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「習い事」を通じて、アンラーニング(学びほぐし)の難しさを実感

作成者: 長山 晴美 (ながやま はるみ)|2024-08-15

本記事では、トレノケート株式会社で配信しているVoicy番組 田中淳子の「人材育成」応援ラジオ から、好評をいただいた放送をピックアップして文字としてお届けします。

田中淳子の「人材育成」応援ラジオ とは
自社の人材育成を考える上でヒントとなるようなちょっとした知識やスキル、具体例など、人材育成にご興味・関心がある方向けに役立つヒントを毎日約15分でお話しする音声配信番組です。パーソナリティは、人材育成に携わって39年、人材教育シニアコンサルタントの田中淳子が務めます。

今回は、リスキリングに関連して登場する言葉でもある、アンラーニング(学びほぐし) について解説します。
#234 アンラーニングは言うほど簡単ではない。頭で「わかる」と身体で「できる」の違いに大いに戸惑う。

※読みやすさを意図して、内容をある程度抄訳・編集しています。より具体的なエピソードなども合わせて知りたい場合は、Voicyの放送をお聴きください。


アンラーニングとは、今まで学んできたものを捨てるのではなく、見直してみて、活かすべきもの、そうでないものを選別し、新しいものを取り入れることも含みます。「学習棄却」と訳されることもありますが、私は「学びほぐし」の方がしっくりくると考えています。もともとは鶴見俊輔さんが命名された言葉で、北海道大学の松尾睦先生も同様のことをおっしゃっています。
今回は、最近の私が経験したアンラーニングの難しさについてお話します。

最近は変化の激しい時代ですので、アンラーニングの必要性も増しています。次々と新しいものを学び、過去に学んだ価値観や考え方、仕事の仕方、知識、スキルを見直す必要があるからです。新しいものを取り入れるためには、今まで無意識にやってきたことを意識的に見直し、学んできたものを整理して、変えるべきものを変えることが重要です。

例えば、私が受けている書のレッスンでは、筆遣いを変えることの難しさを実感しました。先生のお手本通りに書こうと頭では考えているのに、小学校の時に習った筆運びが50年経った今でも身体と脳に残っていて、意識してもなかなか変えることができませんでした。この経験と同様に、新しい仕事や価値観を受け入れるために必要ではあっても、すでに形成されたものを崩すことはなかなか難しいのが現実です。

松尾睦先生は『「経験学習」入門』という本の中で、30代くらいになると、身につけたものを捨てられなくなると指摘しています。これはそのくらいの年代になると自分なりの成功法則やノウハウが出来ているためです。社会や世の中が変化していると、現実に対してその人が持っている知識やスキル、価値観などの乖離はより大きくなります。このように、アンラーニングは、若い方以上にベテランにとって特に難しい課題です。

このアンラーニングの重要性や難しさを実感するのに、習い事をする、というのはよい手です。自分を劣位に置くことで、苦労することやわからないことを経験することが出来ます。

そして、アンラーニングの必要性を自覚していても中々直せない、ということは先ほど「書」の例で触れたとおりです。新しいものを取り込む方法については、私も引き続き筆運びを練習して試行錯誤していきます。そのコツがわかれば、仕事の学びにも活かせるのでは、と思います。

より詳細な解説など、放送をお聴きになりたい方はこちら
#234 アンラーニングは言うほど簡単ではない。頭で「わかる」と身体で「できる」の違いに大いに戸惑う。