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研修の効果を最大化!学びを現場に定着させる4つのポイント

作成者: 長山 晴美 (ながやま はるみ)|2024-07-31

本記事では、トレノケート株式会社で配信しているVoicy番組 田中淳子の「人材育成」応援ラジオ から、好評をいただいた放送をピックアップして文字としてお届けします。



田中淳子の「人材育成」応援ラジオ とは

自社の人材育成を考える上でヒントとなるようなちょっとした知識やスキル、具体例など、人材育成にご興味・関心がある方向けに役立つヒントを毎日約15分でお話しする音声配信番組です。パーソナリティは、人材育成に携わって39年、人材教育シニアコンサルタントの田中淳子が務めます。


今回は、学習効果を定着させ、現場で活用するために必要な工夫や行動について解説します。
#286 片づけのリバウンドは、研修で学んだことが実務で活かされなくなるのと似ている。「学習の転移」に関連付けて解説!
※読みやすさを意図して、放送を元に内容をある程度抄訳・編集しています。より具体的なエピソードなども合わせて知りたい場合は、Voicyの放送をお聴きください。



2022年12月に「整理収納アドバイザー1級」という資格を取得しました。その試験の一環で、誰かの家の片付けを支援し、そのプロセスをプレゼンするというものがありました。コロナ禍でもありましたので、友人に頼むのは難しかったため、実家の母に協力してもらいました。母の洋服を不要なものを処分し、用途別や季節別に分けて収納・整理したのですが、半年後に実家に戻った時、母の洋服が再び散らかっていることに気付きました。
これは、整理収納アドバイザーとして学んだことを母に伝えたものの、母の行動が持続しなかった例ですが、「学びが持続しない」ことはよくある話です。

 

私たちトレノケートではビジネスパーソンに研修を提供していますが、研修の場でも、学んだことが職場に戻ると元に戻ってしまうことがあります。それを避けるには、「研修転移」を促進することが重要です。

「研修転移」とは、研修で学んだことが現場で一般化され、役立てられ、その効果が持続されることを指す言葉です。「一般化」と「持続」の2つの要素から成り、一般化とは、研修で学んだことが現場で適用されること、持続とは、その効果が直ちに失われるのではなく、長く続くことです。
うまく研修の転移を起こすことができれば、研修で起きた行動変容が元に戻ることなく、長期間にわたってその学習効果を発揮することができるようになります。

そのためには、本人だけではなく周囲のサポートも重要です。
主に注意すべき点として、4つ紹介します。

  1. 組織目標の明確化と逆算した研修設計:
    まず組織の掲げる目標を明確にし、その目標を達成するためにどのような行動変容が望ましいかを逆算して考えることが重要です。これに基づいて研修を設計、実施することが望ましいと言えるでしょう。
  2. 上司の関与:
    上司が事前に動機づけを行い、研修内容に興味を持って送り出し、研修後には学んだことを聞き出し、行動を起こすための支援を行うことが重要です。上司の関与が学習者の行動変容を支える鍵となります。
  3. 自己効力感の向上:
    学習者が「自分でできる」という自己効力感を持つことが重要です。具体的な目標を立てて宣言し、行動計画を具体化することで、学んだ内容を実践する意欲を高めることができます。
  4. 職場環境の整備:
    学習者が実践できる環境を整えることも重要です。職場の環境が学びやすく、お互いに学びを支援する環境であることが求められます。これにより、研修の効果が持続しやすくなります。



整理収納の例と同様に、学んだことが持続しないことはよくありますが、研修や学びが職場で持続するための工夫をすることで、効果を高めることができます。


より詳細な解説など、放送をお聴きになりたい方はこちら
#286 片づけのリバウンドは、研修で学んだことが実務で活かされなくなるのと似ている。「学習の転移」に関連付けて解説!

参考図書:中原淳 他 『研修開発入門 「研修転移」の理論と実践』 ダイヤモンド社