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新入社員が「指示待ち・受け身」になる理由とは?育成現場でやりがちな3つのNG

作成者: 田中淳子(たなかじゅんこ)|2026-04-07
新入社員に対して「指示待ち」「受け身」と感じたことはないでしょうか。
実は、その状態は本人の資質ではなく、企業側の関わり方によって生まれている可能性があります。
 
本コラムでは、新入社員育成の現場を長年見てきた講師の視点から、主体性を損なう3つのNGな取り組みと、その見直し方を解説します。

目次

はじめに

新入社員が入社してきました。各社、4月は大変多忙な時期でしょう。したがって、このコラムをお読みになるのも、少し落ち着いたゴールデンウィーク明けごろかもしれません。
 
弊社の新入社員研修NEW TRAIN®を開発し、提供し始めたのは、1991年のことです。それ以来、私(田中淳子)は、最低でも1日、長い場合は3週間ほどの新入社員研修を担当してきました。2003年に手掛け始めたOJTトレーナー研修もおよそ四半世紀が経過し、新入社員の育成には長く様々な場面で関わってきたのです。
 
そういう講師の視点ではありますが、新入社員育成の現場を35年間見続けてきて、実感していることを人事や現場のマネージャ、OJTトレーナー、はたまたメンターの方などにお伝えしようというのが今回のコラムの趣旨です。
 
新入社員に対して、例年、「受け身なんですよね」「指示待ちなのが気になります」「主体的に考えてほしいのですが」という言葉を耳にします。
 
しかし、長年の関わりの中で、新入社員をそういう状態にしてしまう3つの「NGな取り組み」があると感じるようになりました。
  1. 子ども扱いする
  2. ルールを細かく決めすぎる
  3. もてなし過ぎる
今回は、この3つを深堀りして解説します。
なお、私が4年間配信し続けているVoicy「人材育成」応援ラジオでも、毎年3月頃にこのテーマについてお話し、実際に放送をお聞きになって、自社の新入社員研修の進め方を変えてみたところ、新入社員が見違えるように変化した、という報告も受けました。
 
自社の新入社員の育成を少し俯瞰して、振り返ってみるきっかけにしていただければ幸いです。

新入社員の「受け身」「指示待ち」「主体性の不足」を生み出す3つのNGな取り組み

新入社員というのは、当然ですが、組織の新規参入者です。組織に新しく入ってきた人は、まずは、様子を見ます。周囲の空気、雰囲気に敏感になり、ここでのふるまいを考えます。特に、現代の若者たちは、幼少時から、ネットがあり、SNSがあり、大量の情報、リアルあるいは、バーチャルな人からの多様な評価の目にさらされるという状況で育っています。
 
ですから、組織においても、「自分がどうふるまうのが“正解”か」を無意識のうちに考えるようになるのは自然のことです。
 
そんな新入社員に対して、企業が最初に提供するのが、新入社員導入研修(いわゆる「新入社員研修」)です。
 
新入社員全員を一同に集めて、ビジネスマナーや各部門の業務説明、基本システムの使い方などを学ぶその研修では、人事部門や人材開発部門の方が運営に携わります。
 
その時、最初に書いた3つをやりがちなのです。
その3つが、空気を読んで、自分のふるまい方を考える際の材料になっていきます。

新入社員に対してNGな取り組み①「子ども扱いする」

人事の皆さん、現場の管理職や先輩の皆さんにお尋ねしたいことがあります。
 
新入社員を「子」と呼んでいませんか?
 
「2025年度入社の子たちも、いよいよ2年目になったねぇ」
「今年は、理系出身の子が多いんだよね」
「どちらかというと女の子のほうが元気だよね」
「演習が多いプログラムに変わったら、男の子たちが張り切りだしたね」などなど。
 
“子”と呼ぶということは、言葉遣いの問題というよりも、新入社員に向けるまなざしの問題で、「幼きもの」「自分より下のもの」と無意識のうちにとらえているわけです。
新入社員側も「子」と呼ばれることで、自分の立ち位置を感じてしまいます。幼いものとして扱われているという認知を生み出すわけです。
 
確かに、入社したばかりの、スーツがまだ身体にしっくりきていないような、フレッシュすぎる新入社員を見ると、つい、「子」と呼びたくなる気持ちはわからなくもありません。
 
「皆さんは、今日から新社会人。学生ではありません。会社の看板を背負う気持ちで日々を過ごしてください」などと訓示を垂れる一方で、「子」呼びをするのは、矛盾です。
 
今すぐ、「子」と呼ぶのは、やめるべきです。

新入社員に対してNGな取り組み②「ルールを細かく決めすぎる」

新入社員研修では、「研修の手引き」とか「研修ガイドライン」のようなものを最初に配布し、説明します。
 
その手引きやガイドラインに大量のルールが書いていませんか?
  • 「スーツ着用です」
  • 「知らない相手でもオフィス内では挨拶しましょう」
  • 「ノートを取りましょう」
  • 「同期同士助け合いましょう」
  • 「わからないことはその日のうちに解消しましょう」
最初は5つくらいだったルールが、何か問題が発生するたびに加筆されていき、5年くらいたつと、ルールだけで1ページ費やすというケースもあります。
  • 「ゴミは所定の場所に捨てましょう」
  • 「駅からオフィスまで横に広がって歩かないように」
これで何が起こるか。
 
新入社員は、ルールを読み込み、ルール通りにふるまうことを期待されていると考え、その通りにしようと思います。つまり、ルールに書かれている推奨行動はきちんと行い、禁止行動は行わないようにする。
 
そこに記載のないことは、ルール(何が正解か)がわからないので、無難なのは、「やらない」こと。そう考えて、推奨も禁止もされていないことは、動かない、ということになりがちです。そうすることが一番、怒られもしないし、悪目立ちもしないからです。

新入社員に対してNGな取り組み③「もてなし過ぎる」

人事の方たちは、新入社員研修の運営中、かなり新入社員に気を使い、おもてなしモードになっていることが多いものです。
 
机のレイアウトを整え、テキストや名札、付箋紙、マーカーなどをきちんとそろえて机に置いておく。座席表を決め、環境が美しく準備できたところに新入社員を招き入れる。
 
初日は、もちろん、歓迎の意も込めて、これでよいのです。
 
しかし、日を追うごとにプログラム内容が移り変わり、レイアウトを変えたり、グループ編成を変えたり、いろいろ設えに手を加える場面も増えてきます。その際ですら、新入社員ではなく、人事の方がレイアウトを変えたり、新しい配布物を全部配ったりして、新入社員は、全部が整うまで教室の外で待っているか、教室内にいる場合は、席に座ってじっと待っているというような状態になっていることもあります。
 
ここまでおもてなしをしてしまうと、「研修というのは、こういうものだ」という認知になります。自分から動かないのは当然です。

新入社員の主体性を引き出す3つの改善アクション

新入社員の主体性は、個人の問題ではなく、環境によって左右されるものです。ではどうすればよいのか。それは、ここで挙げた
  1. 子ども扱いする
  2. ルールを細かく決めすぎる
  3. もてなし過ぎる
3つを全てやめることです。

新入社員の主体性を引き出すアクション①「子」と呼ばない

「新入社員の皆さん」「2026年入社の方たち」「女性」「男性」そんな風に、一人の対等な大人として呼ぶことから始めます。

新入社員の主体性を引き出すアクション②「ルール」は最低限に

人事などが細かくルールを定めすぎるため、「それに従う」ということになるのです。本当に最低限のルールだけにして(何かこれだけは自由にしてはいけない、と思うようなことだけを定めて)、あとは、新入社員自身にルールを決めさせるのがおすすめです。
 
新入社員研修の中で30分ほどの時間を設け、「この研修の学びの主体は皆さんです。同期同士、効率よく効果的な学習が運営できるように必要なルールを3か条くらいで考え、決めてください」と促します。
 
最初に出てくるものは、当たり障りのないものが中心になるかもしれません。
  • 「挨拶をしよう」
  • 「感謝を口にしよう」
  • 「眠そうな人がいたら、起こそう」
こういうレベルであっても、自分たちで決めたのであれば、それを壁に張り出すなどして、励行してもらいます。
 
1週間もすれば、「このルール、当たり前じゃない?」「このくらいのこと、ルールにしなくても、私たち、すでにちゃんとやっているよね」と言い始めます。その時点で、再度30分ほど時間を設けて、新しいルールを考えてもらえばよいのです。
 
自分たちで考え、設けたルールは、意味も含めて理解しているので守られやすいですし、何よりも、ルールを踏まえた学習ということに対して、主体として臨めるようになります。

新入社員の主体性を引き出すアクション③「おもてなし」をやめる

最後は、「おもてなしをやめる」です。

研修初日は、Welcomeな気持ちを表明するのに、美しく環境を整える。これは、入社してきた方への敬意を表するのにも意義があります。

しかし、研修が進む中で教室レイアウトを変える、グループ編成を変える、資料を配布する、などは、全部、新入社員自身に動いてもらうようにすればよいのです。
  • 「こういう風にレイアウトを変更してほしいので(とホワイトボードに書いて)、皆さんで協力して、5分くらいで変えてください」
  • 「今日の資料は、全部ここにあるので、工夫して、配布してください」
など「やってほしいこと」を伝え、あとは、新入社員自身に動いてもらう。
 
最初からこうなっていたら、「こういうものだ」という認知が育ちます。

新入社員は「環境で変わる」という事実

新入社員が指示待ち、積極性がない、主体性がない、と嘆く声を聞くたびに、私は、「いやぁ、環境がそうさせているだけじゃないか?」と思うのです。
 
実際、このアドバイスを直接したある企業の人事の方は、「私たちのやりすぎに気付いて、運営を変えてみたら、新入社員が例年と異なり、自分から動くようになりました」と教えてくださいました。
 
Voicyでも詳しくお話していますので、ぜひ、お聞きください。

新入社員・若手育成を見直したい方へ

新入社員や若手の育成は、制度を整えれば自然に回るものではありません。現場の前提や関わり方によって、その成果は大きく変わります。
 
トレノケートでは、OJT制度の見直しや、現場での育成力向上に向けた一社向けカスタマイズ研修を提供しています。職場ごとの状況に合わせて、制度設計から運用まで伴走しながら支援することが可能です。
 
また、「自社の課題がどこにあるのか整理したい」「今の取り組みで十分なのか判断したい」といったご相談も承っています。
 
人材育成お悩み相談室では、現場の実態を踏まえた壁打ちの機会もご用意しています。育成の質を一段引き上げたいとお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。
 
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一社向けカスタマイズ研修_お問い合わせ
 
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新入社員・若手育成関連研修

トレノケートでは、新入社員育成・若手育成を目的とした多数のビジネススキル・ヒューマンスキル研修を提供しています。
 
コース名 概要
後輩の教え方育て方 ~OJTの効果的な進め方とスキル~

OJTトレーナーに任命されたら受講していただきたいコースです。公開コースでも開催。3月~7月ごろは、一社向けでのご用命も多いコースです。

OJT受け方研修 ~現場が求める振る舞い、成長につながる取り組み~

OJTトレーナーが学習するのと同じように、新入社員などOJTトレーニー側も「OJTでの効果的な学び方」を学んでおくことは意義があります。

 

公開コースもありますが、一社向けですと、「OJTトレーナー研修」と同タイミングでご採用いただくケースが多いものです。

メンター研修 ~斜めの関係から新入社員の組織適応を支援する~

一社向けでのみご提供しています。


OJTトレーナーが同じ部署のライン上の先輩後輩とでアサインされるのに対し、昨今は、別部署の先輩をアサインする「メンター」制度を取り入れる企業も増えています。

 

これには、テレワークやその他働く場の環境変化によって、新入社員の成長に関わる人を意図的に増やす施策であり、支援に複数ルートを設けようという狙いがあります。

 

メンターは、たいていの場合、定期的なメンター面談を行う役割です。傾聴や共感、上手な内省支援、時に適度なフィードバックやアドバイスも必要です。すべてスキルとして訓練できるものです。

マネージャとリーダーのための「イマドキの若手」指導法 ~相手を理解し、自分の価値観や考え方をみつめ直す~ リーダーや管理職以上におすすめのコースです。イマドキの若手との関わりを具体的事例で考え、学ぶ半日のコースです。
人材開発の基礎知識(OJT編) ~自社にあったOJT制度とメンター制度を設計し、運用する~

人事や事業部門の人材開発担当者におすすめのコースです。

 

企業において「OJTの仕組み」や「メンターの仕組み」を取り入れる際、あるいは、現在ある仕組みをブラッシュアップしたい際に「何をどう考えて制度設計すればよいか」をワークを通じて学ぶコースです。

 

人事など育成に関わる方が受講されるので、公開コースにおいては、他社とのネットワーキングの機会にもなりますし、他社での取り組み事例を聴くこともできます。

 

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