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日本企業の人材不足とスキルのミスマッチ

作成者: 松野 陽子(まつの ようこ)|2019-12-24

その根本には、「職とスキルのミスマッチ」という問題があります。

「攻めの人材育成」の重要性が、いま改めてクローズアップされています。

目次[非表示]

  1. 1.産業構造の変化によって変わる「職」
  2. 2.日本は先進国の中で職とスキルのミスマッチが最悪レベル
  3. 3.「能力開発の実施率」と「生産性」は比例する
  4. 4.世界でも突出して低い、日本の人材開発費
  5. 5.新しい職種の代表格、「 DX推進人材」は約7割不足
  6. 6.空前の人手不足「ITエンジニア」も、10年後には人があまる可能性が
  7. 7.「攻めの人材育成」でスキルのギャップを埋め、将来のビジネス成長へ活かす
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産業構造の変化によって変わる「職」

産業構造が大きく変わる中、複数の業界で職とスキルのミスマッチが原因によるリストラや配置転換が進行しています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)拡大により、創造性や複雑な思考の関与が少ない「ルーティン」の要素が多い職種のニーズは、今後大きく減少することが予想されています。

一方で新しい職種が生まれていますが、これらの人材は逆に大幅に不足しています。

 

日本は先進国の中で職とスキルのミスマッチが最悪レベル

平成30年版労働経済白書によると、日本はスキルや学歴のミスマッチが OECD 諸国の中で最も高い水準となっています。

教育世界一と称されるフィンランドの33.6%と比較すると、日本は68.2%で約2倍もミスマッチがあります。

平成30年版労働経済白書 平成30年版 労働経済の分析

(厚生労働省のWebにジャンプします)

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_01633.html

 

「能力開発の実施率」と「生産性」は比例する

「G7の中で日本の生産性は最も低い」というニュースが話題になりました。その後、働き方改革が企業の最重要課題として浮上しましたが、一体何をすれば生産性向上につながるのでしょうか。

同労働経済白書の世界統計では、能力開発の実施率が高い方が、労働生産性が高い傾向が示されています。

つまり、人材の能力向上で、企業の生産性を高められる可能性が高いと読み取れます。

 

世界でも突出して低い、日本の人材開発費

日本の企業が費やす能力開発費用は、世界的に見ても極端に低い水準に据え置かれています。
米国と比較すると、約20倍もの圧倒的な開きがあることがわかります。

日本企業の利益剰余金は7年連続で過去最大を更新しています。

好景気が影響して、ここ数年は研修費用は若干増加していると報道されていますが、世界と比較すればまだまだ少ないといえます。

 

新しい職種の代表格、「 DX推進人材」は約7割不足

IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)によると、9割もの企業が「ビジネス変革の必要性」を強く認識しているものの、DX人材について、「大いに不足」という回答が最多だったとされています。

DXの推進を担う人材に対する不足感は平均で68.8%と、必要な人材の多くを採用・育成ができていない状況がわかります。

出典:IPA(情報処理推進機構) 「これからの人材のスキル変革を考える~DX時代を迎えて~」資料をもとに作図(各職種の平均値を計算)

https://www.ipa.go.jp/ikc/seminar/20190704.html

 

 

空前の人手不足「ITエンジニア」も、10年後には人があまる可能性が

現時点で引く手あまたのITエンジニアも、安泰ではいられません。

経済産業省「IT人材需給に関する調査」によると、AIやIoTに関わる先端IT人材の不足は拡大するが、受託開発や保守運用を担う従来型IT人材は余るという統計がでています。今のうちから、新しいスキルを計画的に修得していくことが必要です。

  • 先端IT人材:  AIやビッグデータ、IoT等、第4次産業革命に対応した新しいビジネスの担い手として、付加価値の創出や革新的な効率化等により生産性向上等に寄与できるIT人材
  • 従来型IT人材: 従来型ITシステムの受託開発、保守・運用サービス等に従事する人材

出典: 経済産業省 IT需給に関する調査

https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf

図 3-25 IT需要の伸び「中位」、生産性上昇率「3.54%」(Re スキル率:1.0%)の場合の試算結果を元にトレノケートが作図、コメント

 

「攻めの人材育成」でスキルのギャップを埋め、将来のビジネス成長へ活かす

人材のスキルを計画的に伸ばし、職とのギャップを埋める「攻めの人材育成」の必要性は、今後さらに高まると予想されます。

人生100年時代の到来で職業人生が長くなる中、変化を厭わず学び続ける姿勢は、業種を問わず全てのビジネスパーソンに必須であるといえるでしょう。