人材開発に関する用語をトレノケートの講師がわかりやすく解説します。
心理学者アルバート・エリスが提唱した心理療法のひとつである論理療法の中心的な概念。人の認知に焦点を当てた考え方で、Activating event(出来事)、Belief(信念、捉え方)、Consequence(結果)から成り立つ。ある出来事(A)が起こった際の結果や感情(C)は、その人の信念や捉え方(B)によって決まってくる、というものである。
例えば、同じような困難な出来事(A)が起こっても、前向きに立ち向かっていく人と後ろ向きになってあきらめてしまう人と、結果(C)に違いが出ることがある。これは、前者が「これは自分に課された試練だ」のように前向きに捉え、後者は「私には無理だ」のように後ろ向きに捉えるといったように、その出来事に対する捉え方(B)が異なっていることに起因する。
この捉え方は変えられるものである。もし、一度結果が出たとしても、「こう捉え直してみよう」と捉え方を変えてみると、改めてその後の結果(C)が変わってくること場合もある。
結果(C)にばかり目を向けず、その前にある(B)つまり、捉え方に目を向けることが大事なのである。
以前の私は、外出中に雨が降ると「服が濡れるのは嫌だし、傘をさすのは重たいなあ」と思い、憂鬱になりました。「いました」という過去形を使っているのは、今は全く違うからです。雨でも憂鬱にならないのはなぜか。奮発して少々高額で格好いい傘を購入したからです。今は雨が降ると、「お気に入りの傘が使える」と思って、嬉しい気分になります。持っている物や行動を変えることで捉え方も変わり、結果として引き起こされる感情も変わるものなのですね。
文責:都川 信和/国家資格キャリアコンサルタント