【PMBOK®ガイド第6版の変更点】では、2017年9月にリリースされたPMBOK®ガイド第6版と第5版との主な変更点を数回にわたり紹介していきます。
PMBOK®ガイド第6版では、個別リスクだけでなく、「プロジェクトの全体のリスク」にも取り組むことを強く推奨しています。この「プロジェクトの全体のリスク」は、第6版で新たに登場した概念で、次の様に定義しています。
プロジェクト全体としての不確実性の影響。プロジェクト結果の変動に内在するリスクにステークホルダーがさらされることを表し、プラスとマイナスの両方の個別リスクを含む不確実性のすべての要因から発生する。
PMBOK®ガイド第6版 用語集
個別のリスクに取組むだけでは対処できない全体的な不確実性も考えよということのようです。「プロジェクトの目的に曖昧なところがある」「プロジェクトの目的のステークホルダー間の合意が不安定である」といったような不確実性がはいるのでしょうか。確かに、個別リスクとして特定できるリスクだけを考えていたのでは、気づかないところかもしれません。
リスク対応戦略にも追加があります。
第5版ではマイナスのリスク対応戦略は回避、軽減、転嫁、受容でしたが、第6版ではエスカレーション(他の組織や上司に報告する)が追加されました。プロジェクトのスコープ外であったり、プロジェクト・マネジャーの権限を越えたりするリスクは、組織の関連する人や部署に渡す必要があるということです。
非事象リスクという用語も登場しました。「生産性が目標を外れる」といったように、何か事件が起きたというのとは違うリスクです。
第6版での新しい考え方を導入するとリスク・マネジメントのレベルが一段と向上するのではないかと思います。
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