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DXは人材育成がカギ!企業がおさえるべきポイントを解説

人材育成は長きにわたるテーマですが、数ある人材の中でもDX人材の育成が近年注目を浴びています。進歩する技術を活用し新たな価値を生み出すDX人材は、企業が変化の激しい時代において存続するために欠かせません。しかし、DX人材は期待する人材像によっては育成に労力がかかり、かつ高度なスキルを求められるため多くの企業が育成や対応に悩んでいます。

実際に、経済産業省が令和4年に発表した「デジタル人材育成プラットフォームの取組状況について 」によると、日本では76%の企業がDX人材の不足を感じているとのデータが出ています。このことからどれだけ技術が進歩しても扱える人材がいなければ宝の持ち腐れになってしまうことがわかります。企業においてDX人材の育成や確保は急務です。

本記事ではDX人材育成について、求められる時代背景や実務に落とし込む際に知っておきたい「デジタルスキル標準(DSS)」等について解説します。

デジタル人材育成が急がれる理由

ここではまず世界的にデジタル人材育成を急ぐ理由を3つ紹介します。

デジタルの活用により産業構造が変化しているため

デジタル技術は業界問わず企業のあり方に大きな変化をもたらします。これまでは元請けと下請けだった企業間の関係性がデジタル技術の導入により逆転する可能性もあります。

たとえば、元請けだった大企業に分類されるA社が小企業のB社に対して、長年仕事を依頼していた場合、客観的にはA社が有利な状況にあると考えます。しかし、B社が中小企業向けの補助金を使いITツールの導入やDX人材の登用を行い業務の効率化を進めた場合、受注量を増加できたり新たな取引先との関係ができ売上向上が見込めます。

また、B社はDX人材を登用することで新たな販路を見出し、これまでの業務だけでなく新規事業を立ち上げる可能性もあります。その結果、B社の売り上げがA社を凌ぐというケースも想定されます。このように、デジタル技術の活用は分野ごとの構造を覆す可能性すらあります。そのため自社が生き抜くため、他社と差別化を図るためにデジタル人材の育成や技術の活用が進んでいます。

膨大な情報を扱うにはITリテラシーを高める必要があるから

ネットが普及し、私たちの生活は非常に便利になりました。しかし、ネット上の情報量は膨大で何が真実かを見極めることが難しいケースもあるでしょう。情報の正確性を判断するには自身のITリテラシー向上が欠かせません。

ITリテラシーはデジタルデバイスやネット活用における知識を指し、情報の取捨選択が可能になるスキルです。特に、企業規模では情報漏洩やサイバーセキュリティ犯罪などのリスクがあります。

そのため、企業全体で膨大な情報を扱うためにDX人材やIT人材を育成し、全体でITリテラシーを高める必要があるでしょう。

変化に富んだ時代で企業が生き残り成長するため

私たちは変化に富み、不確実な世界に生きています。技術の進歩は生活を便利にした反面、情報や技術の格差を生み出します。企業の場合、市場ニーズや世の中の流れをスピーディーに察知しなければビジネスチャンスを逃したり、企業の成長を止めたりする可能性もあるでしょう。

変化に富む時代において企業が生き残り継続的に成長するためには、時代に適した能力が欠かせません。DX人材は最新技術に関する知見を高め、かつ企業の変革を起こせる人材のため育成が急がれています。



DX人材育成を進める際に知っておきたい
「デジタルスキル標準(DSS)」とは

DX人材育成を検討する際に知っておきたい項目に「デジタルスキル標準(DSS)」があります。デジタルスキル標準(DSS)は経済産業省がDX推進のタイミングでビジネスパーソンや専門分野の人材が身につけたいスキルを一覧にした資料です。

なお、デジタルスキル標準はDXへの理解を深めるDXリテラシー標準(DSS-L)とDX推進スキル標準(DSS-P)から成り立っています。ここでは、両者の概要を解説します。

DXリテラシー標準(DSS-L)

DXリテラシー標準(DSS-L)はDXに関連する基礎的な知識とスキルを身につけることを目標とした指針で、すべてのビジネスパーソンが該当します。これからの社会で情報やツールをうまく活用し、業務を遂行する際に欠かせない要素が示されています。

 

「なぜDXが必要か」「どんな風に実践するのか」を具体的なシーンを用いて記載されているため、DXを自分ごととして捉えることに役立ちます。

DX推進スキル標準(DSS-P)

「DX推進スキル標準」は企業がDXを推進することを目的とし、必要なスキルを持つ人材を育成するために必要な指針です。対象者はビジネスアーキテクトやデザイナーなど特定の職種に限定され、それぞれが必要となる重要度をa〜cに分類して記されています。

各職種で求められるスキルが異なるため、企業は自社が求める人材をDX推進スキル標準に基づき検討することができます。

 

DX人材育成を始める前に知っておきたいポイント

ここからは実際にDX人材を育成するポイントを3つ紹介します。DX人材は従来の人材育成とは異なったアプローチが必要です。誰もがDX人材として登用できるわけではなく、事前にスキルの把握や適正の確認が欠かせません。

DX推進における適任者の候補を挙げる

DXを推進していく担当者としてふさわしい候補者をあげます。候補者の選定基準としては下記があげられます。

  • 社内業務への豊富な経験
  • ITリテラシーが備わっている
  • マネジメント能力

どれだけ最新技術への知見があったとしても、勤続年数が浅く企業の内情を把握していなかったり上に立つ経験をしたことがなかったりする人の場合、従業員を率いることは困難でしょう。人材を選抜する場合は経験年数が長い人材や役職者を検討しましょう。
ただし、役職者の中にはデジタルデバイスに抵抗を持っていたり、新しいことを学ぶのに消極的だったりする場合もあります。育成する人材を選定する場合は本人の意見も確認しましょう。

なぜ自社がDXを推進するかを確認する

適任者の選定と合わせ「なぜDXを推進するか」を社内で取りまとめましょう。

「競合企業がDXに踏み出したから」「社内で問題は発生していないけれど、やった方がいいと思ったから」など、根拠が曖昧では従業員の納得感を得られず、具体的な行動に落とし込めません。

DXの推進は自社の課題をきっかけに具体的な行動に落とし込んでいきます。そのため「自社がなぜDXを推進しなければいけないか」「自社の課題は何か」を明確にした上で、DXの必要性を認識し従業員の理解促進が必要になります。

社外の人材活用も視野に入れる

DX人材は一朝一夕で育成できる存在ではありません、自社で育成が難しいと感じた場合は社外の人材を活用しましょう。DX人材は需要が高まっていることからヘッドハンティングや専用の求人サイトなどが多く見られます。

しかし、外部から招へいする場合、自社のビジョンに共感してもらえない可能性があります。採用時は自社情報を十分に伝えた上で採用を検討しましょう。

 

DX人材育成の進め方

ここからはDX人材を社内で育成する進め方を紹介します。育成は知識を蓄えるだけでなくアウトプットの機会を用意することが欠かせません。

社員や組織のスキルを把握する

まず、対象となる従業員や組織(部署)のスキルを把握しましょう。DX人材育成を部署規模で行う場合と従業員個人に行う場合、いずれも対象者がどの程度DXに精通しているかを把握します。

具体的には、基本的なデジタルデバイスの扱い方や、AIツールやDXへの知見など、基礎的なところから確認していきます。なお、従業員のスキルを測定するには「人材(従業員)アセスメント 」や「DXアセスメント」と呼ばれる第三者の判断がおすすめです。人材育成ソリューションを扱っている企業やITツールを扱う企業がサービスを展開しています。

DX人材育成計画の策定

人材が定まったら人材育成計画を策定します。やみくもに「外部ツールを使い半年間学んでください」と従業員にお願いしたとしても、モチベーションが続かなかったり計画性がなく学習が停滞してしまったりする可能性があります。
確実に遂行するために、「いつまでにどのような人材を育成するか」「達成率は現在何%か」など、育成計画を立てます。

たとえば、最終目標から逆算し四半期ごとや月ごとに従業員が取り組むべき学習や業務を明確にすると、従業員は取るべき行動が分かり取り組みやすくなるでしょう。

なお、DX人材育成計画は外部の人材育成企業を活用する場合、計画サポートが付属する可能性もあります。自社で人材育成計画をつくることができなかったり、時間が掛けられなかったりする際には、外部の人材育成企業を活用することがおすすめです。

教材や研修を通して知識をインプット

実際に教材を使い候補者は学習を進めます。学習方法はさまざまで、外部の研修ツールを活用する方法や座学の研修会に参加する方法、書籍で学び資格を取得する方法などがあります。

従業員は働きながらDX人材となるべく学習を進めるため学びやすい環境の整備が必要です。従業員が学習を行っている場合は適宜フォローが欠かせません。業務ボリュームを調整し、対象者だけでなく企業全体で取り組んでいる姿勢を大切にしましょう。

なお、並行して従業員全体でITリテラシーを高める方法もおすすめです。例えば、経済産業省が運営する「マナビDX」では、登録不要で多様なITリテラシーを高めるトレーニングが行えます。DXは企業一丸となり取り組む改革のため、活用を検討しましょう。

蓄えた知識を業務でアウトプット

従業員が知識をある程度蓄えたら業務でアウトプットする機会を設けましょう。たとえば、DXの研修で学んだことを社内で他の従業員に教える機会を設けたり、実際にITツールの導入を任せたりしましょう。

知識をつけることももちろん大切ですが、実際の業務に落とし込むことがもっとも重要です。なお、業務に落とし込む場合、新しいことに取り組むことになるためスモールステップで進めます。たとえば、まずは社内コミュニケーションにチャットを導入してみる、契約書を電子契約書に変えてみる、など小さなことからスタートします。

各段階で改善を常に行うことが大切

DX人材を育成する場合、学びと実践の各フローで改善を行いましょう。社内で初めてDX人材を育成する場合、先行きが不透明なため何が正解か分かりません。もしも候補者がインプットの段階で悩んでいる時は会社からサポート体制を整えたり、別途学びのツールを追加したりします。また、アウトプットやIT技術導入に挑戦している際も進捗を確認し、改善点をピックアップします。DX人材候補となる従業員だけでなく、人事担当者やDX人材、経営層が一丸となり取り組む姿勢が大切です。

 

DX人材育成だけでなく外部調達の選択肢

社でDX人材の育成が求められる反面、予算や人材の不足により実現が難しいこともあるでしょう。その場合は社内で育成するだけでなく外部から調達する選択肢も必要です。ここではDX人材を外部調達する場合を想定し、流れや注意点を紹介します。

DX人材の需要が高まっている

みずほ情報総研株式会社が発行する「IT人材需給に関する調査」によると、2030年に最大79万人のDX人材が不足するとのデータが出ています。少子高齢化による労働力不足の問題だけでなく技術の導入が進む中、ツールを適切に扱える人材が少ないことが原因として挙げられます。しかしツールの導入は進む一方のため、DX人材の需要は高まり続けています。

自社でDX人材育成が困難な場合に適している

冒頭でも述べたとおり、自社にDX人材が必要と感じていても、採用や育成に踏み切れない企業が多く存在します。そのため、人材派遣事業やコンサルティング事業ではDX人材を企業に提供する動きが高まっています。自社でDX人材を育成するゆとりがない場合、外部から調達すると改革をスピーディーに行うことも可能です。

採用時は自社で基準を定めることが大切

外部からDX人材を登用する懸念点として「考え方が自社風土になじむかどうか」が挙げられます。外部から新しい風を取り入れる手法は効果を期待できる反面、企業特有の雰囲気を壊す可能性もあります。

DX人材の外部委託が不安な場合は自社採用を検討しましょう。ただし、自社で採用する場合は通常の採用基準に合わせ、DX人材に最適化の判断基準も設けましょう。

 

まとめ

DX人材は業界問わず不足が目立ちます。労働人口の減少に伴い、ITツールを活用し業務の効率化が求められる中、最新技術を使いこなせる人材が不足していることが要因として考えられます。しかし、ITツールは今後も進化を続けることが予想されるため、ツールを使いこなしかつ企業を時代の流れにあった形に変化させることが欠かせません。時代にあわせて事業を発展させるためにもDX人材の育成を前向きに検討しましょう。

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