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AWS re:Invent 2022 Adam Selipskyさんキーノート

こんにちは、ラーニングサービス本部の山下です。
昨年行ってまいりましたAWS re:Invent 2022のAdam Selipskyさんキーノートについて感じたことをレポートします。

Zero ETL

re:Invent 2022のAdam Selipskyさんのキーノートで最も印象的だったキーワードは「Zero ETL」でした。

従来、データを分析するためや、何かのアウトプットレポートや、データを連携してインポートするために、バックオフィス担当者やオペレーターが手作業で変換しているケースがあります。
この手作業でミスが発生すると、データの整合性は失われますし、そもそも必要な分析結果が得られるまでに時間がかかってしまいますし、やるべき分析が増えたりデータ量が増えたりしても作業担当者に限りがあるので、ビジネスにスケーラビリティをもたせることができません。

私が今まで見てきた現場でも、終わらないデータ処理のために残業を強いられていたり、ミスが発生してデータ処理担当者が涙を流していたり、ミスの予防のために何重ものチェック作業が発生していたりしました。

その他データ変換はもちろんルールに則って作業されるものですので、誰がやっても同じ結果を求めるものであり、プログラムによる自動化ができるものです。
ビジネスにおけるインプットデータとアウトプットデータは可能な限り自動化できるべきです。

このETL(抽出、変換、書き出し)処理をサービスとして提供してゼロにする、もしくはゼロとまでは言わなくとも人の手を介さずに自動化しやすくする、そんなコンセプトとサービスを発表されていました。そして、AuroraからデータウェアハウスサービスのRedshiftへのzero-ETLを発表していました。
このコンセプトがこれからも様々なサービスに拡張していってくれることと、それにより現場の無駄な作業が減り、より働きやすい場所が増えていくことを非常に期待する、そんな強い希望をもてるキーノートでした。

データの爆発的な増加

広大な宇宙の探求を例に挙げて、小さな星や新しい知識を見つけるためには、新しいさまざまな技術が開発されていて、前に進むことができます。 ​​​​​​​データも多様性と量が爆発的に増加し宇宙と同じように拡がり続けています。これからたった5年で今までに世の中で作成された倍の量のデータが作成されると言われているそうです。

それでも宇宙探査機と同じように新しいツールがデータを処理、分析するために開発されています。

ここ数年世界に大きなインパクトを与える出来事がありました。これらは誰にとっても未知で不確実ではありましたが、適切なツールを使うことで対応できる。対応してきた世界中の企業います。
AWSのサービスを組み合わせて乗り越えてきた企業もいます。

AWSには目的にあわせて開発された(Purpose Built)データベースサービスが多くあります。
それらを適切な分析サービスと組み合わせることで、すべてのユースケースに対して適切なパフォーマンスをもたらすことをAWSは望んでいます。
そして、ゲストスピーカーを招いた後にZero-ETLの発表につながりました。

安全に先駆者になる

海もまた広大であり未知の部分が多い。見えない海底に対してはリスクも計り知れない。でも人類はソナーを開発したことで海底の深さや障害物を知り、未踏の海へ先駆者として航海することができた。

ITの世界でも同じように不安なままでは、誰もやったことのない技術の組み合わせや設計を試すにはリスクがある。じゃあ事例を待つべきか。それでは先駆者にはなれない。セキュリティを実装しながら未踏の地へ向かうことで先駆者になり得る。

AWSのセキュリティへのアプローチが広く認められている点は大きく4点。

1点はユーザーのオンプレミス環境のセキュリティよりも優れていると認められている点。
私もこの点は2015年に使い始めたときに非常に強くメリットと感じた点で、自分たちでデータセンターまで構築することはないにしても、一般的なデータセンターと契約して自分たちがそこに適用する範囲のセキュリティを上回る外部認定を受けていること。比較対象をサーバールームにすればもっと明白で、Amazonの知見を持っている世界で優秀なセキュリティエンジニアよりも自分が優れたセキュリティを実装できるとは露にも思わないわけで、AWSを使うことがセキュリティレベルを向上できると信じたきっかけでした。

2点目は、俊敏性とセキュリティの両面をトレードオフしないアプローチ。
Control TowerやFirewall Manager、Config、Permissions Boundaryなどに代表されるアプローチですが、予防コントロール、検出コントロール、プロアクティブコントロールなどを使用し、やってはいけないことを防止、検出し、開発者は安全なガードレールの中で思いっきり新たなチャレンジを素早く実行できます。

3点目は幅広いセキュリティサービスの数々。ほとんどのサービスが複雑な設定を必要とせず、迅速に設定でき、一般的な脅威からアプリケーションを守れます。GuadDutyは有効化するだけでさまざまな脅威からアカウントとアプリケーションを守るための検出をします。ここでGuardDuty EKS Protectionの発表がありました。

4点目は非常に多くのサードパーティセキュリティソリューションへのアクセスを提供していること。深い海底を1人で探索するよりも適切なパートナーと共に探索する。それと同じように様々なパートナーを選択肢協力できる。ただ、様々なサービスには様々なログフォーマットが存在する。複数のセキュリティサービスログを統合する際にはデータ変換が発生してしまうかもしれない。
そこで、OCSF(Open Cybersecurity Schema Framework)という共通のデータ統合を実現するためのプロジェクトを開始した。

そしてOCSFをサポートするAmazon Security Lakeを発表しました。Lakeという名前のとおり、セキュリティデータの収集、結合、分析を目的としたサービスです。AWSのセキュリティサービスとパートナーのセキュリティサービスデータをOCSFフォーマットで収集します。

収集されたデータはAthena、SageMaker、OpenSearchなどのAWSサービスやサードパーティサービスからクエリー分析できます。
Security Hubが統合ダッシュボードで、Security Lakeは統合分析データレイクとしての使い分けになりそうです。

制約を削除しコラボレーションによるイノベーションを

コンタクトセンターは物理的な管理により初期投資が必要であり柔軟性がなかった。システムがかつて物理的なハードウェアによる初期投資が必要であり拡張性がなかった制約同様に。
Amazon Connectにより素早くコンタクトセンター業務を開始することができ、拡張ができるようになった。
ここでAmazon Connectの3つの新機能が発表されました。

* ML driven forecasting, capacity planning, and scheduling
(機械学習による予測、キャパシティプランニング、スケジューリング)
コンタクセンターの人員配置を適正にするために予測やエージェントの割当、スケジュールの検証を機械学習モデルによってサポートする。

* Contact Lens with agent performance management
エージェントの評価フォームです。Contact Lensの会話分析機能による評価採点ができます。

* Agent workspace with guided step-by-step actions
エージェントが初日から仕事に慣れやすくするためのステップバイステップのガイドをワークスペースに統合できます。作業フローがアップデートされたときもエージェントに新しいガイドを提供することで周知できそうです。

クラウドコンタクトセンターもどんどん進化していますね。

複雑なサプライチェーンのリスク検出をマネージドで素早く

企業は店舗の在庫を正確に保つためには、工場での製造状況、荷物の輸送状況、港の荷下ろし場所の状況など、サプライチェーンの情報を把握する必要があります。在庫とサプライチェーンの情報を統合して確認できるビューを作成するためには多くのシステムからデータを集約する必要があり複雑性が増します。そのために高価なコンサルティングや1年に1回などの長い開発サイクル、それにより新たなビジネスに対応できないなどの問題が発生しています。

AWSのクラウドインフラストラクチャ、機械学習をマネージドなサプライチェーンサービスとして提供するAWS Supply Chainがプレビューとして発表されました。
デモではSAPからデータを取り込み、自動的なフィールドマッピングによりデータの統合を素早く行いました。
リアルタイムなビジュアルマップで問題が発生している拠点が全体でざっくり確認できます。
問題が発生していそうな拠点をドリルダウンして確認できます。
この場合の問題はまだ発生していない潜在的なリスクも検出していました。
そのリスクを避けるための推奨アクションを確認し対応できました。
サプライチェーンの統合プラットフォームとしてこれからも機能拡張が続きそうです。

Just Walk OutとAmazon Oneによる新たな店舗体験

Amazon Goで実証実験されていたJust Walk Out Technology。
私もAmazon Goで経験しましたが、レジで精算しなくてもアプリで精算が完了するので、快適にサラダとビールを購入できました。
レジに並ばなくてもいいのはすごく嬉しいですね。
レジGoなど日本でも類似の試みはあり、どんどん便利になっていくのは嬉しいです。
マクドナルドなどのファストフード業界では、モバイルアプリでの精算完了ができるようになっているのも嬉しいですね。

Just Walk Out TechnologyをAmazon以外のお客様小売企業に提供するという発表でした。
日本でも簡単に導入できるようになるといいですね。

Amazon Oneではさらに手のひらで本人認証と決済が行われるので、モバイル端末も必要ありません。すでにアメリカのいくつかの店舗に展開されています。

繰り返し大胆にチャレンジできる環境を提供し続ける

既存のシステムやビジネスから生み出される大量なデータから洞察を得て、新たな可能性を生み出す想像力。それをすべての企業、すべての人々が行える環境を提供していく。

すぐに試して結果を確認してまた試す。いくらでも使い捨てできる環境で試していく。使い捨てできることで失敗のペナルティを取り除き、大胆な仮説をもとに検証できる。

意思決定はデータによって行われるべきで、偉い誰かに責任を持たせることじゃない。

あらゆる分野においてすべてのひとびと活躍できる場所、それをAWSは提供し続ける。

​​​​​​​そんな力強いメッセージと受け取った2022年のre:Invent Adam Selipskyさんのキーノートでした。

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