こんにちは。経営企画室の小原です。トレノケートでは新たなEラーニングサービスの立ち上げを担当しております。
もともとはJavaなどの講師をしていたのですが、新規事業の立ち上げを担当してからというもの、さまざまな開発会社の人事の方々や現場のエンジニアの方々に接する機会が増えました。それを踏まえて新入社員の教育方法を改めて考えております。
ここでお話しするのは内定後からの各時期に対する教育、研修方法のアイデアや提案です。各現場に当てはまるもの、当てはまらないものがあるかと思いますが、それぞれの状況に合わせて考え直すきっかけとして参考にしていただければと思います。
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先に、新入社員にどのような人物になってもらいたいかなどの前提から考えていきます。たくさんの仕事が無くなっていき、新たな業務が生まれていくであろう次の時代に必要となる人物像は次のようなものでしょうか。
会社が必要としている人物像を設定し、そういった能力、役割をもった社員をどうやって育成するかを順を追って考えていきます。まずは小さなゴールを決めて、それを実現するための研修方法、内容を検討します。
私は、Java方面の研修を多く担当してきましたのでエンジニア寄りの経験をもとにしますが、どの現場にも多くあてはまることになるかと思います。それぞれの現場に置き換えて考えてみていただければと思います。
新入社員研修に以下のような課題があれば、その解決方法を見直してみるべきです。
例えば、プログラミングだと理系大学卒の社員は大学で一通り基礎まで終えていることが多く、文系は触ったことが無いことがあります。新入社員研修中にその差が埋まらず、すでに学習が進んでいた方が優秀に見えてしまいます。新入社員の方々を多面的に評価するために入社時点の差に意識を払っておく必要があります。
すぐに内容を把握する受講者は他の受講者の指導に回ってもらうことが多いです。もちろんそれは大事な教育経験になりますが、余った時間でさらなる成長を促し、現場での戦力に変えていく発想も必要です。
これがそのまま退職につながるケースもあります。
内定者研修は、会社によっても状況は異なるかと思いますが強制できないケースもあります。しかし、入社前の時期は、大事な準備期間と考えることもできます。特に内定者研修の効果が高い対象を以下にあげてみます。
Eラーニングや参考書籍の自習という形で課題を出しておきます。強制できないケースでは推奨でかまいません。
先に学習を進めたい学生には実践レベルの学習を、知識に不安な学生には分かりやすい基本的な教材の受講権限を与え、進捗のサポートなどを行います。
集合研修に向けて実力を均一化する必要は必ずしもありません。むしろどんどん先に進みたい受講者には常に先に進める仕組みを用意するべきです。将来的にリーダ層になる人材の強化を図ります。
実力差に不安のある学生は、集合研修が始まってしまってからでは、メンタルケアも難しいです。事前に大学での学習内容、その他のテスト結果から把握し、基本コンテンツの学習を進めるなど対処を取る必要があります。
また、この時期から自主的に学習させることは後に大きな意味を持ちます。知識が必要になるのはむしろ各業務が始まってからです。その時に、日常的な学習習慣があるかどうかが社員の成長と大きく関わっています。自分に足りないと思うの能力の研修に自ら申し込んだり、必要な知識を獲得するためのコンテンツを探してきて自ら研修時間を作ったりするのも社員の重要な活動のひとつなのです。その意味で、可能ならすべての新入社員に内定者研修を用意して、学習したい方のモチベーションに応えることが重要です。
◆再考ポイント:
知識を確認するための座学はそこそこに、演習、ハンズオンで学習することが一般的です。集合研修ではぜひ、グループによる振り返りを重要視してください。リーダーシップの育成と学習内容に経験の少ない受講者のサポートを同時に行うことができます。会社総力としてはこのリーダーシップの育成を研修内で行うということが非常に重要で、グループでの取り組みは効果が高いです。
内定者研修により、大きな後れをとる受講者が現れるのを防ぐことができていれば、ここで焦点を当てたいのは、すでに経験値の高い受講者です。各会社の教育担当者の方々とお話しし、話題に上がることがあるのが、「研修時に優秀だった新入社員が現場で自信を失い離職する」というケースです。この点で事前に意識を払う必要があるのは、新入社員研修で一般に扱われる知識と、現場で必要となる知識には、まだ大きな差があることです。
演習が早く終わった受講者は、個別にEラーニングで学習するなど、現場とのギャップを埋める学習を追加で用意してもよいと思っています。例えば、苦手だと感じる項目は復習に時間をかけて講師のサポートを受けるのもよいですが、イアホンをはめて応用のEラーニングコンテンツを受け始める受講者がいてもよいという事です。
◆再考ポイント:
特にエンジニアの世界では、新入社員の知識と、現場で必要な知識に大きな差があります。どのような差があるのかJava研修を例に確認してみましょう。例えば、JavaでWEBサービスを作るためにサーブレット,JSPまで受講していた新入社員がWEB系の現場に入ったとすると次のようなすれ違いが起こります。
(サーブレット、JSPまで学習済みの受講者の現場に入ってからの課題)
簡単に並べるだけで実にこれだけ現場エンジニアとの差があり、新入社員研修中に優秀だった受講者が自信を失うのも無理はありません。ここで考えなければならないのは、時間さえかければその道の専門家にいつかなれるのですが、どうやってそれを効率化するかということです。
以前2年目のエンジニアの方からJavaコース受講後に相談されたことがあるのですが、「入社以来テストしか行ったことがなく全体として何をしているのか分からない。将来が不安である。」とのことでした。育成的な観点でいっても、メンタリングの観点でいっても、他の業務と組み合わせて仕事内容を構成したうがよいと感じました。組みあわせる業務は継続的な「研修」受講であってもよいと思います。そこで、例えば集合研修後の配属先で以下のような研修を導入します。
目先の業務をこなす時間を増やしたほうが、一見生産性が高まるように思えますが、継続的な研修をして生産力そのものを高めたほうが将来的に圧倒的に効率的です。また、最新のツールの知識を持つことで、実は業務時間を驚くほど縮めることができるなど、勉強会に参加していれば入手できる知識は豊富にあります(これは新入社員に限ったことではありません)。
◆再考ポイント:
新入社員の集合研修後、部署に配属されてそれまでの仲間と離れることになります。同じ目線で話すことのできた相談相手を失う可能性があります。不安や不満を吐き出す場所や相談できる相手を持つことはメンタルケアの観点からしても非常に重要です。配属後も定期的に集合研修中のグループ仲間などと集まって振り返りの時間を作るなど、お互いでメンタルケアできる仕組みを用意すると効果的です。
OJTによる効果を高めるためには、教育を担当する先輩社員の研修が不可欠です。これは個人の特性だけでなく、教育理論の把握や先輩社員の知識力、コミュニケーション力など高度な技能を要するものです。OJTがうまく機能しない場合は、一度先輩社員のOJT研修などを検討してみてください。
◆再考ポイント:
人材育成は、将来の会社のあり方を左右するほど大事なものです。それでいて多くのフェーズがあり、非常に専門的で難しいものでもあります。内製化と外注をうまく組み合わて効果を最大化するとともに、常に新入社員の把握と研修の振り返りが必要と考えられます。
ただいまトレノケートでは、社員育成効果を高めるEラーニングコンテンツと、独自のアセスメントを開発中です。JavaとAI方面を深く実践的に用意している最中ですが、ご依頼いただいた分野での教材開発も相談させていただいております。ご興味がありましたらぜひともお問い合わせください。