【PMBOK®ガイド第6版の変更点】では、2017年9月にリリースされたPMBOK®ガイド第6版と第5版との主な変更点を数回にわたり紹介していきます。
PMBOK®ガイド第6版では、第3章が「プロジェクト・マネジャーの役割」という章になりました。
プロジェクト・マネジャーの定義やその影響が及ぶ範囲を述べた後で、プロジェクト・マネジャーのコンピテンシーに10ページほどを費やしています。PDUの取得にも反映されているタレント・トライアングルを取り上げ、とりわけリーダーシップ・スキルについて詳しく記述しています。
「プロジェクト・マネジャーの役割の大部分は対人的なものである」「プロジェクト・マネジャーは、良きリーダーとなるよう努力する必要がある」とした上で、「明確なビジョンを持っていること」「楽観的でポジティブであること」「協調的であること」などを求めています。また、「研究によると、有能なプロジェクト・マネジャーは、プロジェクトでの時間のおよそ90%をコミュニケーションに費やしている」と研究事例を紹介して、「コミュニケーションに十分な時間を費やす」ことを求めています。
講師としてお客様の失敗プロジェクトの事例のお話をうかがうと、「コミュニケーションに問題あり」がほとんどです。私も、第一歩は「コミュニケーションに十分な時間を取ること」であると、事あるたびに受講者の方々にお伝えしています。この第3章に書かれていることと、ご自身の行動とを比較して考えていただくと後の方向が見えてくるのではないかと思います。
次に、「リーダーシップとマネジメントとは、最終的には物事を成し遂げることができることを言う」として、政治的に対応する能力を求め、影響、交渉、自律性、権威に言及しています。権威の行使も重要な要素です。権威の形態も列挙されています。自らを振り返るために、さらに今後の行動を考える良いリストではないかと思います。
リーダーシップとマネジメントの比較した表も掲載されています。その表の第一行には、マネジメントは「職権を利用して指示する」、一方、リーダーシップは「関係を利用してガイダンス、働きかけ、コラボレーションを行う」と書いてあります。成功するためには両方を用いる必要があると言っています。
このように、プロジェクト・マネジャーの行動についてさまざなに取り上げています。すべてを満たすことは不可能かもしれませんが、大いに参考になるのではないかと思います。
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