【PMBOK®ガイド第6版の変更点】では、2017年9月にリリースされたPMBOK®ガイド第6版と第5版との主な変更点を数回にわたり紹介していきます。
PMBOK®ガイド 第6版の第4章から第13章では10の知識エリアを解説しています。
49のプロセスの説明もこの中に書かれているのですが、各プロセスの解説の前に章全体、すなわちその知識エリア全体の解説がついています。その部分に4つの項目が立てられています。その4つとは、
です。
「アジャイル型環境や適応型環境への考慮事項」については、第3回で取り上げました。今回は「傾向と新たな実務慣行」に書いてあることの一部をご紹介します。
「プロジェクト・マネジャーの責任の拡大」として、ビジネス・ケースの開発やベネフィット・マネジメントへの参加を求めています。プロジェクト・マネジャーが経営層やPMOと協力することで、プロジェクト目標をより良く達成し、ベネフィットをもたらすことにつながると指摘しています。
「ビジネスアナリシスの活用の必要性」を訴えています。ビジネス・ニーズの特定が、プロジェクト目標の達成につながるとしています。
組織とそのサプライヤーは相互依存しています。品質面でも「サプライヤーとの互恵的なパートナーシップ」が有益であることを指摘しています。
意思決定の権限をチーム・メンバーに委譲するなど、より協力的なマネジメント手法へと移行しつつあると述べています。上位からの指示がなくても機能する自己組織化チームが増えてきているという傾向を指摘しています。
「試行的関与」という、「スコープを完全にコミットしてもらう前に、最初の成果物と作業に一部の納入候補を有償で従事させる手法を紹介しています。
「ステークホルダーの定義の拡大」の傾向を指摘し、具体的には、規制当局、ロビー団体、環境保護団体、金融機関、メディアなどをあげています。
PMBOK®ガイドは「世界で実践されている優れた実務慣行を取りこむ」という方針を表明しているわけですが、その姿勢が表れているのがこれらの記述になっていると思われます。
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