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定年半年前に新しいことを始めさせられた話

作成者: 田中淳子(たなかじゅんこ)|2026-02-25

現在、63歳、60歳で定年退職後、継続雇用を選択し、契約社員4年目です。
弊社トレノケートの定年年齢は60歳。その後、1年契約の契約社員となり、65歳まで在籍が可能です(※注:2026年時点) 。

目次

 定年直前、新規事業開発部への異動

2020年のこと。57歳で異動することになりました。行先は新設の「新規事業開発部」です。「全員、何か新しいことを始めよ」というミッションを与えられました。

異動時に「定年まで残り3年の人間をそこに置きます?」と当時の副社長に尋ねたところ、「それ、何か問題でもあるの?なんでもやればいいじゃない。」と真顔で返されました。どうやら肩たたきで異動、という意味でもなさそうでした。

新しい部署には、各部門から専門性のあるメンバが集められました。互いの専門が異なるため、一人一テーマを挙げて検討することになりました。いくつかは、専門の異なる複数名で作ったものもありますが、基本は一人1テーマを探究することになったのです

 

 「新規事業」と言われても、答えが見えない日々 

新規「事業」などそうそう簡単に起こせるものではなく、各自が興味や関心を持った研修(といっても従来と異なるスタイルを取り入れたもの)や誰も扱ってこなかったサービスの導入に挑戦するといったことを各自が始めました。でも、それは、お茶を濁しているだけに過ぎず、「新規事業」と言われても、事業を興すこと以前に「新規事業」に関する知識がない私たち所属メンバは、外部の「新規事業研修」を数か月にわたって受講することになりました。

そんなこんなで2020年も2021年も終わり、2022年。3年目に突入しました。「いい加減にしろ」という雰囲気をなんとなく感じ始めていました。私は、本当に心の底から困っていました。

「何かしないとここから足抜けできない!」(この頃の思考は、かなり後ろ向きです)。 

 

転機となった1on1と「音声」にピンと来た!

2022年3月。上司との定期的な1on1でのこと。

この1on1で、私は毎度「新規事業って、新しい事業がさくさく思いつけて、それを事業化できるくらいなら、私はとっくに独立起業していますよ」と嘆いていたのですが、この日は、上司が突然、こう切り出しました。

「淳子さん、音声ってどうなんでしょう?先日、TVの経済ニュースを見ていたら、ポッドキャストとかオーディブルとか音声で学習する人が増えているという特集をやっていて、確かに読書する時間もなかなか取れないから、音で聴くって増えているのかなぁと思ったんですよね。」

なぜか瞬間的に「ピン!」来てしまい、ほのかにではあるものの、自分の心の琴線に「音声」というキーワードが引っ掛かったのです。昔からラジオを比較的よく聴いていた経験もあることから馴染みやすく、「音声×人材育成」というのは、目新しいではないかと思ったからでもあります。

そこからが早くて、ひたすら「音声」「配信サービス」などをキーワードに検索しまくり、音声に関するサービスがどういうものなのか洗い出しました。数社への資料請求と、先方からご連絡いただいた場合は積極的に会って話も聞いてみました。

私自身は、1週間ほど朝から晩まであらゆる音声関連サービスにアクセスしてどんなものかをリアルに体験もしてみました。たいていはスマホアプリがあるので、アプリのUIなども見比べて、最終的に「Voicy」で行こう、と決めました。「ここでトレノケートの専門チャンネルを立ち上げるのはどうだろう」と。 

 

 Voicyに決めてからの素早い動き 

その時、「新規事業開発研修」で学んだことが役立ちました。「ユーザインタビュー」です。長年親しくして下さっている顧客企業の人事担当の方に30分ずつ時間を取っていただいて、「こういうラジオ放送みたいなことをしようと思うのだが、どう思うか?」をぶつけてみました。

 

目的は、「人材開発担当者の方を応援する」というのを一番に据え、その他、「人材開発」「キャリア」などに関心のあるマネージャや様々なビジネスパーソンも「学び」が得られる、そんな場として、音声配信を活用してはどうか、という考えをお伝えしたところ、思った以上に皆さまが喜んで応援してくださいました。「いいと思う!開始したら絶対に聴くから」と。

「テレワークになって、終日パソコンの画面を見ているから、もう目が疲れちゃって。そんな中、情報を耳で取れるというのは、有益だ」

「家事や子育ての合間に音声で学びの機会を得られるのは、助かる」

「研修の事前課題や事後課題としても、音声コンテンツを使えそうですよね。人事の役割が少し楽になるかも」

など多くの多様な視点をフィードバックしていただき、「よし、これは、いけそうだ!」と決意しました。


1週間くらいで企画書のたたき台を作成。経営層や本部長など上層部に対して、一人ずつ説明してまわり、質問に答え、アドバイスを受け、企画書を完成させて、意思決定会議に諮ったのは、上司の1on1から1か月後くらいのことでした。

1回でGo!となり、そこから、稟議を上げ、Voicy社と5月には契約をしました。

様々な準備を経て、2022年7月4日に「人材育成」応援ラジオを開設しました

(参考:「世界を変える「人」を育てる」トレノケート「田中淳子の「人材育成」応援ラジオ」/ Voicy - 音声プラットフォーム)


初回放送を配信したと同時に、ユーザインタビューに応じてくださった各社人事の方が早速聴き、素早くコメントを投稿してくださったり、「いいね!」ボタンを押してくださったりして、全力で応援されているという実感を得ました。

 

 音声の毎日配信が生んだ成果

そこから雨の日も風の日も、雨が降ろうと槍が降ろうと、月~金、毎日毎日、「人材育成」に関連する話を配信し続けています。休みは、年末年始の5日間のみ。

 

現時点(2022年2月24日)で、930回以上の放送をお届けしています。(これらはすべてアーカイブ公開されているため、いつでもどなたでも無料でこれまでの放送をすべて聴くことができます)

 

内容は、人材育成、新入社員研修、OJT、キャリア開発、資格取得、リスキリング、アンラーニング、キャリアコンサルタント、1on1、リーダーシップなど私が担当している分野を広く扱っています。

 

このVoicy「人材育成」応援ラジオをスタートして、半年後、私は、定年を迎えました。継続雇用を選択し、契約社員としてそれまでと同様にラジオ配信を続けています。私が一人語りするだけではなく、顧客企業の人事の方にご登場いただき、自社の人材育成施策についてお話しいただいたり、社外の著名人をゲストとしてお招きしたり、トレノケートの同僚たちとの対談放送をつくったり、様々な工夫も凝らしています。

 

おかげ様で、チャンネルのフォロワー数は、3700人を超えました。(目標は1万人です!)再生数は、130万回を超え、コメント総数も3000近くになっています。

 

嬉しいことに、このラジオを聴いてくださる企業の方からの研修などのご依頼を多数いただくことになったのです。

 

これまでトレノケートをご存じなかった企業の方から、あるいは、これまでもお取引があったけれど、私が担当しているキャリアや学びに関するプログラムはご採用いただいていない企業の方などから、研修などのご用命をいただく機会が増えてきました。

 

リスナーとして聴いてくださっている現場のビジネスパーソンが、個人で申し込まれて、トレノケートの公開コースを受講してくださることもあり、このラジオをきっかけで、様々なご縁が広がってきています。

 

私は、Voicyというサービス上でトレノケートの法人チャンネル「人材育成」応援ラジオを立ち上げて半年後、「何か新しいことを開始し、安定軌道に乗せた」とお墨付きをいただき、新規事業開発部を卒業することとなりました。

 

もちろん、これは、全く新規事業ではありません。すでに存在するサービスVoicyというものを使って、法人チャンネルを立ち上げて、継続して放送をお届けしているだけで、新規の“事業”ではないわけですが、それでも「何を始めてもいいから、やったことないことを始めよ」というミッションにはある程度適っていると判断されたのでしょう。 

 

 様々な出会いと学び 

最近もこの放送を通じて、素敵な出会いがありました。

たとえば、2025年9月には、内閣官房人事局からのご依頼で、全国の「まもなく60歳を迎える国家公務員」向けに「キャリアを考えるための講演」を提供する機会に恵まれました。ライブで3000人、アーカイブで2000人以上の方が参加してくださっている大規模の講演です。また、そこからの派生で農林水産省からのご依頼では、「まもなく60歳を迎える農林水産省職員」向けに「キャリアのワークショップ」を担当することもできました。こちらは、500人ほどのご参加でした。

定年半年前に「新規事業開発部に異動させるなんて」と口にした私に対して、経営層は「それ、何か問題でもあるの?」と言いましたし、予算取りなどにあたっても、「定年間近な社員の企画に投資するのか?」という声は一切聞こえてきませんでした。(もちろん、社内でそういう議論は多少はあったのかもしれませんが、私の耳には届いていません)
 

 

 シニア世代の可能性と、これからの展望 

現在、各企業では、50歳以上の社員がボリュームゾーンになっていて、どうやって活躍を促すかは、大きな課題だと思います。ある企業では「50歳以上の割合が40%を超えているので、活性化を図りたい」というお悩みを聞いたこともあります。

今まで、5-60代に対して、組織側は「キャリアの終盤で、可もなく不可もなく無事定年まで働いてくれれば」といった対応をしてきたかと思うのですが、人数が多く、また、65歳、場合によっては65歳を超えても働く可能性が出てきている中で、「可もなく不可もなく」ではなくて、「イキイキと活躍してほしい」と考え方も変化してきているはずです。

私はチャンネル開設から約4年、放送で話をするために、たくさんの本を読み、多くの方と知り合い、学びと成長の日々を送れていると思っています。よくシニア社員は、モチベーションが低下する、とか、新しいことは学ばない、新しいことには挑戦しない、という声を聴きますが、それは、機会を与えていないという面もあるのではないかと思うのです。

当面の間、企業における5-60代はまだまだ増えることでしょう。
私の取り組みが、シニア層のキャリア開発や人材開発に役立てばうれしいなと思っています。

今回のテーマに関連するVoicyの放送を紹介します。(Voicyアプリでも再生可能ですが、ブラウザからも再生できます。無料です)

 

#147 本日で「定年退職」。均等法世代が見てきた37年間の職場を女性の視点から振り返る。 | 「世界を変える「人」を育てる」トレノケート「田中淳子の「人材育成」応援ラジオ」/ Voicy - 音声プラットフォーム

#542 シニア(定年再雇用)社員の存在が若年層の定着に好影響を及ぼす。 | 「世界を変える「人」を育てる」トレノケート「田中淳子の「人材育成」応援ラジオ」/ Voicy - 音声プラットフォーム

#850 60歳前後のキャリアを考えるヒント。国家公務員3500人強の方へ講演でお伝えしたこと(詳細版)【生放送アーカイブ】 | 「世界を変える「人」を育てる」トレノケート「田中淳子の「人材育成」応援ラジオ」/ Voicy - 音声プラットフォーム

 

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