「ムッとしてついキツイ態度をとったために、口論になってしまった。」
こんな経験は、ありませんか?
仕事でもプライベートでも、なるべく良好な人間関係を築き、スムーズなコミュニケーションをとりたいものです。しかし、そんな思いとは裏腹に、ついつい争いやトラブルの元になる言動をしてしまうという方もいらっしゃるかと思います。
一体、何が原因なのでしょうか?
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ここで考えたいのが「私たちの言動を決めているものは何か」ということです。
何らかの出来事(刺激)だけが、言動を引き起こすのでしょうか。
例えば、こんな例を考えてみましょう。
「同僚にSNSでメッセージを送った。既読マークがついたが、数日たっても返事が来ない。」
いわゆる「既読スルー」というものですね。
この出来事に対して、皆さんだったらどのように思いますか?
「メッセージを読んでいるのに返信しないなんて、失礼だ!」と怒る人もいれば、
「私は嫌われているのだろうか……」と、心配になる人。
そして「忙しくて返信を忘れたのかな?再送しよう。」と、特に気にならない人もいるかと思います。
このように、同じ出来事であっても、その反応は人それぞれです。
ということは、単純に出来事そのものだけが言動を左右しているわけでは無いようですね。
私たちの言動は、出来事そのものだけではなく、個人の内面、つまり「自分のセルフイメージや価値観と、それに基づく出来事の意味づけ(解釈)」そしてその意味づけから引き起こされる「感情」に、大きく影響されています。
何らかの出来事が起こると、人はそれぞれのセルフイメージや価値観に基づいて、その出来事を「意味づけ」します。
その結果、怒りや不安といった感情が芽生え、それに突き動かされて、何らかの言動につながります。そしてその言動によって、最終的な結果も変わってきます。
生じてしまった感情は、なかなか変えがたいものです。
しかしその感情の元になっている「出来事の意味づけ(解釈)」は自身の内面を自覚することによって、コントロールが可能です。
一体どういうことなのか。先ほどの「既読スルー」の例で考えてみましょう。
同僚Bさんの既読スルーに遭ったAさんは、
「私は軽く扱われがちだ。嫌われがちだ。」というセルフイメージ、「メールは即返信すべきだ」という価値観を持っているとします。
もし、Aさんが上記のような自分の傾向に無自覚だった場合、
Bさんからなかなか返事が来ないことを、「Bさんは私のことが嫌いなんだ。無視された。」と解釈し、怒りやモヤモヤとした感情を抱き、無視、あるいはクレームといった言動をとるかもしれません。
そうなったら、結果として二人の関係性が悪化してしまうことは、容易に想像できます。
一方、もしAさんが、物事をネガティブに捉えがちだという自分の内面を自覚していたらどうでしょうか。
「こういう出来事があると、私はすぐ『嫌われている。無視された。』と考えてしまいがちだけど、ちょっと待てよ。考えすぎかもしれない。そういえばAさんに嫌われるような行動をした覚えはないし、もしかしたら、ただ単に忙しくて返信を忘れたのかもしれない。」
と、出来事に振り回されずに冷静に考え、「意味づけ」をコントロールできるかもしれません。
このように意味づけをコントロールできれば、平常心を保ち、Bさんに声をかけたり、あるいはメッセージを再送するなど建設的な行動ができそうですね。結果、今まで通り良好な関係性を保てることでしょう。
上記の例のように、自分自身に対する捉え方、「~すべき」という価値観、考え方のクセなどについて自覚し、出来事の意味づけをコントロールすることで、望ましい結果に向けた行動の選択ができるようになります。
普段から、自分のネガティブな感情や言動に悩んでいるという方は、ぜひ自分の内面を客観視する習慣をつけることをオススメいたします。