人材開発に関する用語をトレノケートの講師がわかりやすく解説します。
「自立」とは、「自分の力でできること」を指す。先輩に支えてもらいながら仕事をこなしている状況から、一人でその仕事ができるようになれば、「自立」したと言える。
「自律」とは、「自分の中に基準があり、その基準に従って行動できること」である。このままでは、お客様に迷惑をかけるという状況にある時、最も顧客に役立ち、自社にとっても良い結果になる道を考え、それを上司に提案し、自ら動いて、仕事を成し遂げたりすれば、その人は、「自律」していると言える。
一般に新入社員に求められるのは、まずは、「自立」、次に「自律」である。よく上司やリーダーが「自分で考えて動ける“じりつ”した人になってほしい」と言うが、その場合の“じりつ”は「自立」「自律」の両方を指すことが多い。
赤ちゃんは、最初、自分でご飯を食べることができないので、親や周囲の大人たちに食べさせてもらいます。やがて、スプーンを持って、自分の口に運び、大人の手を借りずに食べられるようになれば、それは赤ちゃんの食事に関する「自立」です。
その赤ちゃんがしばらくすると、自分の食べたい順番で食べるようになったり、自分の好き嫌いを主張するようになったりしてきます。これが「自律」です。自分の中に「食事に関する基準」を持ち、意思表示し、行動するようになったら、赤ちゃんは、食事に関して「自律」したことになります。
それと同じように、人の成長には、二つの「じりつ」、自立(「自分ひとりでできる」)と自律(「自分の基準にたがって行動する」)があります。
ほかにも、たとえ高齢になって、「歩けない」「自分で食べられない」など自立が損なわれたとしても、「何をする」「何はしたくない」といった自律は大切にされるものでもあります。
文責:田中淳子/産業カウンセラー
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