。
表記例は以下のとおりです。
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objectGUID=9793061C-81A4-4398-A2B6-AE121CDDA3E7
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アクセス許可で使用する識別子です。
ドメイン内で一意であり、ユーザーやグループなどに割り当てられています。
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S-バージョン-識別子機関-サブ機関-ドメイン情報(3セクション)-相対識別子
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例
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S-1-5-21-2060924996-2024473076-1546849883-1094
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SIDはファイルやプリンターのアクセス許可で使われます。アクセスする際に、ユーザーのSIDや、ユーザーが所属するグループのSIDと、ファイルやプリンターのACL (アクセス制御リスト)のSIDを比較して、アクセスの可否を決定します。
SIDにはドメイン情報が含まれるため、別ドメインからユーザーを移行するとSIDが新しく割り当てられます。よって、移行したユーザーが以前から利用しているファイルやプリンターといったリソース (資源)を引き続き利用するために、以下のことを考慮します。
移行先ドメインにて新しいSIDが割り当てられますが、移行元ドメインのSIDも保持することで、以前のリソースにアクセスできます。保持されるSIDを「SIDヒストリ」といいます。
ユーザーの移行後、既存のACLにあるSIDを、移行後のSIDに変換することで、以前のリソースにアクセスできます。これを「セキュリティ変換」といいます。
グループを移行する場合、一般的にはユーザーアカウントとセキュリティグループはセットで移行する必要があります。ただし、グループのスコープによっては、段階的な移行もできます。
グローバルグループを移行する場合、ユーザーとグローバルグループはセットで移行する必要があります。グローバルグループのメンバーは、グローバルグループと同じドメインのユーザーもしくはグローバルグループだけだからです。
一方、ドメインローカルグループを移行する場合、グローバルグループとドメインローカルグループは別々に移行できます。ドメインローカルグループのメンバーは、信頼関係のある別ドメインでもよいからです。
ただし、ドメインローカルグループは別ドメインから参照できないため、アクセス許可を維持するためにはメンバーサーバーの移行と同時に行います。
ユーザー・グループの移行に関しては、トレーニングコース「Windows環境マイグレーション実践」詳しく解説しています。
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