2019年10月24日(木)にベルサール新宿グランドに於いて、IT人材の育成に関わっている方を対象に「IT人材育成会議 ~DXに対応する人づくり~」と題した特別無料セミナーを開催しました。
経済産業省のDXレポート~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~にも述べられているように、DX推進人材の育成は緊急の課題です。
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ネットコマース株式会社 代表取締役 斎藤 昌義 氏
「DXとは、新しいテクノロジーを駆使した情報システムを作ることでも、IoTやAI、ネットを駆使した新しいビジネスを立ち上げることでもありません。ビジネスのやり方や組織の振る舞いを高速に変化させ続けることができるように、企業の文化や体質を変革することです」とDXの本質を説明。
今後5年以内に、ITビジネス環境の主流は下図のように変わっていきます。
この変化に対応する上で重要なことは、次の3点です。
DXを実現するには、イノベーションを加速させ、ジャスト・イン・タイムでビジネス・サービスを提供できなくてはなりません。これを実現するための考え方や手法として、次の4項目が注目されています。
DXの前後でITとビジネスがどのように変化していくかを紹介した後、参加された方々に対して、DXという変革のステージに立てるかどうかを次の3つの問いかけで締めくくりました。
トレノケート株式会社 徳永 統久
DXを推進するには、下記のように6種の人材が必要となります。
出典:デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査 (情報処理推進機構)
人材の呼称例 |
人材の役割 |
プロデューサー |
DXやデジタルビジネスの実現を主導するリーダー格の人材
|
ビジネスデザイナー |
DXやデジタルビジネスの企画・立案・推進等を担う人材 |
アーキテクト |
DXやデジタルビジネスに関するシステムを設計できる人材 |
データサイエンティスト /AI エンジニア |
DXに関するデジタル技術( AI ・ IoT等)やデータ解析に精通した人材 |
UXデザイナー |
DXやデジタルビジネスに関するシステムのユーザー向け |
エンジニア/プログラマ |
上記以外にデジタルシステムの実装やインフラ構築等を |
本セッションでは、上記DX推進人材の中の「ビジネスデザイナー」が、ビジネスの企画・立案する際に必要なスキルを強化できる研修コース「AIプランナー入門」の一部を体験していただきました。
■ミニ演習概要
サンプル問題「ゴルフ用品専門店のAI活用」を元に、
を考えていきます。
次に、これらをビジネスとテクノロジー面の2点から検証していきます。いわゆるPoC(Proof of Conceptの略、概念実証)と呼ばれるプロセスです。ビジネス面では、価値提案したものが顧客にとって価値あるものと理解されるか、収益性やコストではどうなるかといった事項について、検証します。テクノロジー面では、デジタルテクノロジーや機械学習との親和性などを検証していきます。
トレノケート株式会社 横山 哲也
DX後のITの変化を次の4つの視点から解説しました。
DX後は、全社員がITを活用していかなければなりません。全員がプログラマになるわけではありませんが、プログラミングの素養は身につけておいた方が良いでしょう。
また、重要な製品やサービスを理解することも重要です。例えば、代表的なクラウドサービスであるAWS やMicrosoft Azureの以下のエントリ資格を取得することをおすすめします。
スピードが求められる時代において、外注では迅速に対応することが難しくなってきます。今後、内製比率は高まっていくことが考えれます。しかし、すべてを内製化するとコストもかかってくるため、状況に応じて外注と内製を使い分けていくことになります。
品質は目的次第です。圧倒的な速度を実現するには、ウォーターフォール型開発では達成できません。また、新しい技術は、研修を受けることによって短期間で体系的に修得できます。
社内コミュニケーションとして、エンタープライズソーシャル(Slack、Microsoft Teams)の活用が増えていきます。
また、社外コミュニケーションとして、勉強会などにも積極的に参加することもおすすめします。社外との結びつきが強くなって転職するリスクが増えると懸念される人がいるかもしれません。しかし、一方で「社内しか知らない人が社内にいる」というリスクがあることも認識すべきです。
当日オンラインでDX取組状況に関するアンケート(6問)を行いました。参加された半数以上の方にご回答いただきました。
設問は、経済産業省 DX推進指標 回答フォーマットを参考に作成。(有効回答42)
データとデジタル技術を使って、変化に迅速に対応しつつ、顧客視点でどのような価値を創出するのか、社内外でビジョンを共有できているか。
ビジョンの提示なし:35.7%
ビジョンの提示あり:64.3%
ビジョンの実現に向けて、ビジネスモデルや業務プロセス、企業文化を変革するために、組織整備、人材・予算の配分、プロジェクト管理や人事評価の見直し等の仕組みが、経営層の下、明確化され実践されているか。
仕組みがない:33.3%
仕組みがある:66.7%
挑戦を促し失敗から学ぶプロセスをスピーディーに実行し、継続できる仕組みが構築できているか。
仕組みなし:47.6%
仕組みあり:52.4%
DX推進に必要な人材の育成・確保に向けた取組が行われているか。
取組なし:23.8%
取組あり:76.2%
ベンダーに丸投げせず、ITシステムの全体設計、システム連携基盤の企画や要求定義を自ら行い、パートナーとして協創できるベンダーを選別できる人材を確保できているか。
取組なし:14.3%
取組あり:85.7%
「技術に精通した人材」と「業務に精通した人材」が融合してDXに取組む仕組みが整えられているか。
仕組みなし:26.2%
仕組みあり:73.8%