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実戦で学んだ新入社員時代

新入社員研修と言えば、私の場合は実戦で学んだ記憶でした。

新卒入社でサブマネージャ

私の新卒入社は1994年の入社で不動産会社でした。
最初の仕事は、当時バブル崩壊直後ということもあり、城崎温泉のビーチサイドで売れ残ったリゾートマンションをリゾートホテルとして再興するミッションでした。

旅行会社のアルバイトで夏の沖縄冬のゲレンデを3年丸々経験していたことと、本社採用で初出社から現地任務ということもあり、新卒社員ですがサブマネージャとしての位置づけでした。
ですので、私自身は新入社員研修というのを受けたことがありません。

当時の旅行業界は縦社会ということもあり、礼儀や振る舞いだけはアルバイト時代に叩き込まれていました。
現地駐在員の仕事はマニュアルもなんだったら仕事内容もなにもない中、一人で現地に赴き、会社と現地の宿のオーナーや関係者、交通会社からオプション提携先の店舗とのやりとりを仲介するので、当然といえば当然です。
時には現地で突撃訪問して、宿や店舗の提携先を増やしたり、会社が提携しなかったクラブやレジャー施設は個人でお客さまを案内して報酬をいただいたりもしていました。

「ツアー」については専門家がいない会社に、アルバイトとはいえ経験者としての新卒入社が私の社会人デビューでした。
そんな背景もあってか、一年目からやってみようと思ったことはほぼなんでもできる状態でした。
今思うと右も左もわからないなかで、よくあれだけ好き勝手できたものだと思います。
チャレンジの連続でした。

現場と本社の中継にチャレンジ

アルバイト時代にも現地のパートナー企業の方々と旅行会社本社との中継をしてましたので、少なからずコツはつかんでいたつもりでした。

とにかく「現場ファーストですよ」という姿勢で認めてもらおうとしましたが、なかなか一筋縄ではいきませんでした。

そこで長時間の休憩を取らずになるべく8:00~23:00までべったり働くことにしました。

現地社員の皆さんはご家庭のご都合などで13:00~16:00などで休憩を取られます。
朝も10時からの方がおられたり、17時までの方がおられたり交代制です。
もちろん自分もそういうシフト制ではあったのですが、幸いやることも山ほどあったのでひたすら働くようにしました。

そうしているうちに現場の方々から気を使われるようになり、少しづつですが協力していただけるようにもなっていきました。

食材原価率の改善にチャレンジ

まず思ったのは棚卸しの適当さ加減と、毎月総合で原価率を計算しているのに何も改善しようとしていないことへの不思議でした。


レストラン原価率を計算して帳簿からドリルダウンしてコストがかさんでいる仕入れに関しては、特別な理由(オフシーズンに宴会や仕出しで使っていただける地元関係者)がない限りは仕入先を変えたり、複数社からの仕入れに変更してリスクを軽減したりなど、試して数字確認、試して数字確認をくり返していた記憶があります。
毎月、棚卸しして集計して原価率や粗利を出すのが、成績表を見るみたいで楽しかった思い出があります。


かなり力を入れて仕入れを減らしたのが、人形の箸袋でした。
地元で手創りで生産しているもので1袋50円で仕入れていました。
食事が終わればゴミ箱行きです。

もちろんそういった文化が悪いとは言いませんし、情緒みたいなものも理解はできます。
ですが、格安ツアーとか地元の宴会に対して出すものではないと判断しました。
会席コースの一番上のランクのみで使用することにして、他はホテルのロゴの箸袋に変えました。
これで数十円原価を下げられますので非常に大きいです。

また、まとまった数を仕入れてましたが、手創りなのでロットは関係ないでしょうということでぎりぎりの数の在庫にしました。
そんな上ランクの会席コースの注文がいきなりあっても材料がないので受けられませんので、箸袋の発注ぐらいはコントロールできます。

「態度を改めてもらうにはその原因を断ち切る」にチャレンジ

会席料理の器も無駄に高価なものを使っていて、割れたりして一つ欠けるとまた同じ料金でそれなりの数を仕入れていました。

ですので、食器が割れたときの損失は非常に大きいです。
洗い場でアルバイトさんが食器を割ると、厨房の料理人から怒声が飛び、現場はこの世の終わりのようになっていました。
今じゃパワーハラスメントを指摘して是正もできるかもしれませんが、まだハラスメントという言葉すら知らなかった時代でした。


こちらに関しては、「器が割れることがおおごとにならなければいいんじゃないか」と思いました。
そこで、街の器屋で数がろくに揃っていないバルク品を数種類購入することで、宴会グループごとに違う器でやりくりするようにしました。
これで多少は器が割れることが怖くなくなりました。

洗い場でアルバイトさんが器を割ったときにも「しゃあないしゃあない今度はきをつけてね」と普通の対応ができるようになったのが嬉しかったです。
器の購買担当が自分になって、厨房の責任ではなくなったことも大きかったと思います。

深夜まで続く洗い物地獄の改善にチャレンジ

洗い場が一箇所しかなかったために、夏のピーク時には最終の片付けが深夜までかかっていました。

一箇所しかないので集中してボトルネックになります。
なので分散化して並列化して、ピークでも23時には終えるようにしました。
分散化する先も客室としては使っていなかった宴会部屋や従業員の休憩部屋など使えるところは全部使ってみました。

最初からそうできたわけでもなく、2箇所で洗ったらどうか、3箇所で洗ったらどうか、洗い場のピークレベルがどうなってるかを定期的に内線で連絡しあって、空いている場合は運んででも分散化する、としてみました。

そうしているうちにそのやり方に慣れていくことでスピードアップできたことを覚えてます。
最初のうちは「無駄」だと思われたり、自分も不安になったり、人も動いてくれないのでとにかく自分が動いてやってみたりでしたが、続けてみないと結果が出ないものもたくさんあるもんだなあとこのとき学びました。

オフシーズンの底上げにチャレンジ

マーケティングに関してですが、ホテルの立地はビーチサイドで冬はカニ解禁、温泉近く、ということもあって、夏休み冬休みは満室になります。

満室から売上を上げようと思うと、料金単価を上げて、あわせてサービスの質をあげるということが考えられます。
ですが、これを実現しようとすると、各旅行会社への折衝が必要です。
旅行会社としては安価なプランを抑えておきたいという思いもありますし、あまり上げすぎるとその旅行会社の客層から離れてしまうということもあります。
また、当時はツアーブームということもあり大小様々な旅行会社がありました。
その会社すべてと折衝していくのは非常に労力がかかります。
ですので、私が特に注力していたのは、オフシーズンでした。

お客さまの数が減る時期に増やすことができれば単純に売上は上がります。
ですが、そう簡単にいくわけでもありません。
自分自身が現地に住んでいたということもあったので、大阪にいたときには想像もしていなかったような魅力のある時期をピックアップしていくことにしました。

海水浴シーズンの前後にマリンスポーツ推し

まず最初は初夏と9月です。
日本海の夏のピークは短いです。
学生さんの夏休みが始まる7月中旬からお盆過ぎの8月中旬ぐらいまでです。
この前後を狙ってみました。

最初はシンプルにDMです。
はがきでリピータさん宛に「アーリーサマーキャンペーン」として旅行代理店をとおすよりも少し下げた価格での直予約をご案内してみました。
思い出していただけたのかポツポツと予約が入りました。
これをはじめてやってみたときに、「何かをすれば結果がわかる」というすごくシンプルな発見をしました。

そして9月はどうしたものかと考えました。
8月お盆を過ぎれば海にはクラゲが現れ始めて、海水浴シーズンが終わりを迎えます。
ですので海水浴をPRするのはやめて、マリンスポーツをPRすることにしました。

会社がボートを持っていたので、小型船舶免許を取得して、ウェイクボードや水上スキーの体験ツアーを提供することにしました。
テレビの情報番組でウェイクボードが取り上げられていて、すぐにこれだっと思いまして会社の先輩をそそのかして(いつでも乗りにこれますよって)買ってもらってそれを使ってお客さまにサービスを提供していました。
ウェイクボードが日本で紹介されてすぐということもあり、こちらも少しお客さまが来てくれるようになりました。

 

出張利用をリゾートで福利厚生推し

10月~11月、4月~6月はほんとに何もない季節です。
さて、どうしたものかと打ち出したのが、「ビジネス利用キャンペーン」でした。

もともと会員制リゾートマンションとして建築された建物でしたので、会社が法人契約して社員の福利厚生などで使われるようなケースが想定されていました。
ですので、地元に支店がある会社さんにチラシを持っていって、出張で来られる社員さんにご案内していただいたら喜ばれるんじゃないですか、という営業をかけてみました。
これも少しご利用いただけました。

嬉しかったのは出張で宿泊されたお客さまが気に入っていただいて夏や冬の予約を直接していただいて、次回はご家族で来ていただけたことでした。
旅行会社経由よりも直接予約していただいたほうが、もちろん利益得率はあがります。

年次ルーティンのイベント化にチャレンジ

日本海の松葉ガニの解禁期間は11月上旬~3月です。
長期の冬のカニシーズンが訪れます。
夏の海水浴シーズンは短期間ですが毎日連続でお客さまが訪れます。
冬のカニシーズンのピーク中のピークはお正月ですが、それ以外は週末は満室、平日はそうでもないぐらいです。

松葉ガニのお土産配送販売などももちろん行ってましたし、お得意様なお客さまにはお正月に配送するご注文も受けていました。
数量がそんな極端に少ないものでもないですし、これも売れれば売れるほど売上も利益もあがります。

そこで、解禁日前に冬のリピーターさんたちにDMを送りました。
「大切なお客さまへ、カニ解禁のお知らせ」です。
DMは、カニ配送のパンフレットと申込書、平日ご宿泊割引クーポン、日帰りレストラン利用クーポンなどのセットです。

特に注文が殺到したのが、カニの配送でした。
一杯販売は仕入れ値と売値が明確ですが、こちらが一つとあわせてよく売れたのが足だけの詰め合わせです。
食卓を飾る意味で甲羅は一つはあったほうがいいのでしょう。
足だけの詰め合わせは、価格をぐんと下げられますので、たくさんご注文をいただいたことを覚えています。
仕入れるときも甲羅なしのバルク品として仕入れます。
これは漁や港での過程で足が外れてしまったりなどで一杯として売れなくなったカニの足の詰め合わせです。
こちら基本凍っていますので、配送詰め合わせ作業の午前には冷凍庫から出しておいて少しだけ溶かしておきます。
そうしないと足同士がくっいて離れないんですよね。

シーズン最初のDMが反応があるのなら、と今度は3月に「今年最後のカニ配送のお知らせ」DMを発送しました。
こちらも当たりました。

振り返り

思い出したままに書いてみたことを振り返りますと、私のケースはきっとレアケースで新卒入社から好き勝手させていただいたものでした。

好き勝手させていただけたから、試せたことは多かったとも思います。
これがやる前から、資料や書類を揃えないとやっちゃいけない、だったら半分もできてないんじゃないでしょうか。


人はチャレンジすることでその結果から多くのことを学びます。
それを「失敗」という人もいるかもしれません。

ですが本当の「失敗」はなくて、すべては「チャレンジした結果」で、得た知見です。
それは紙で覚えたものではありません。
資料にまとめて却下されて終わったものでもありません。
自分で判断して動いて試した結果は忘れません。
活かしたいときに取り出せる引き出しのように蓄積されていきます。
未だに大したことはできてませんので、私はもっともっとチャレンジしてもっともっと学んでいかなければと改めて思った次第です。


今回は書きませんが、この仕事をしていたときに、Windows95がリリースされてホテルにも配置されたことにより、私の勝手に内製開発が始まり、そのときの体験が今の仕事にも大きく繋がっていくのですが、その話はまた機会があれば。

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