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アサーティブ・コミュニケーションとは?アサーションとの出会いから考える「ちょうどよい伝え方」

作成者: 田中淳子(たなかじゅんこ)|2026-06-12
言いたいことを伝えることと、相手に配慮すること。どちらか一方に偏るのではなく、その両方を大切にする考え方が「アサーティブ・コミュニケーション」です。
 
本記事では、講師がアメリカで「アサーション」という言葉に出会った経験を起点に、アサーティブであることの意味や、仕事で活かせる「ちょうどよい伝え方」について紹介します。
 
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目次

アサーションとの出会いから始まった、アサーティブ・コミュニケーションへの理解

「アサーティブ」とか「アサーション」ってご存じですか?
 
最初に「アサーション」(Assertion)という言葉に出会ったのは、アメリカで「コミュニケーション」の研修を受けているときでした。1990年7月です。
 
3日間の“Communication Skills”というコースをアメリカ人15人ほどと一緒に受講したのです。日本人は私一人です。
 
「コミュニケーションとは何か?」という定義から始まり、「Active Listening(アクティブ・リスニング:積極的傾聴)」を学び、その次が、「Assertion(アサーション)」でした。
 
「Assertion」を持参のポケットミニ辞典で引いたら、出てきません。「Assertなら?」と思って調べてみると「主張する」と書いてあります。
 
傾聴の後が「主張する」。なるほど、アメリカっぽいなぁ。最初はそう思いました。

アサーションとは「強く主張すること」ではない

当初、私は「Assertion(アサーション)」を、日本語の「主張する」に近いものとして受け止めていました。
 
しかし、日本語で「主張する」という言葉からイメージするものと、「Assertion(アサーション)」は、まったく違うものでした。
 
日本語で「主張する」を使った場合、こんなイメージを抱くのが一般的かと思います。
  • 言いたいことをはっきり言う
  • 自我が前面に出ている
  • 強く相手に訴える
少なくとも私は、「主張する」という言葉から、「自己主張が強い」といったニュアンスの「強さ」のようなものを感じていたわけです。

アサーティブとは「私もあなたもOK」という考え方

研修では、アサーションを理解するために、具体的な場面をもとに自分の反応を考えるところから始まりました。
 
「Assertion」という章で最初に出てきたのは、「こんな時、あなたはどうする?」という問題でした。
 
たとえば、「レストランで頼んだ料理と違うものが出てきたらどうする?」「仕事で忙しい時に、自分は興味ない話を延々としかけてくる同僚がいたらどうする?」といった問いに、「現時点での自分だったらどうするか」を書いてください、と言われました。
 
個々人が、「自分ならどうするかなぁ、こう言うかなぁ、いや、もしかすると言わないかなぁ」などとあれこれ考えて、自分なりの答えを書いてみました。

コミュニケーションには3つのスタイルがある

研修は進み、コミュニケーションには、3つのスタイルがあるのだと教わります。
  • Aggressive
  • Assertive
  • Non-assertive
攻撃的‐主張的‐非主張的、と訳せばいいのかななどと考えているうちに、講義を聴きながら、Assertiveの意味するところが分かってきました。
 
3つのスタイルを学ぶ中で、Assertiveが意味するのは、ただ自分の意見を通すことではないと分かってきました。
 
ああ、なるほど!
 
私もあなたもOK。言いたいことを言っていいんだけど、相手には相手の考えがあるのだから、相手にも配慮し、自分の考えや気持ちや希望を伝えようね、とか、言ったことについて自分で責任を取ろうね、とか。

そんなことが解説されて、「今までこんな考え方は聞いたことがない」と感動したものでした。

研修でアサーティブを紹介する中で広がった理解

アメリカで学んだアサーションの考え方は、日本でコースとして提供する中でも多くの反応を生みました。
 
帰国してから、このコースを2日間の「効果的コミュニケーション・スキル」というコースとして日本でもリリースしました。1991年頃の話です。
 
当初、Assertion という章は、「主張」と訳していました。(現在は、そのまま「アサーション」です)
 
受講者の皆さんは、口々に「こういう言葉も考え方も初めて聞いた!」とおっしゃり、「でも、確かに、言いたいことを言うのは大事だし、我慢しないほうがいいですよね」「言いたいことを言い過ぎて、相手への配慮がないのもよくないですよね」とそれぞれの理解を深めていきます。
 
私自身も当時まだ20代でしたが、「アサーション」という言葉とその考え方に出会い、当時はまだ少なかった日本語の書籍も読む中で、それが「自分のコミュニケーションの在り方」を変えるきっかけとなりました。
 
いやぁ、もっと早く出会いたかった。

アサーションでは、伝えることも伝えないことも自分で選ぶ

アサーションに出会ったことは、自分のコミュニケーションの在り方を見直す大きなきっかけになりました。
 
アサーティブであること、アサーションを使うこと。
 
もちろん、これですべての問題を解決するわけではありません。どちらかといえば、「対話はそこからスタートする」と考えてみるのがよいと思っています。
 
アサーティブ コミュニケーションは、常に何かを言わなければならない、という考え方ではありません。そして、「アサーティブ」を選ばないのもまた個人の選択です。
 
要は、自分で自分の気持ちを理解して、それを伝えるのも伝えないのも自分の責任ですよ、という態度全体をアサーティブというのですね。

レストランの場面で考える、アサーションの実践例

では、実際の場面ではアサーションはどのように表れるのでしょうか。
 
先ほど挙げた例のうち、「レストランで注文したものと異なるものが出てきた」という場面で、自分がまず「あれ、違うものが出てきたな」と思い、「交換してほしい」と考えるならば、それを伝えてよい、というのがアサーションの考え方です。
 
「こちら、注文したものと異なるので交換していただけますか?」
 
ただ、この時、時間がないので、「まあ、これでもいいか」と考え、「注文とは異なりますが、これで大丈夫です。これをいただきます」と判断するのでもよいのです。「注文と異なります」という言葉自体も言わなくても構いません。
 
この時、「時間がないから、注文したものと異なるが、これをいただいて、早く出よう」などと自分で選んでいるのなら、その態度自体がアサーティブです。
 
自分を大切にし、相手にも配慮する。自分が今、どうしたいのか、自分の気持ちや欲求、あるいは、期待する結果などを考えた上で伝え方を考えたり、伝えないことを主体的に選択したりする。

アサーティブであることは、とても奥深いものなのです。

アサーティブ・コミュニケーションは練習で身につけられる

自分を大切にし、相手にも配慮するアサーティブなあり方や伝え方は、スキルで学べるものです。何度も練習することで少しずつ上達もします。
 
多様な他者と共に働く現代、新入社員から管理職まで広く「アサーション」「アサーティブ」を学ぶことは、仕事を一歩先に進めるための土台作りになるはずです。

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アサーションやアサーティブ・コミュニケーションは、知識として理解するだけでなく、実際の場面を想定しながら学ぶことで、より実務に活かしやすくなります。
 
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