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MCP試験に見るIT基盤の流行

この記事は2015年12月01日に作成されました。

 

12月は1年の総まとめの時期、「年間ランキング」の発表もこれから出てくるでしょう。でも、今回は10月のランキングのお話です。

 

MCP試験の人気ランキング

マイクロソフトは毎月「マイクロソフト認定技術者プログラム(MCP)」試験の人気ランキングを発表しています。10月のランキングは以下の通りでした(日本での実績のようです)。

 

1位 (70-410) Windows Server 2012 のインストールおよび構成

2位 (70-411) Windows Server 2012 の管理

3位 (70-412) 高度な Windows Server 2012 の構成

4位 (70-346) Office 365 の ID と要件の管理

5位 (70-687) Windows 8 の構成

6位 (70-680) TS:Windows 7、構成

7位 (70-347) Office 365 サービスの有効化

8位 (70-413) サーバー インフラストラクチャの設計と実装

9位 (70-533) Microsoft Azure インフラストラクチャ ソリューションの実装

10位 (70-640) Windows Server 2008 Active Directory の構成

 

 

各試験のついてのコメント

最新サーバーOSの基本試験

 1位 (70-410) Windows Server 2012 のインストールおよび構成

 2位 (70-411) Windows Server 2012 の管理

 3位 (70-412) 高度な Windows Server 2012 の構成

 

1位から3位は、最新のサーバーOSの基本試験で、マイクロソフト認定ソリューションアソシエイト(MCSA)の必須科目が入りました。MCSAの必須科目は常に上位にいますから予想通りの順位です。

 

クライアントOSのMCP試験

 5位 (70-687) Windows 8 の構成

 6位 (70-680) TS:Windows 7、構成

 

続くのがクライアントOSですが、こちらはWindows 7とWindows 8が競り合っています。一般消費者向けにはWindows 8が主流ですが、MCPの主力である企業向けシステムはWindows 7も根強い人気のようです。

 

ビジネスシーンでWindows 8は立ち上がりが遅かったので、それを考慮すると「まだまだWindows 7が多い」よりも「Windows 8がWindows 7を上回った」という点に注目すべきでしょう。

 

受験者のプロファイルは公開されていないので、受験者が企業ユーザーなのか、個人ユーザーを対象としたサポート技術者なのか、までは分かりません。

 

家庭ユーザーがMCP試験を受験することは少ないのですが「個人向けにWindows 8のサポートを行う技術者」も含まれるため、必ずしも企業ユーザーの増加は意味しません。

 

一部には、企業はWindows 8を飛ばしてWindows 10へ移行するという説もありますから、Windows 8の試験を受験する人は、個人を対象としたサポートエンジニアなのかもしれません。もちろん、企業内で既にWindows 8が使われているということかもしれません。

 

いずれにしても、企業内で残ったWindows 7は、徐々にWindows 10へシフトしていくでしょう(Windows 10のMCP試験の正式版はまだ始まっていません)。

 

Windows 7もWindows 8も、それぞれもう1つのMCP試験があります。

 

  • (70-685) PRO:Windows 7、エンタープライズ デスクトップ サポート技術者
  • (70-688) Windows 8.1 の管理と保守

 

です。こちらは運用とサポートに関する試験ですが、いずれもランキングしていません。なぜなんでしょうね。

 

Office 365のMCP試験

 4位 (70-346) Office 365 の ID と要件の管理

 7位 (70-347) Office 365 サービスの有効化

 

また、クライアントOSと並んで人気が出てきたのがOffice 365で、2試験がランクインしました。通常、アプリケーション試験が上位に来ることはないのですが、ユーザーアカウントなどのID連携を含め、IT基盤を含めた内容が評価されているようです。

 

 

Microsoft AzureのMCP試験

 9位 Microsoft Azure インフラストラクチャ ソリューションの実装

 

Microsoft Azureの試験が入っているのも、IT基盤がクラウドへ移行または拡張しつつあることを示しています。

 

 

Windows Server 2012 MCSE の必須試験

IT基盤と言えば、Windows Server 2012の上位資格「MCSE(Microsoft Certified Solution Expert)」の必須試験である70-413もランクインしました。こちらはオンプレミスのIT基盤全体を設計する試験です。

 

Windows Server 2008のActive Directory試験

面白いのはWindows Server 2008のActive Directory試験がランクインしていることです。Windows Server 2012の資格体系にはActive Directoryドメインサービス単独の試験が含まれません。これは、すべてのサービス基盤に必要なため、複数の試験に分散しているためですが、現実には「Active Directory管理担当」という役割は存在します。こうした人の技術力を証明する方法はなくなってしまいました。

 

Windows Server 2012のActive Directoryは、Windows Server 2008 R2と比べてそれほど大きな変化はないためか、まだまだWindows Server 2008ベースのドメインコントローラーが多いためかは分かりませんが、いずれにしても「Active Directory管理者」という分類を必要としている人は多いということでしょう。

 

 

現在の典型的なITシステム基盤

試験結果から想像する、現在の典型的なITシステム基盤は以下のようになります。

 

  • サーバー環境はWindows Server 2012が中心で、クライアントはWindows 7とWindows 8が混在。
  • アプリケーションはOffice 365を採用し、社内のActive Directoryと連携する。
  • 今後の拡張は、社内システムを維持しつつMicrosoft Azureの利用が急速に拡大。

 

現在のIT環境は、複数のシステムの集合体であり、妖怪「鵺(ぬえ)」のようになってしまいました。先日亡くなった水木しげる氏は、アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」の主題歌を作詞されており「お化けにゃ学校も試験もなんにもない」と歌ってましたが、IT環境にはさまざまな研修や試験があります。

 

 


「京都 鵺 大尾」(「木曽街道六十九次之内」、歌川国芳画)

 

 

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