AI関連の認定として近年注目されている、一般社団法人日本ディープラーニング協会の「G検定(JDLA Deep Learning for GENERAL)」。AI研修担当のトレノケート講師がG検定合格に向けて実際に取り組んだ試験対策や、アドバイスなどをご紹介します。
※情報は2019年4月時点のものです。
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G検定とは一般社団法人日本ディープラーニング協会の認定です。ディープラーニングをビジネスに利活用できる人材(ジェネラリスト)を目指す方向けの認定とされています。
・概要:ディープラーニングを事業に活かすための知識を有しているかを検定する
・試験概要:120分、小問226の知識問題(多肢選択式)、オンライン実施(自宅受験)
・受験料: 一般 12,960円 (税込) 学生 5,400円 (税込)※一般社団法人日本ディープラーニング協会のWebサイトより引用(外部リンク)
※2019年4月時点
合否結果は一週間後にメールで届きます。
ただし、自分が回答した問題の正誤や点数は分かりません。合格ラインも不明です。
合格者には認定情報として、取得した年度が付与されます。私が取得した認定は「JDLA Deep Learning for GENERAL 2019 #1」です。認定の有効期限はありませんが、進化し続けている分野であるため、定期的な更新が推奨されています。
(2024.2.19 追記)G検定の詳細については下記記事もぜひご参照ください。
G検定とは?難易度やおすすめの勉強法、取得のメリットなど
まず問題数について。試験概要には小問226問と記されていますが、226題の問題が出る、ということではありません。下記例題のように1つの問題で複数の回答を求める問題もあるため、実際の設問は226問よりは少ないです。
【例題】以下に挙げる用語は、第二次AIブームが起こった際に取り上げられた問題である。 それぞれの問題の説明としてふさわしいものをそれぞれ1つずつ選びなさい。 (ア)フレーム問題 (イ)シンボルグラウンディング問題
※一般社団法人日本ディープラーニング協会のWebサイト 例題より引用(外部リンク)
出題範囲は人工知能の歴史や動向、ディープラーニングの概要、産業への応用、法律等々です。中にはAIの歴史に関する細かい知識を問う問題もありましたが、全体を通して幅広いキーワード、概念への理解が求められている印象でした。
また、数式が提示される問題もいくつかありました。高度な数式の理解は必要ありませんが、機械学習のベースとなる基本的な微分やベクトル計算など、ジェネラリストとして最低限必要な技術知識に関わる内容は、試験に出る可能性があります。
制限時間は短いですね。私は回答後30分ほど余裕ができたので見直しに充てましたが、1問1問じっくり考える時間をとるのは難しいかと思います。試験中にWebや書籍の参照が可能ではありますが、調べながら回答しているとあっという間に時間切れになってしまうかもしれません。
個々人の前提知識や受験スタンスにもよりますが、私のオススメは、まずは立ち止まらず一通り回答することです。
試験中にチェックをつけた問題は後でまとめて参照することができるので、気になった問題や分からない問題はとりあえずチェックしておいて、すべて回答した後に、残り時間でそれらについて調べる、という作戦が良いのではないかと思います。
G検定では主に次のトピックに関する知識が問われます。
・AIをめぐる動向・問題点
・機械学習のアルゴリズムや基本的な理論
・ディープラーニングの実装手法や、関連法規、最新の動向
※参考:一般社団法人日本ディープラーニング協会のWebサイト「学習のシラバス」
単純にキーワードを「暗記」するだけではなく、「理解」しているかどうかが問われます。
例えば何らかの手法に関しても、単に「近年よく使われる手法は〇〇である」という知識で止まらずに、「なぜ、その手法が広く使われるようになったのか」まで答えられるかが大事です。そのためには、その手法の原理やメリットまでしっかりと理解しておく必要がありますね。
数学・統計の基礎知識があると機械学習の背景理論も理解もしやすいので、理数系出身ではなく全くのゼロから対策する場合は、このあたりの知識の強化から始めると良いと思います。
なおG検定ではコーディングなど実技問題は出題されませんので、プログラミング等の知識は必要ありません。
私は公式サイトで推薦されている書籍「AI白書」・「深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト) 公式テキスト」を精読しました。
上述したように、「暗記ではなく理解」が求められるため、周辺知識や背景まで含めてとにかく理解するように心がけると良いと思います。
自分の理解度をチェックするオススメの方法は、「人に説明してみること」です。
もし説明しようとして言葉が詰まるようであれば、おそらく理解が不十分です。すらすらと説明できるレベルを目指してみてください。
AIのビジネス利活用には、発注者と開発者、エンジニアと営業など、ビジネスに関わるメンバー全員が、AIについて共通理解を持っておく必要があります。AI関連の様々な用語とその理解、AIの仕組み、用途と手法、可能・不可能なこと……等々について共通の認識を持ち、共通の言葉で会話ができて初めてAI利活用のスタートが切れるといっても過言ではありません。
では、そのためにはどの程度の理解が必要なのか。G検定はこれからAIを学び、活用したい方にとって、身につけるべき知識の範囲と深さの目安になると思います。
上述の通り、幅広い知識と理解が求められる試験です。推薦書籍を読むのも一苦労かもしれませんが、その分、G検定の対策を通して、AIの利活用に必要な力を大幅に伸ばすことができるでしょう。少しでもご興味があれば、是非チャレンジしてみてはいかがでしょうか。