前回は、Azureの管理ツールを3種類紹介しました。Azureポータル(Webサイト)と、PowerShell、そしてAzure CLIです。後者2つはコマンドラインツールであり、クライアントOS上にインストールする必要があります。
しかし、Azureには「クラウドシェル」という便利な機能があります。
コマンドラインツールをインストールしなくても、WebブラウザーでAzureポータルを開き、[>_]アイコンをクリックすると、コマンド用のウィンドウが開きます。
初回実行時は、bash(Azure CLI)かPowerShellかを選ぶ必要があります。
選択画面を見ると、PowerShellはLinuxで動作しているようです(以前は確かにWindowsで動作していました)。bashとPowerShellのどちらを選んだかは記憶されますが、必要ならあとからいつでも切り換えることが可能です。
コマンドエリアはWebブラウザーの半分になりますが、上下の区切り線は移動できますし、コマンドエリアを別のタブで開くこともできます。
クラウドシェル上で作成したファイルはAzureのストレージに保存されるため、別のWebブラウザーからも参照できます。
面白いのは、bash実行中に「pwsh」コマンドを実行するとPowerShellが起動し、PowerShell実行中に「bash」コマンドを実行するとbashが起動することです。Azure CLIコマンド(azコマンド)を、bashを使わずPowerShellから直接実行することもできます。こういう動作をするのだったら、もう切り替え機能は不要かもしれません。
以前のPowerShellはWindowsベースだったので、クラウドシェル上でエディタが動作しなかったのですが、現在はLinuxベースなのでPowerShellからもviやemacsが利用できます。また、比較的新しいエディタnanoも動作しますし、マイクロソフトが公開しているVisual Studio Codeのコマンドライン版(code)も動作します。
ファイルの一覧表示機能なども内蔵しており、なかなか便利なツールです。これらはもちろんbash上でも使えます。
クラウドシェルでは、管理者権限こそ与えられていませんが、CやC++コンパイラも使えます。
PowerShellは、ユーザー権限での機能拡張も可能なため、以下のようにAzure Active Directoryの管理コマンドを追加することもできます。
Install-Module -Name AzureAD -Scope CurrentUser
途中、「共有ライブラリがロードできない」というエラーが出ますが、基本的な作業に影響はないようです(詳細は未確認です)。
このように、クラウドシェルを使えば、世界中どこからでも、どのPCからでも、2種類のコマンドラインツールのどちらでも利用でき、作成ファイルも保存できます。十分に安定したインターネット接続があるなら、クラウドシェルの利用も便利だと思います。