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計画時に考慮すべき「2種類の仕事」

「あれ、どうして時間が足りないんだ? 計画上は、十分な時間を確保しているはずなのに…」

このような場面に出くわしたことがある方は多いのではないでしょうか。


もしかしたら、2種類の仕事を考慮した計画になっていない可能性があります。2種類の仕事とは、「成果を生み出す仕事」と「仕事を進めるための仕事」です。


成果を生み出す仕事とは、所謂、モノづくりや成果物をつくるための仕事です。例えば、設計書を作成する、プログラムを開発する、出来上がった成果物をレビューする、テストを実施する、などです。


一方、仕事を進めるための仕事とは、成果物をつくるために直接的に影響はないが、やらないと仕事がスムーズに進まない仕事です。例えば、計画を立てる(スケジュールの作成やコストの見積りなど)、進捗管理をする、進捗報告書を作成する、メンバーの相談にのる、メンバーの育成をする、部や課で決められた日々の雑務をする、などです。


仮に1日8時間働くことができるとします。月に20日働くとすると160時間の時間が確保されます。ある設計書を書き上げるのに160時間の見積りだとすると、単純に時間だけを比較すれば、どちらも160時間のため1か月(20日間)で終わります。


しかし、実際には1日8時間全て設計書を書き上げる時間に充てることは、なかなかできません。新入社員でしたら、電話番として多くの電話受け、課の雑務を色々な人から頼まれて時間を奪われてしまいます。また、ベテラン社員であれば、ちょっと相談にのってほしい、ちょっと打合せに出て欲しいなどに協力しているといつの間にか時間を奪われてしまいます。


そして、1日を振り返ってみた時に気づくのです。結局、今日は設計書を書き上げるために費やすことができた時間は4時間だったと。


これが計画時に陥りやすい落とし穴です。


では、どうすればよいかというと、予め「成果を生み出す仕事」と「仕事を進めるための仕事」それぞれの時間配分の割合をメンバー毎に決めておくことです。例えば、新入社員は割り込み作業が多いと仮定して、「成果を生み出す仕事」は7割とし、「仕事を進めるための仕事」は3割と割合を設定するなどです。


予め割合を設定した上で、先ほどの例に当てはめてみると、計画が変わってきます。1日8時間、月に20日働くとすると160時間ですが、「成果を生み出す仕事」には112時間(1日5.6時間×20日)、「仕事を進めるための仕事」には48時間(1日2.4時間×20日)の割り当てになります。


これに基づいて、160時間かかる設計書を書き上げる作業の計画を立てると、作業期間としては1か月(20日間)ではなく、29日間(1日5.6時間×29日=162.4時間)必要だということが分かってきます。


このように計画時に2種類の仕事を考慮するかどうかで、全く違う結果になります。もし、“1日8時間あれば全て成果物を生み出す仕事に割り当てられるはず”とお考えでしたら、今後は「仕事を進めるための仕事」にも目を向けてみてはいかがでしょうか。


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山内 翼(やまうち たすく)

山内 翼(やまうち たすく)

トレノケート株式会社 ラーニングサービス本部 / 人材教育コンサルタント / PMI®認定PMP® CPCC(CertifiedProffesionalCoactiveCoach:CTI認定コーアクティブ・コーチ)/一般財団法人 日本教育推進財団 認定 コミュニケーション・トレーナー他 2002年よりIT系企業にて15年間、Webデザイナー、プログラマ、システムエンジニア、マネジメントとしてチームリーダー、プロジェクトマネージャ(PM)、プロジェクト・マネジメント・オフィス(PMO)を実施。その他、社内人材育成を推進。社内教育の企画立案/運営/講師を担当。 2017年より現職。プロジェクトマネジメント系・ヒューマン系講師としてIT業界に限らず幅広く人材育成支援に当たっている。

   
 

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