人材開発に関する用語をトレノケートの講師がわかりやすく解説します。
「背伸び」することを指す。「ストレッチ目標」と言い、「今できることを少し超えたレベルの目標」という意味で使われたり、「もう少しストレッチしてみようか」と言われたら、「もう少し難しいことに挑戦してみようか」などという文意で使われたりする。
大事なことは、「頑張れば届きそうなこと」「到達可能であること」である。頑張っても目標に到底届かないレベルを「ストレッチ」とは言わない。
北海道大学松尾睦教授によると、「経験から学ぶ」人(経験を成長につなげられる人)は、以下の3つの要素を経験の中に組み込んでいるという。「ストレッチ」「リフレクション」「エンジョイメント」である。
そのうち、「ストレッチ」は、現有能力を土台に、新しいことややったことのないことに挑戦することを指す。自分の能力を超えて何かに取り組もうとすれば、どうしても勉強したり、誰かに教えてもらったりしなければならず、結果的に能力が伸長するのである。成長するために「ストレッチ」は重要な要素である。
幼児を観察していると、誰にも何も言われていないのに、自然に自発的に「ストレッチ」していることが多いものです。たとえば、朝起きた時点では片手で持てなかったボールを、一日中、トライ&エラーを繰り返しながら遊んでいるうちに、夕方には片手で無理なくボールを握っていたりします。「え?もう持てるの?」と大人のほうがびっくりします。
子どものこういう「放っておいても自然に自発的にストレッチする」という態度は、大人になるにつれ、徐々に失われて行ってしまう傾向があります。大人になるとストレッチすることを「苦しいこと」「頑張ってやらねばならぬもの」と感じてしまうのかもしれません。
でも、子どもを見ていると、ストレッチは本来「苦しいもの」ではなく、「取り組み甲斐のあるもの」のように思えてきます。
大人も子供を見習って、笑顔で「今はできない何か」に挑戦できたら素敵ですね。
文責:田中淳子/国家資格キャリアコンサルタント