人材開発に関する用語をトレノケートの講師がわかりやすく解説します。
会議や研修では、進行や運営に先立ち、全員で守るべきルールを決めることがある。
参加者が安心安全な環境でのびのびと発言したり、学習したりできるようにするためのものだ。
禁止表現より、推奨表現のほうがよいとされる。たとえば、「遅刻厳禁です」より「時間通りに集まりましょう」、「途中で割り込まない」より「最後まで聴こう」といった例がそれにあたる。
新入社員研修では、たいていグランドルールが設定されます。
まずは、人事部門や研修部門が決め、さらに、研修を依頼された私たち講師側からも提案することもあります。学生から社会人になるにあたり、ある程度のルールを明示することは大事ですが、その数があまりに多いと形骸化の危険もあります。
新入社員といえども、立派な大人です。効果的な研修にするためにどのようなルールに添って進めるのがよいか、自分たちで考え、決めてもらうのが最も有効なように思います。研修の早い段階で一度決め、数週間経過したら、また、そのグランドルールを見直します。自分たちで決めたルールのほうが自分事になり、守られやすいように思います。
ある企業では、新入社員研修の会場に大きな模造紙に書かれたグランドルールを見たことがあります。第一条が「横に広がって歩かない」とありました。「なぜこのルールを?」を尋ねると、「駅からの道を横並びで歩いていたら、近隣の住民からクレームがあったそうで、自戒するために、ルールの1番目に置きました」とのこと。教室の中での振る舞いだけではなく、通勤途上の振る舞いにも目を向けたこのグランドルールは、新入社員らしいなとほほえましく思ったものです。
文責:田中淳子/国家資格キャリアコンサルタント