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Cybozu Days 2021参加レポート

2021/11/1に幕張メッセで開催されたCybozu Days 2021に参加しました。
この日のキーワードで心に強く残ったのは「伴走型SI」です。
伴走するように「知恵は出すけど手は出さない」ことによって事業会社の内製化を支援する。
外製ではどうしても時間がかかったり齟齬が生じたり、仕様変更が柔軟に行えないなどの課題がありました。
内製化することによってこれらの課題は解決されますが、そのために使用するプロダクトや技術すべてに精通することも組織や規模によっては現実的ではないこともあります。
そのために大部分を外製に頼らなければならず、課題が残っているケースもあります。
「伴走型SI」では、問い合わせや相談、検証、調査をサブスクリプションで引き受けて、事業会社はそれらの作業に時間をとられることなく最短距離で内製開発を進めながらスキルと知見を手に入れることができます。
とても合理的で目的にまっすぐ向かえるソリューションであると感じました。
参加したセッションを中心にレポートします。

 

WeWork Japanが kintoneの導入ショック期を越え、利用定着するまで

最初に見たのが、WeWork Japanさんの「kintoneの導入ショック期を越え、利用定着するまで」でした。
契約書管理システムとしてkintoneを導入されて、その直後に運用がなじまず社内パニックを起こしてしまった時期があったそうです。
1,000件を超える通知が溜まったり、問い合わせが毎月100件届くという状況だったそうです。
サイボウズとも相談しながら設定を徹底的に見直して不要な通知をなくして、操作方法は画面付きのマニュアルや使用者同士で教えあってもらうことで解決された。
そして問い合わせ管理のQ&Aアプリを用意して、問い合わせと回答を残して共有した。

導入時期は業務のやり方が変わるので、現場は混乱しますね。
それを正しい使い方を知ってやり直して、ユーザー目線で改善されたのですね。

定着した後は業務改善のスピードが向上し、社内での流行語がkintoneになるまでになった。
この導入から定着までをシステム部門ではなく、リーガル管理を担当されている部門が担当されたということがkintoneのパワーですね。
でも知ること学ぶことによってプロダクトのメリットをフルに活かせるというセッションでした。
技術的スキルというよりも、現場にkintoneなどのSaaSを適用させるスキルを身につけることがポイントですね。

 

Product Keynote

次はProduct Keynoteセッションを見ました。

Cybozu Days 2021のテーマは「EGO & PEACE」と「LOVE YOUR CHAOS」。
ビジネスの現場ではエゴと平和が混ざりあったカオスな状況が発生している。
このカオスを嫌うのではなくカオスにこそビジネスのヒントがあるのではないかというメッセージでした。
本当にそうですね。
平和を求めてエゴを抑えては新たなチャレンジに繋がりません。
でもエゴだけだと組織は正常に機能しません。
どこの現場にもカオスは存在します。

kintoneのプロダクトキーワードは「内製化」と「伴走型SI」。
仕様書を作って、「はいどうぞ」と渡す、上流下流という考え方ではなく、自分たちでできるものは作り、手伝ってもらえることを一緒に伴走しながらパートナーと作っていく。

ゲストトークでは北國銀行さん。
銀行さんでkintoneで内製化をしながらお客様とともにシステムを利用されている。
発表されている内容がもはやIT企業の代表のようなお話。
銀行の代表さんとは思えませんでした。
全員にIT研修やプログラミング研修を十把一絡げとしてやるんではなくて、それぞれが得意としている目的に応じてやりたいものやって活用してもらう。
地域のニーズは銀行機能だけではないので、必要な機能を提供できる企業体になるそうです。
そのために全員が会社を退職して、持株会社に所属して、それぞれの機能を持つ会社に出向されるそうです。
すごいですね。
本気しか感じないです。

お2人目のゲストは日清食品さんでした。
kintoneを使うコツとして、IT部門がゆるいガバナンスしつつも、業務部門主導でアプリを開発して多少のカオスを許容している。
業務部門の部門内製化ですね。
本当の内製化とは作る人が誰という話ではなくて、進める人が誰という話かと思います。
そこに本当の意味でも「創る」のが誰という内製化になっておられました。
R3インスティテュートさんが開発支援をされてますが、この支援はノウハウの迅速な提供であり、作るのはあくまでも日清食品さん。
日清食品さんの内製化の自走を支援するのが伴走SIなんですね。

 

kintone hive tokyo vol.14 <kintone AWARD ファイナリストによる事例講演>

kintone hiveという、kintoneの活用アイデアを全国各地のユーザー同士で共有するイベントがあります。
その全国それぞれのkintone hiveからファイナリストユーザーが集って事例を発表されていました。
どんな課題がkintoneによってどのように解決されたのかを知ることができるセッションでした。

医療法人社団 双愛会の清水さん。
在宅医療における関係者、情報をデータベース化したいということで4年前に他社システムを導入して目的が果たせなかったので、2年前にkintoneを導入して「小さく作って素早く軌道修正」することで本来の目的である情報をまとめることに成功された。
新型コロナ禍での診療に対応するアプリは1時間で開発された。
「この1時間は2年間の継続的な取り組みがあったからこそ実現できた1時間」で発表を締められました。
現場の課題解決のために知見を貯めることができることも内製化の魅力と効果なんでしょう。
業務やサービスを最も身近で知ってて、現場の人たちとフレキシブルに会話できるから、急な要件発生にも対応できるんですね。

 

美濃加茂市社会福祉協議会の麻生さん
有事に急に使い始めるのではなくて、有事のために平時に使って慣れていく。
3年前の平成30年7月豪雨では岐阜県にもたくさんのボランティアさんが駆けつけて長蛇の列ができていた。
受付が紙ベースで非常に時間がかかっていた。
この課題にkintoneと二次元バーコードで解決できないかと考えた。
これを次の有事のために平時で活用してみてテスト運用していった。
必要だからkintoneを使った、必要だからアプリケーションを作った、だからこそ必要なアプリケーションが正しく作られていくんですね。

相互電業の総務事務員の今野さん。
犬と一緒に過ごしながら働きたいということで、在宅勤務をしたいというエゴを実現するために、約30名で構成される企業で2018年からkintone導入を開始された。
「必要ない」「困ってない」「不便になる」という声があって、現場の理想と自分の理想のギャップが確認できて、現場の理想を確認するために、1人1人の意見と部門代表の意見をワークショップで確認することを繰り返した。
そしてスレッドで情報共有がはじまり、それぞれの仕事が見えるようになったことでチームワークが生まれた。
表計算ソフトで管理していた日報もkintoneアプリにしたことで、月次など特定期間での集計が不要になった。
30人30通りの業務フローが30人で協力しあう業務になった。
年間1000時間、400万円の削減に成功した。
当初の目的であった在宅勤務も達成できた。
「エゴこそが業務改善の種になる。」
働いている自分の幸せがあるからこそ、会社もサービスを提供するお客様も幸せになる、ですね。

 

愛媛バスの森川さん。
2013年はバス22台の受注管理をノート6冊で行っていた。
クレームがあると大量な紙の資料から情報を探して、電話は保留から折り返し対応にして担当者に伝言してひとまず終了。
2018年からkintoneを導入。
導入時の「業務を増やす」「手間が増える」など抵抗反応には、「相手を思う情報共有をするためにはどうしたらいいか」を考え抜き、そのための手段としてkintoneを利用することが浸透していった。
案件管理アプリを作ったことによって元々使っていたシステムを解約することで500万円の経費削減になった。
情報共有を大切にする文化ができてきたことで、新型コロナ禍では、30以上のアイデアが出てきた。
SDGsに取り組んだり、旅行気分を味わってもらえる新規事業(地元の名産のセレクト販売)をはじめることができた。

 

サエラの田中さんと西川さん。
情報管理に困っていた人事部門とシステム担当の総務部門さんお2人が登壇されてそれぞれの立場で発表されていました。
新卒採用業務において、年間1000人ほどの学生さんとやり取りを行っていた。
その管理に表計算ソフトを使用していた。
ファイルやデータの修復に時間がかかってしまうこともあった。
現場は情報管理に表計算ソフトを使っているのは、こだわりがあるからではなくて、他の手段を知らなかったから。
でもそれをシステム担当は最初は気づいていない。
そこでkintoneを導入して人事部門が自らアプリを作っていく。
「わからない」で嫌いにさせない。
「自分で作る」から「他人ごと」ではなくなり「自分ごと」になる。
「自分で作る」から気兼ねなく改修できる。
結果、
データ修復のための月40時間は0時間に。
データ整理や会議仕様の作成時間は月20時間から3時間に。
チーム内の連携ミスによる作業は月約20件から1~2件に。
システム担当さんは伴走し、そのポリシーは「知恵は貸しても手は出さない」。
手を動かす人の、気づきや自分ごと化。
それで人がITスキルを得るということではなく、ビジネスや人生において、学び成長する。
そして組織メンバーが強くなる。
部門内製化のメリットすごく大きい、と改めて思います。

 

RGCの當眞さん。
RGCさんは琉球ガラスの製造、卸、販売、ガラスのテーマパーク運営などをされている。
従業員数は約70名。
「シークヮーサー問題」とは、「シークヮーサー」という文字は表記ゆれが起こりやすく統一されていなかったので商品名をキーに使用できなかった。
kintoneとバーコードリーダーを連携し、商品名の手入力をやめ、バーコードスキャンにすることで統一化。
「望さんが休む問題」とは、スーパープレイヤーが休むと他のスタッフがわからない。
でも実はデータはスマレジにあったのでkintoneと連携して見える化した。
「信用できない理論在庫問題」とは、在庫があわないから理論在庫の数値は現場で信用されていなかった。
データをkintoneに連携することで、正しい在庫数をデータ化した。
現場にあわせた言葉で課題を共有して、みんなで対応することが重要。
kintone APIをフル活用して様々なサービスと連携されていました。

その他ブースなど

kintoneには認定試験があります。
私もカスタマイズスペシャリストに合格しています。
体系的な学習には認定試験が適しています。

ゲームコーナーがありました。
このようなコーナーやお楽しみもオフラインならではですね。
参加者の皆さんもマスク、除菌を徹底されていました。

展示ブースにもミニセッションスペースがあってパートナーさんたちが様々なソリューションを案内されてました。
kintoneはそのままでも使えますが、カスタマイズすることでさらにできる幅が拡がります。
このカスタマイズにはJavaScriptを使った開発スキルが必要です。
しかしよくあるカスタマイズ300種類以上をノーコードで実現できるソリューションがgusuku Customineです。
gusuku Customineを使えばJavaScriptのスキルがなくても業務にあわせたカスタマイズが可能になります。

 

初日の最後のkintone hack NIGHTという開発ネタの発表大会では、ゲストの怪奇!YesどんぐりRPGさんが会場を盛り上げておられました。

内製化を支援する伴走型SI。
伴走によって自走開発企業が増えることで、現場の様々な課題の解決がされ、またその情報が共有されることで素敵なループが加速していきそうですね。

 

すべてのビルダーにおすすめのkintoneトレーニング

エンジニアだけでなく、システムや仕組みを構築するすべてのビルダーにおすすめのコースです。

kintone 01. スペシャリスト編

kintoneのアプリの利用方法とアプリの作成方法・各パーツの機能を学び、目的に応じたアプリを構築するスキルを習得。

● kintoneの基本機能を理解する
● Excelファイルからアプリを作成できるようになる
● はじめからアプリが作成できるようになる
● 入力する項目に合わせて適切なフィールドを選択できるようになる
● 2つのアプリを連携できるようになる

 

kintone 02. アプリデザイナー編

チームでkintoneを利用する上で必要なプロセス、管理設定、柔軟なアクセス権、通知やスペースなどのコミュニケーション機能を習得。
● kintone管理者設定を理解する
● 企業に合わせたユーザー登録・組織・グループの設定ができる
● プロセス管理・アクセス権の設定ができる

 

kintone 03-4. アプリデザイナープラス編 gusuku Customineコース

【ノンプログラマー向け】gusuku Customineを活用する
アールスリーインスティテュートが提供するgusuku Customineの使い方をマスターできるコースです。
gusku Customine の「やること」と「条件」を把握し、何ができるかを理解することにより、
gusku Customine でのカスタマイズの具体的な事例を実際に体験していきます。
● gusku Customine の「やること」と「条件」を把握し、何ができるかを理解する
● gusku Customine でのカスタマイズの具体的な事例を体験する