人材開発に関する用語をトレノケートの講師がわかりやすく解説します。
アメリカ心理学会会長も務めた心理学者マーティン・セリグマンによって提唱された概念。
「人は無力感を何度も感じ続けると、無力感を学習してしまい、たとえ状況が変わったとしても行動しようと思えなくなる」というもの。
セリグマンの実験では、高い壁に囲まれた犬にベルの音を聞かせ、次に軽い電気ショックを与え続けた。すると、ショックを与え続けられた犬は、壁が低くなり逃げられる状況になっても、無条件にショックを受け続けるようになった。これは、「どうせダメなのに、やったってしょうがない」ということを学習してしまった結果である。
また、人生の一分野で無力感を味わうと「過剰学習」が起こり、その分野に関してだけでなく、無力感を他の分野にもあてはめてしまうこともあるので注意が必要である。(「過剰学習」とは、獲得した知識、技能についてさらに反復・継続して学習し、それを強固なものとすること)
「1つの道が行き止まりなのだから、他の道もすべて行き止まりに違いない」のように考えやすくなる。こういった「過剰学習」は無力感の悪循環につながり、モチベーションの低下につながりかねないので特に注意が必要である。
私は学生時代から英語が苦手です。学生時代、英語が得意な友人に「おまえの英語の発音は恥ずかしいレベルだ」と言われたことで余計苦手意識を持ちました。
社会人になって4年目の時、あるシステム構築プロジェクトでアメリカ人の方と一緒に仕事をする機会がありました。自分なりに英語を勉強し、勇気を振り絞って英語で会話しようとしましたが、全く通じませんでした。そのアメリカ人はボソッと何かを英語でつぶやいてその場を立ち去りました。その言葉が理解できなかった私が近くにいた先輩に聞くと、「君の英語はまったく分からない」と言っていたというのです。
それ以降、私の英語への苦手意識は一層強くなり、以前にも増して英語を話すことはもとより、聞き取ることもできなくなりました。これも一種の学習性無力感なのかもしれません。ちょっとした会話でも「That’s good!」と褒めてくれる外国の友人を見つけられたら、この状態から抜け出せると思うのですが・・・。
文責:都川 信和/国家資格キャリアコンサルタント
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