社会を取り巻く環境が急速に変化していく現代において、必要性が高まっているのがDX推進です。企業が時代の流れに沿ってDX推進やイノベーションに取り組んでいくためにはDX人材の確保が必要です。既存の従業員をDX人材として活躍できるようにするために、資格取得を目指してもらう方法があります。
本記事では、DX人材の育成に役立つ資格や活躍できる職種などを紹介するとともに、資格取得を推進するためのポイントを紹介します。
DX人材を育成するにあたって資格取得を目標にするのは一つの手段として有効です。こちらでは、資格取得を目標とすることで得られるメリットと業務への貢献について紹介します。モチベーションを維持してITやICTに関する知識やスキルを身につけていくためにも、資格取得も視野に入れましょう。
資格取得を目標とすることで期限や明確な目的ができるため、計画を立ててスキル獲得を進めやすいと考えられます。ゼロの状態からDXに関する知識やスキルを身につけるために独学で学習を進める場合、何から始めればよいか迷うこともあるでしょう。基礎的な部分で飽きてしまい、学習が続かない可能性もあります。
資格取得という目標を定めることで何を学べばよいか、どのような手順で学習すればよいかが明確になります。なかなか独学で学習を進めるのが難しい方でも、試験を受けるために勉強を進められるでしょう。
ただし、資格取得は最終目標ではありません。あくまで、DX人材として活躍していくための手段であることを頭の隅においておきましょう。最終的には知識やスキルを活用することが目的ですが、目標や期日がないと動けない方は資格取得を一時的な目標とすることをおすすめします。
DXに関する資格を取得することで従業員の自信にもつながります。資格取得は専門知識やスキルを身につけることはもちろん、自分の考え方や視野を広げ業務に活かすことにも役立ちます。AIの発展やグローバル化によって急速に変化していく現代社会を生き抜くためには、変化を受け入れ新しい考え方や視点を身につける必要があるでしょう。そのためには学び直しを行い新たな知識を身につけることが大切です。
資格取得に向け学習する中には、これまで知らなかった知識やスキルが含まれているでしょう。それらの知識をつけ業務に活かすことで、自信にもつながると考えられます。
ここからは、DX人材として活躍する人の職種を紹介します。企業がDXを推進していくためには人材の確保も大切ですが、どの人材がどのようなシーンで活躍できるのかも把握しておくことが必要です。DX人材と呼ばれる主な職種を5つ紹介しますので、自社の事業でどのように活躍してもらえるかの参考にしてください。
エンジニアと一口にいっても、その種類はさまざまです。たとえば、システムエンジニアやAIエンジニア、IoTエンジニア、ネットワークエンジニア、Webエンジニアなどがあります。エンジニアとして働くためには、プログラミングに関する知識が欠かせません。今後DX人材として活躍するためには、AIに関する知識も身につける必要があります。機械学習やディープラーニングの知識やデータベース言語の知識、数学的知識などが求められます。
プログラマーとは、プログラミング言語を用いてシステムやソフトウェアを動作させるためのプログラミングを実施する職種です。金融や物流システムなど企業が導入するシステムのほか、スマホアプリやゲーム、YouTubeなど身近なシーンでもプログラミングは活用されています。プログラマーにはプログラミング言語の知識はもちろん、常に新しいデジタル技術に目を向け知識をアップデートしていく姿勢も必要です。
アーキテクトには、企業がDXを推進して行く際、具体的にどのようなデジタル技術をビジネスに取り入れ活用していくかを考えるとともに、システムそのものを設計する役割があります。ただし、実装や構築は行わない点に注意しましょう。流れとしては、課題の分析から要件定義、設計や開発のサポートなどを進めていきます。デジタル技術に関連する専門的な知識はもちろん、経営的な視点も必要な職種です。また、プロジェクトをチームで円滑に進めていくためのリーダシップやコミュニケーションスキルなども身につける必要があります。
UXデザイナーとは、製品やサービスのUXを設計する仕事です。UXとはユーザーや顧客が製品やサービスを利用したときに得られる体験を指しています。UXデザイナーはユーザーが快適に製品やサービスを活用できるようデザインや仕様を設計する必要があります。DXの推進やビジネスのデジタル化によって注目を集めている職種の一つです。社内外の人とやり取りを行い理想のデザインに仕上げていくため、コミュニケーションスキルが欠かせません。他にもデザインに関する知識はもちろんSEOやマーケティング知識、分析スキル、プレゼンテーションスキルなども必要です。
データサイエンティストとは、さまざまな意思決定が必要なシーンにおいて、収集したデータに基づいた合理的な判断を下せるよう、意思決定者に対してサポートを行う職種です。統計解析の知識はもちろん、適切な情報収集を効率的に進めるためのITスキル、ビジネスや市場トレンドの把握など、多様な知識やスキルが必要です。
AIエンジニアとは、AIを活用してシステム開発を行う技術者を指します。機械学習やディープラーニングなどを活用して、データの学習や分析を実施し、目的に合ったAI構築を進めることが主な業務です。AIに関連する専門的な知識だけではなくプログラミング知識やITスキルとともに論理的な思考や数学的知見も求められます。
ビジネスプロデューサーとは、企業のDX化やデジタルビジネスを実現するために必要な情報・人材・資金・モノを準備し、チームの能力を最大限に発揮させるリーダー的な人材を指します。企業全体のDX化を統括する人材ともいえます。ビジネスプロデューサーは、最新のデジタル技術の知識を身につけるだけではなく、自社を取り巻く経営環境を把握し、どのように導入を進めればよいか戦略・戦術を立てるスキルが必要です。
ビジネスデザイナーとは、プロデューサーが立てた戦略や戦術をより具体的な企画として立案する役割があります。詳細なビジネスモデルやビジネスプロセスを組み立て、推進を担います。企業の活動に関わる人材や顧客との利害関係を調整し、プロジェクトをスムーズに進めていくためにファシリテーション能力を身につけることが必要です。
DX人材を育成するために資格取得を目標としてもらうのは一つの手段です。少子高齢化による労働人口の不足が深刻化する中、優秀なDX人材を確保するためには新しく採用を進めるだけではなく、既存の従業員をDX人材として育成する方法もあります。こちらでは、DX人材の育成におすすめの資格を6つ紹介します。
プロジェクトマネージャー試験とは、情報処理推進機構(IPA)が実施している国家資格の一つです。システム開発のプロジェクトを進めていくにあたって、チーム内でプロジェクトのマネジメント業務を担い、業務を円滑に進めていくためのスキルを身につけることを目的としています。
試験を通して高度IT人材としての専門知識を身につけるとともにプロジェクトマネージャーとして業務を遂行するために必要な予算・スケジュール・品質管理などへの知識を深めることが可能です。
データサイエンティスト検定とは、データサイエンティスト協会が実施する試験です。データサイエンティストに必要なスキル領域は、ビジネス力・データサイエンス力・データエンジニアリング力の3つです。資格取得に向けて学習を進めて上記3つのスキルを高められるのはもちろん、検定取得によって数理・データサイエンス・AI教育のリテラシーなどの知識を有しているかの証明が可能です。
G検定とは、一般社団法人日本ディープラーニング協会が実施する試験です。AI・ディープラーニングを活用するためのリテラシーを持ち合わせているかを認定する検定です。DX推進のために、AI・ディープラーニングについての基本的な概念や構造を知りたい方や、AIエンジニアになるための最初の一歩を踏み出したい方、職場でAI理解の必要性を感じ始めた方などは取得を検討しましょう。
デジタルトランスフォーメーション検定とは、職種を問わずDX推進の知識を学べる検定です。一般社団法人・全日本情報学習振興協会が認定しています。DX推進の実務者や責任者、アドバイザーを認定するための検定で、DX推進の基礎となるAIやIoT、クラウドなどに関する知識が求められます。
また、検定にはDX推進アドバイザー認定試験とDXオフィサー認定試験の2種類があります。アドバイザー認定試験が基本的な知識を問うものであるのに対して、オフィサー認定試験は応用的な知識が必要です。
DX検定は、日本イノベーション融合学会が認定する資格です。DX推進が注目される現代社会において、先端技術トレンドやビジネストレンドへの理解を深めるために役立つ検定です。DX人材を育成するにあたり、全く知見がない方でも受けやすい検定といえます。取得スコアによって、DXプロフェッショナルレベル、DXエキスパートレベル、DXスタンダードレベルと認定が分かれています。
ITコーディネータ試験とは、経営に役立つITサービスの導入から運用までを一貫して進めていくために必要な経営層目線のIT知識が問われる試験です。IT経営のプロフェッショナルを認定することを目的としています。ビジネス視点でデジタル技術や知識の活用が学べる試験です。ビジネスデザイナーやプロデューサー、アーキテクトなどの職種を担う人材におすすめの資格です。
DX人材を育成するにあたって従業員に資格取得を促す場合があります。こちらでは、資格取得を推進するポイントを5つ紹介します。
従業員の自主性を尊重することも大切ですが、全て任せてしまうと学習が計画通り進まなかったり学習に時間を取られ不満が溜まったりする場合もあるでしょう。企業が研修や講義を計画することで、学習の機会を増やすことが可能です。また、集合研修であれば同じ資格取得を目的にした仲間との交流機会も増えるため、モチベーションの維持や向上にも役立つでしょう。
eラーニングやオンライン講義などもあわせて導入することで、場所や時間にとらわれず学習を進められるようになるため、効率的に資格取得に向けた学習ができます。
DX人材育成のために資格取得を従業員に促す際は、通常業務のスケジュールを調整し、学習時間を確保できるよう配慮しましょう。可能であれば、業務時間中に学習できるタイミングを設けることも一つの手段です。業務時間外にはオンライン動画で自主的に学習を進めてもらい、業務時間中には集合研修や講義を導入して、資格取得に向けたモチベーションを維持できるスケジュール調整を行うことが大切です。
資格取得に向けた意欲を高めるためにも、従業員一人ひとりのキャリアプランを明確にして共有することが大切です。資格取得後にどのような業務に関われるか、どのポジションにつけるかなどを共有し、従業員が目指したい職種や業務内容を把握して、希望に沿ったキャリアプランを設定することで、取得へのモチベーションも向上できるでしょう。
計画的にDX人材の育成を図るためには資格取得に向けた環境や制度を整えましょう。たとえば、資格取得にかかる費用を企業が負担したり、業務時間を調整したり、従業員の負担が大きくならないよう制度を整える必要があります。環境が整えば取得に向けた意欲が高まるだけではなく、従業員の不満が溜まりにくくトラブルが起こりにくいでしょう。
企業がDX人材を育成するために役立つのが資格取得です。ただし、資格取得はあくまで活躍できるDX人材を育成するための手段であって、最終的な目的ではありません。資格取得を目標にすることでモチベーションや意欲を維持することにつながります。
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