CCSTという認定(資格)をご存じでしょうか?CCST(Cisco Certified Support Technician)はCisco社が作成したテクノロジー分野のキャリアを目指す人が、ITのエントリーレベルの職務に必要なスキルと知識を有していることを証明するための国際資格です。
ネットワーキング・サイバーセキュリティ・ITサポートの3つの独立した科目に分かれており、どれを選ぶかによって学ぶ内容も活かし方も大きく変わります。本記事では、CCSTの基本情報からITパスポートとの違い、3科目の選び方、上位認定(資格)CCNAへのつながりまでを解説します。
Cisco社の認定(資格)はエントリーレベルからエキスパートレベルまで数多く存在します。なかでもエントリーレベルに該当するCCSTは、Ciscoが試験配信パートナーのCertiportと提携して開発した認定プログラムです。Cisco社員、ネットワークセキュリティの専門家、採用担当者、大学教授、教員など、多様な分野の専門家チームによって作成されました。
その目的は、教育機関で学ぶ内容と、実際の職場で求められるスキル・知識のギャップを埋めること。Cisco認定プログラムのマネージャーは、この認定(資格)が学習者にとってIT業界での最初の仕事のきっかけとなり、キャリアの出発点になることを意図していると説明しています。
アナリスト・監査員・サポートスペシャリスト・技術者といった幅広い職種への準備を支援する位置づけとされているのが、CCSTなのです。
CCSTの試験はCBT(Computer Based Testing)方式で実施され、試験終了後すぐに合否が判明します。受験料はいずれの科目も17,600円(税込)、試験時間は50分です。出題形式は選択式・ドロップダウンリスト形式・ドラッグ&ドロップ形式で構成されており、合格基準は1000点満点中700点以上とされています。なお合格率は公表されていません。
有効期限については、2025年7月15日より制度が変更され、5年間の有効期間が設定されています。再度認定を受けるためにはCCST、アソシエイト、プロフェッショナル、またはエキスパートレベルのいずれかのシスコの認定試験に合格することが必要です。なお、CCST の再認定は、Continuing Education(継続教育)プログラムの対象にはなりません。
CCSTという一つの認定(資格)の中に、実は内容が全く異なる3つの科目が存在します。CCST取得をお考えの方は、まずはこの構造をしっかり理解しておきましょう。
CCST Networkingはネットワーキングの概念やトピックに関するエントリーレベルのスキルと知識を証明する認定です。ネットワーク通信を可能にするデバイス、メディア、プロトコルなど、ネットワークの動作や仕組みについて基本的な知識とスキルを持っていることを証明します。
この科目は、上位認定(資格)であるCCNA(Cisco Certified Network Associate)への第一歩として位置づけられています。日本語での受験が可能です。
CCST Cybersecurityはセキュリティの原則、ネットワークセキュリティとエンドポイントセキュリティの概念、脆弱性評価とリスク管理、インシデント処理などのサイバーセキュリティに関するエントリーレベルの知識とスキルを証明します。
この科目はCCNA Cybersecurity認定へのステップとして位置づけられています。CCST Cybersecurityも日本語での受験が可能です。
CCST IT SupportはITサポート業務に関する基本的な知識とスキルを証明します。キューおよび時間管理、ドキュメント作成、トラブルシューティング、エンドユーザーの支援、コンピューターの構成要素の管理、セキュリティの脅威について、エントリーレベルの基本的な知識とスキルを持っていることを証明します。
ただし、この科目は現時点では英語のみでの受験となっており、日本語対応がされていません。そのため、英語に不安がある方にとっては受験のハードルが高くなります。
CCSTの3科目は、それぞれカバーする領域が異なることは理解いただけたと思います。それでは、CCSTと同じく“エントリーレベルの資格”として知られているITパスポートとはどのように異なるのでしょうか。
日本語で受験可能であるCCST(Networking/Cybersecurity)との違いを整理します。
CCST(Networking/Cybersecurity)の出題範囲を確認すると、ITパスポートのテクノロジー分野(ネットワークやセキュリティに関する内容)と重なる部分が多いことが分かります。そのため、ITパスポートの参考書を使って学習を進める方法も一般的に紹介されています。
しかしながら、Cisco公式監修のCCST対策本も出版されていますので、本格的に試験対策をする場合にはCCST対策本で学習を進めるのが良いでしょう。
最大の違いは、対象とする範囲の広さです。ITパスポートは経営戦略・法務・マネジメントなど、ビジネス全般の基礎知識を幅広くカバーする国家資格です。一方CCST(NetworkingやCybersecurity)は、ネットワークやセキュリティという専門分野に絞り込んだ知識を問う国際資格です。
「広く浅くITの常識を学びたい」場合はITパスポート、「ネットワークやセキュリティに関心が絞られている」場合はCCSTが選びやすい、という整理ができます。
では、日本語で受験できるNetworkingとCybersecurityは、どちらを選ぶべきでしょうか。それは取得を目指す方々の目的によって異なります。
将来的にネットワークの設計・構築・運用に関わりたい方、CCNAへのステップアップを考えている方は、Networking科目が直接的な土台になります。ルーターやスイッチの基礎、IPアドレッシングなど、CCNAの学習内容と重なる部分が多いため、スムーズに次のステップへ進みやすい構成です。
セキュリティの基礎を学びたい方、セキュリティエンジニアのキャリアを目指す方は、Cybersecurity科目が適しています。脅威の種類やリスク管理、インシデント対応の基礎など、セキュリティ分野の入門として設計されています。
この記事を読んでいる方のなかには、CCSTを飛ばしてCCNAを受けようか、検討している方もいらっしゃるかと思います。CCNAはアソシエイトレベルに属する認定(資格)ですが、自動化やセキュリティなど出題範囲が広がり、未経験者が一発合格を目指すには相応の学習時間が必要な試験になっています。※2027年2月には試験内容が改訂されます
IT未経験の方がCCNAの学習を始めると、専門用語の多さや学習範囲の広さに圧倒されてしまう可能性が高いことから、「CCSTを中間ゴールに置く」という学習パスを描く方もいます。CCSTはCCNAと比較して学習範囲が狭いため取り組みやすく、一般的にCCNAより短い時間で試験に合格することが可能です。
継続して学習意欲を高めるためにも、まずは成功体験を積むことは効果的ですし、先述の通りCCNA取得の第一歩と位置づけられている認定(資格)のため、その後の学習の土台になるでしょう。
トレノケートでは、CCSTで基礎を固めた方が次のステップとして取り組みやすい、CCNA取得を目指す研修コースをご用意しています。8日間の集中講義と演習でCCNA取得を目指す「CCNA BOOT CAMP®」など、学習段階に応じたコースから選んでいただけます。
Cisco認定(資格)全般の研修ラインナップについては、以下のページをご確認ください。
CCSTは、Networking・Cybersecurity・IT Supportという3つの独立した科目に分かれたエントリーレベルの認定(資格)です。どれか1科目に合格すれば「CCST取得」となりますが、取得を検討する際は、まずその目的を明確にするところから始めてみてください。
ネットワークエンジニアを目指すならNetworking、セキュリティ人材育成を目指すならCybersecurityが土台になります。ITパスポートと出題範囲が重なる部分もありますが、専門分野に絞り込まれている点が大きな違いです。
キャリアの出発点となるCCSTを取得し、ぜひIT業界での仕事に役立ててください。